午の刻

家に戻った悠助は縁側でお茶を飲んでいた。
その隣には綾菜もいる。

特に会話も無く、お茶を啜る音だけが空間を彷徨っていたが、そんな中悠助が口を開いた。

「一人で出歩くなよ?」

ひょっと言われた言葉に、綾菜はきょとんとした後、思わず目を細めた。

「心配してくれるの?」

「そりゃあ……まあ…」

それだけ言ってお茶を啜る悠助は、些か頬を染めている。

「やっぱり幸せそうだねぃ」

「同感だよ。羨ましい」

良い雰囲気と言っても過言ではなかった二人に、邪魔とも言える声が降ってきた。

不意に聞えた声に驚いて其方を見れば、水無瀬の親分と勒七がいた。

「悪いねぃ、旦那。お邪魔してるよ」

本当に悪いとは思っていないだろうなと、悠助は思う。
綾菜も苦笑いだ。

「追い返したりしないでおくれよ?わっちらはこれでも真剣な話をしに来たのだからねえ」

そう言った勒七は、本当に相変わらずだ。

今にも勒七の後ろから、椿が顔を覗かせそうだと思う程に……。