しいちゃんの病院は大人になってからは、県立の大きな精神科の病院です。
元気いっぱいのしいちゃんは、この病院ではすごく目立ちます。
精神科だから患者さんは元気がないのです。
私はこの病院に行く度に思います。
(しいちゃんより、私が患者みたい…)
しいちゃんの笑い声が病院の中に響きます。
しいちゃん、お決まりのトイレ。
昨日は待ち時間が長くて、私は病院の雑誌を見ていました。
この病院は雑誌がとても古くて、驚きます。
(あれ?秋川雅史さんて、私より年下だっけ?)
と思ったら5年前の雑誌で5年前の年齢だったり…。
そんな古い病院です。
しいちゃんも暇で珍しく雑誌を見ていました。
しいちゃん、お年頃なのでこの病院の一番おしゃれな雑誌、an・anを選びました。
グルメ特集でおしゃれではなくて、食い気でした。
しいちゃんの番になりました。
私はこの頃気になっている(ずっとだけど)しいちゃんの睡眠障害について相談しました。
しいちゃん、この頃睡眠が乱れているのです。
しいちゃん、この頃寝不足なのです。
でも元気いっぱいでテンションが高いのです。
施設で寝てしまうこともありますが、1日起きているのでは?という日もあります。
しいちゃんは丈夫だし、寝たいときに寝られるけど、私はそうはいきません。
夜遊びしているしいちゃんに気づくと、
「しいちゃん、寝なさい!」と言います。
しいちゃんは素直に戻ってくるのですが、その度にベットによじ登ってくるわけです。
ほんの少しのことですが、しいちゃんの大きな体がマットレスを沈ませ、私の体も沈みます。
それが私の睡眠を不快なものにするのです。
昨日の朝二人は寝不足で、でもしいちゃんはニコニコ。
私はわざと悲しい目をしました。
「しいちゃん、おかあさんはね、眠らないと元気が出ないんだ」
「しいちゃんは23才で若いけど、おかあさんはね、もうすぐ50才なんだよ」
「しいちゃんみたいに元気じゃないんだよ」
と言いました。しいちゃんは、
「ごめんなさい、おりこうになります」
と言いました。そして朝食を食べるとき、しいちゃんは私の脚をさすってきました。
これはしいちゃんが叱られた後にやる癖です。
しいちゃんなりの愛情表現なのです。
とにかく寝てほしい…。の一心で相談しました。
先生は私の健康を心配してくれました。
睡眠のリズムを整える薬を出してもらうことになりました。
メラトニンというお薬です。
人は明るくなると目が覚めて、暗くなってくると眠りの準備に入るのです。
でもしいちゃんはそのリズムが狂っているとのことでした。
でもこのお薬は飲んでもすぐに眠くなるわけではありません。
あくまでもリズムを整える薬です。
いつもの頓服ももらいました。
しいちゃんの大変さはコミュニケーション障害よりも睡眠障害、そして徘徊です。
徘徊があるから、私はそれが気になり眠りがもともと浅いのです。
それに加えてしいちゃんの睡眠障害のお付き合い。
お付き合いしないと徘徊されてしまう…。
しいちゃんと二人で頑張るためには、しいちゃんの睡眠が整ってくれることで私の健康を守ることが大事ではないのかなと思いました。
他の薬は減らすことにしました。
効いてくれるといいなあ…。
薬屋さんに行きました。
しいちゃん、またトイレに入りました。
そしてジュースをおねだり。
二の腕に若さとたくましさを感じます。
しいちゃんです。
ほとんど寝てないのに朝からこんなにいい笑顔。
この笑顔で微笑まれると、寝不足のつらさも吹き飛びます。
しいちゃん、最大の武器です。
毎日寝不足でも私が元気なのは、この笑顔のおかげです。
でもね、しいちゃん、かわいいだけじゃあだめ!なんだよ♪