今日は生頼さんの描く美人画をご紹介。
実はおいら自身は、いわゆる「美人画」というものに対して全く興味がありません。(;´▽`A``
ありませんが、せっかくの生頼作品。おいらならではの切り口(というほど大したものでもありませんが)でご紹介いたしませう。
1980年代(正確にいうと1979年から1992年まで)、徳間書店から「SFアドベンチャー」なるSF雑誌が発行されていました。
この雑誌の表紙のほとんどを担ったのが生頼さんなのですが、オファーがあったときに編集部から女性を描くのはどうかと言われ、「神話時代から現代まで、魔女のような存在の女性たちを描くのはどうか。できればイブからジャクリーン(ケネディ大統領夫人)まで」と答え、結果7年7か月に渡り91人の女性たちを描いたのでした。
おいら的には、実在の人物を「魔女のような存在」と表現するのには抵抗があるので、「歴史に深く関わった女性たちを描いたシリーズである」と言い換えておきます(とはいえ、本当に怖い悪女も混じっているんですが...)。
さて、この絵画展、なんと有料スペースにも撮影OKコーナーがありました。
それがこの「SFアドベンチャー」の表紙原画コーナー。
なんと全91人のうち44人もの原画が展示されていて撮り放題。しかも下絵スケッチ展示もあるという贅沢ぶり。
題して「44人の美姫たち」。
それらのほんの一部ですがどうぞ。
戯曲で有名な「サロメ」の母親で
サロメにヨハネの首を持ってこさせた張本人です。
これはその下絵。
おいらとしては、スケッチの方が断然カッコイイと思います。
下絵にはグリッド線が引かれていますが、
これはこの線をもとにキャンバスへうつすためなんだそう。
怖がっているようだけど、あんたの方が怖いよ!
ってツッコんじゃいましたが、その時点でおいらはこの人がどんな人なのかわかっていませんでした。しかし、このツッコミがなかなか的を得ていたことがわかります。
実はこの人はメッサリーナといって、ローマ帝国皇帝の妃。
自分に邪魔な人たちを、あの手この手で殺しまくったとんでもない人。
皇帝の妃でありながら情夫と重婚。それが皇帝にばれて自死を命ぜられるが死にきれず、処刑人に殺されたという激しい人生。しかも亡くなったのは20代だそうですよ。
むしろ怖いくらいの迫力です。
それから、おいらが興味を持ったのが生頼さんの描く「布」の質感。ドレープの表現とか。
これらのオーガンジー?だのレース?だのの透け感、
どーすか!?
その軽さ、または重さの表現が見事です。
なんでも、実際に衣裳やアクセサリーを自腹で買い込んで色々と組み合わせて研究していたとか。
目撃した編集者によれば「うちの画稿料から考えて、絶対に赤字ですよ」な衣裳の充実ぶりだったそうです。
さて、おしまいに生頼さんの「遊び心」について
触れておきましょう。
この作品もシリーズの1枚なのですが、実はこの絵の中に皆さんがよく知っている有名なあるものが描かれているのです。
それは一体何でしょうか?
と言われても、小さくてよくわからないですよね。
正解は...
エイリアン~~~!! きゃー!!
また、これにも有名なあるものが。
正解は...
ガンダム。 だそうですwww (なんかちょっと違うような?)
さて、生頼さんは今どうされているのか、ですが
実は数年前に病気で倒れられて、現在闘病中です。
ご家族の方はいつでも復帰できるように、仕事場をそのままにされているそうです。おいらに出来る事が何もないのがもどかしいですが、お元気になられる日を心待ちにしています。