「ハッピィが生きれるのは後30日なんだって」
「………」
何も言えなかった。
今日学校から居残りの講習でヘトヘトになって家に帰宅して、学ランを着替え終わった後、いきなり母からそう言われた。
ハッピィという名は、俺が中学一年の頃から買い始めたシーズ犬の事で、臭い台詞だけど俺にとっては家族であってもう一人の弟のようなもんだった。
そして今日、後一ヶ月足らずしかもたないと母から言われた。
その後も俺は呆然として母の説明を聞いていた。
末期腎臓心不全、人間で言う癌。生まれながら持っていたもので既に手のつけようが無い。
明日から毎日、病院へと行って点滴をし、少しでも楽になるように行くから。
別に私達の育て方が悪いんじゃない。
この子は、たった四年しか生きて来れなかっだよ。
説明の後、誰からか電話が来て、一人とある一室へと電話の相手をするため移動し、泣きながら話していたのを確かに耳で聞いていた。
泣かなかった、泣けなかった。でも泣こうとしたら泣ける、でも泣いてどうなるんだろう。今もハッピィは元気が無く、そこら辺でゴロゴロしている。つい一ヶ月前の頃は、そんなハッピィがノンビリ屋の怠け者だなぁと見ていた。
でも今は違う、調子が悪いんだ。実際本当に30日もつのかさえ、わからなかった。もしかしたら明日学校から帰ってきた後………
………何で?
何か悪い事した?
泣くことしか出来ないのか?
教えてよ、誰か。
涙目になりながら書いていたような気がする。