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NHK特集 危機の88時間 その12 SR弁開放

 

NHKの「原発メルトダウン 危機の88時間」という番組をYuTubeで鑑賞しました。時間を追って話や画像をコメントしてみたいと思います。

私が見たのは1時間29分01秒ほどの長さの番組です。この他にもミニ画面の同じ内容の映像がYuTubeに載っています。

()内の時間は番組の進行を示しますが、皆さんの画面とはズレが出ますので、おおよその目安にして下さい。

 

(01:07:18)

  消防車からの注水にはSR弁を開く必要がある。

(01:07:32)

  3号機のように水が十分入らなければ空焚きになる。

(01:07:55)

  注水よりベントを優先するべきです。

(01:08:40)

  ベントさえすれば格納容器破壊は免れます。

(01:09:10)

  ベントより先にSR弁を開けるべきだ。

(01:09:11)

  SR弁を開けるよう指示(マダラメ)

  開けても水が入らなければどうしよう。

(01:10:00)

  SR弁開けようじゃないか?

(01:10:19)

  もし水が入らなければ地獄だぞ。

(01:12:21)  SR弁開放、炉内圧力さがった!あとは消防車の水が入ってくれれば。

(01:12:45)

  だめだ、水位上がらない

(01:12:50)

  なぜか消防車の水が入らない。

(01:12:52)

  TAF -3700mm

(01:13:18)

  消防車燃料切れ

 

このあたりから2号機の話になります。

SR弁を開けて水が入らなければ地獄なのだそうです。

1号機も3号機も注水を行なってきたと言っていました。75気圧の圧力容器に水を入れるには、高圧用のポンプ車がない限り、SR弁を開いて、その瞬間だけ注水をするという方法しか考えられません。実際に1号機はこれで注水したと思います。SR弁を開けるためのバッテリーが確保されていることが前提です。

それなのに、最後に対処した2号機で「開けても水が入らなければどうしよう。」などと考えていると言うのです。

 

「ベントさえすれば格納容器破壊は免れます。」

「もし水が入らなければ地獄だぞ。」

 SR弁を開けるよう指示(マダラメ)

 

2号機の話でこんなやり取りがあることは考えられません。1号機のベントの時であれば考えられます。

格納容器が高圧になって、SR弁から蒸気を排出すると、圧力は更に高まり、破綻の恐れがある。チビチビと格納容器の圧力を気にしながら弁を開けて、弱い圧力の消防車で注水していたのでは、注水が間に合わず、水位はどんどん下がって行くばかりです。

ベントをして圧力を下げるべきだという意見は最もです。そうすればSR弁を開く時間を長く出来て、注水ははかどります。

ベントをしたら放射性物質が撒かれる。格納容器は設計値に余裕がある筈だ、水素の発生は終わっており、格納容器に放出されたガスは温度が下がって行くのだから、ベントは避けて注水を進めるべきだ。という意見もあって当然です。

喧々諤々やっていた為に1号機のベントが遅れたという事はあり得ます。2号機でベントがどうのこうのやっていたとは考えられません。

 

「ベントさえすれば格納容器破壊は免れます」こんな発言した人がいるのでしょうね。NHKの取材班は無知ですから、このような専門的な話は捏造できません。

一方で「水が入らなければ地獄だぞ」こちらは捏造ですね。東電の人間があの現場で「地獄だぞ」などという発言をしたとは思われません。

しかし、低圧の水が上手い事75気圧の容器に入れられるのか?疑問を提示した人はいたと思います。

事実と嘘が入り混じり、時系列が逆転しています。なんで2号機、3月14日にSR弁を開く話が出てくるのか全く理解できません。

これを見た視聴者は矛盾を感じずに「危機」を感じてしまうのでしょうね。

 

「だめだ、水位上がらない」

発生する熱量と注水量を考えれば、水位はいくらも上がりません。どういう根拠で水位が上がるとこの担当者は考えたのでしょうか?東電がカロリー計算も出来なかったのか?捏造放送局の演出か?

 

Wikの福島事故経緯によれば、

3月14日  13:25   2号機 冷却機能喪失

        19:45   2号機 燃料棒全露出

        23:39   格納容器圧力異常上昇

3月15日  06:10   2号機 異音発生 圧力抑制室の圧力低下

 

Wikの記載内容は年を減るごとに中身が消えてゆきます。信用できなくなっていますが検証してみます。

 

再掲: 3号機の話と同じ内容です。

 

[** 2号機 燃料棒露出 **]

2、3号機の圧力容器の内径は5.6mです。

断面積は

 3.14x2.8x2.8=24.62㎡

1号機の1.36倍になります。

高さは22mありますが、水が入っている部分の高さは1号機と同じ20mとして考えます。

燃料棒頂部までの水の量は100x1.36=136トンです。

炉心部の水の量はこの半分で68トンです。

燃料棒底部以下に存在する水の量は136トンで水の合計は340トンになります。

 

1日以上時間が経つと燃料棒の発熱量は定格出力の0.4%程になり、時間毎にどんどん減って行くものではなくなります。

2、3号機の定格熱出力は238.1万kWですから0.4%では0.9524万kWになります。

圧力容器の環境の下では100トンの水を蒸発させるのに1.477x10^11ジュールの熱が必要です。136トンの水を蒸発させるには、

 1.477x10^11x1.36÷0.9524x10^7=2.11x10^4秒=5.86時間

全ての発熱が水に伝わったとして、燃料棒頂部が顔を出すのに5.86時間かかります。燃料底部が露出するのにかかる時間は水の量が半分ですから、露出から2.93時間後です。

底部露出は水位が低下を始める=冷却機能停止から8.789時間後になります。

外部に伝導して逃げる熱を考慮すると底部露出は約10時間後くらいになるでしょうか?

底部が露出してから、底部の温度が670℃を超してセシウムが気化するまでになる時間は1号機の時より余分にかかりますが、1時間も余計に時間がかかるとは思えません。

冷却停止後12~13時間で燃料棒被覆管損傷、水素大量発生ということになるようです。

 

[** 閉 **]

 

燃料棒底部露出は冷却停止後約10時間と計算されています。冷却停止が13時25分であれば、底部露出は23時25分になる計算です。

Wikでは19時45分、6時間20分で底部露出とあります。これは計算が合いません。

底部が露出すると、崩壊熱量が減っているとしても1時間ほどで被覆管の損傷が始まりそうです。23時39分に圧力が急上昇したというのなら、底部露出はこの数十分前になります。

13時25分に冷却機能を喪失というのなら、この10時間後、23時25分に燃料棒底部露出になります。

23時39分圧力上昇という情報が確かなら、露出後14分で燃料棒損傷が始まったことになりますが、おおよそで私の試算と一致しています。

注水が全く出来なかったことが前提になります。実際、バッテリーはなし、建屋の線量からして注水は出来ていなかったと思われます。

 

「TAF -3700mm」

これは燃料棒頂部からの距離です。燃料棒は4mありますからまだ底部は露出していません。ということは底部のセシウムは290℃の水に浸かっていて液体の状態です。水素は発生しておらず、格納容器の圧力は上がっていません。こんな時点に先立って「ベントを優先すべきだ」という話しをしていたというのです。何がなんだか滅茶苦茶です。1号機での話を差し込んだから、こんな事になったのでしょう。

消防車の燃料切れの話も、3号機の危険が予想されて、全員が避難した後、作業を再開しに現場に行ってみたらば燃料切れだったという話になっています。

SR弁を開閉する人がいなければ注水は進行しません。それなのに消防車の放水を継続していたというのも理解できません。