年金新会計基準、積み立て不足、負債に計上 | 株えもんのブログ

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年金の積み立て不足を貸借対照表(バランスシート)に全額反映させる上場企業の新しい会計基準が、2014年3月期の連結決算から適用される見通しとなった。


多額の積み立て不足を抱える企業の中には自己資本比率が低下するところもある。新基準を機に、運用や給付の見直しなど年金財政の健全化に動く企業も出てきそうだ。



 企業会計基準委員会(ASBJ)が10日にも議決する。早ければ今月中にも会計基準として成立する。


 現在の会計基準では年金の積み立て不足は10年程度の期間で毎年分割して費用に計上し、総額は決算書外の注記による開示にとどめている。


 新基準では従来と同様の毎年の費用処理に加え積み立て不足を全額負債に即時に計上、一方で自己資本を減額し、貸借対照表に反映させる。



 新基準の狙いは決算書の透明性の向上。米国の会計基準や国際会計基準(13年1月に改訂予定)も同様のルールを採用しており、日本の基準もこれにそろえることで企業側も合意した。


 日本基準の3月期決算上場企業1692社(金融、電力、新興除く)の積み立て不足(11年3月末)は総額5兆2863億円で、自己資本全体の3.8%に相当。


 全体としてみると影響は軽微のようだが、自己資本の2割を超える積み立て不足を抱える企業が42社あるなど企業によっては影響が大きい。



 新基準の適用は連結決算のみで、企業から「配当など利益配分への影響が大きい」と反発が強かった単独決算についての適用は見送る。


今回の制度変更による企業への影響ですが、自己資本が50%以上あるような企業への影響は相対的に少ないとみられます。その反面、3割程度しかない企業で積立不足が大きい場合には自己資本が2割弱に減少するケースもありそうです。



新基準を適用すると、実際の企業の財務諸表はどう変化するかと言いますと、貸借対照表(バランスシート)が変わります。


積み立て不足が300億円、自己資本が400億円の企業(図(1))のケースだと、負債が600億円の場合、積み立て不足を単純に反映すると負債は900億円に増え、自己資本は100億円に減る(図(2))。





 しかし、従業員は一度に全員退職するわけではないので、実際はここから将来支払う税金分を調整する(税効果会計)。


 積み立て不足は原則として将来の費用と見なされるので、実効税率約40%で計算すると、300億円の40」%にあたる120億円が繰り延べ税金資産と資本に加わる。自己資本は220億円となり(図(3))、自己資本比率は導入前の4割から2割に下がる。



 そのほかの注意点として自己資本比率の低下により、社債の格付けが下がる懸念もありますが、「積み立て不足は既に考慮しており、影響ない」(S&P)という。


企業の一部には自己資本比率が下がると、銀行借り入れや社債償還の条件を定める財務制限条項に触れて対応を迫られるとの懸念があった。


ただ銀行は融資の際にやはり考慮済みとみられ、会計基準の変更で姿勢は変えないだろうとの見方が多い。社債償還の条項に連結自己資本がある場合は影響が及ぶ可能性がある。



社債の流通利回りについてですが、「企業の実態は変わらない」(大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリスト)との声がある一方、「自己資本が減る企業は多少影響が出る可能性がある」(ドイツ証券の村田昭仁アナリスト)と専門家でも見解が分かれております。


 それから、国際会計基準の導入については企業側に強制適用への警戒感が強まり、11年に自見金融担当相が導入スケジュールを見直す方針を表明。議論が止まっている。ただ日本の年金会計はIFRSだけでなく米国基準とも異なっているため、連結決算に限って共通化することになりました。



▼年金の積み立て不足とは 企業が従業員の年金や退職金の支払いに備えて積み立てておくべき額(退職給付債務)に対し、実際の積立額(年金資産と退職給付引当金の合計額)がいくら足りないかを示す。簿外債務の一種で、企業によっては多額の積み立て不足が経営課題となっている。



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