シャープにみる希望退職について
シャープは、2012年に3,000人、2015年に3,200人を希望退職により人員を削減しましたが、2016年今年も、もさらに7,000人もの人員を削減すべく希望退職を募る予定です。
シャープの2016年3月時点での連結従業員数は4万3511人です。その16%にあたる人員が更に削減されるということです。
これまでに6200人の希望退職をしましたが、今後7000人もの希望退職者がいるかどうかでしょう。
シャープに限らず東芝、ソニーなど今まで日本の名だたる一流企業で希望退職が行われています。
●希望退職と退職勧奨の違い
・希望退職は、会社が経営難に陥ったときなどに、経営の合理化や採算性の回復などを目的に、従業員に対して通常の退職時よりも優遇措置を用意して、一定期間自発的に退職を促す措置です。
・退職勧奨は、従業員に対して個別に退職を勧めて自主的な退職を促すもので、希望退職の募集と平行して行うなど、また募集の結果、当初の目標人数に達しなかったときなどに行われるものです。
退職勧奨を行うこと自体は、法律違反ではなく、勧奨に応じるかどうかは従業員の自由です。
勧奨に応じない従業員に、執拗な勧奨を繰り返し、配置転換の示唆、労働条件の切り下げなどにより従業員の退職を強要した場合は、それ自体が違法行為となります。
「民法第709条の不法行為にあたり、故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」となります。
●整理解雇とは
上記手続き(希望退職)をしても、経営が立ち直らない場合に次に整理解雇となります。
しかし、終身雇用制や年功序列型賃金の日本型雇用システムにおいて、落ち度のない労働者を経営上の理由で辞めさせる整理解雇は、厳格な法的制約が課せられています。
大企業のいわゆる整理解雇の4条件です。
1. 人員削減の必要性
単なる経営不振ということではなく、人員削減をしなければ経営が行き詰まるなどの理由があること。
2.解雇回避努力義務
希望退職者を募集、配置転換、出向など、解雇を回避するための努力を事前に行うこと。
3.解雇者選定の合理性
解雇する人員が、主観ではなく合理性があること。
4.解雇手続きの妥当性
解雇される者と十分に話し合いを行い、納得を得るための努力を尽くしていること。
それでは中小企業の場合は
整理解雇を行う場合には整理解雇の4要件の1つに該当した場合などに実施しているのが現状です。
しかし、
- 30日前の解雇通達がなく解雇された
- 何の説明もなく整理解雇通知が来た
- 残業量や、役員の報酬が変わらないまま、また、求人募集をしているのに整理解雇された
整理解雇4要件を会社がしておらず、解雇撤回できる場合があります。
●早期退職、退職勧奨に応じるかどうかについては、筆者の経験からです。
年をとってからの退職
あまり年をとってからの転職は厳しい面があり、辞めた方はバイトなどしながら退職金を食いつぶして生活されている方が多いです。
仮に大企業の部長の肩書があって、中小企業に行っても、中小企業の部長は大企業の部長とは違って何もかもしなくてはいけないので、肩書だけでの転職も厳しい面があります。
若いときの転職
40代で会社に退職勧奨でいらないと烙印を押された場合は、会社に残るよりは、まだまだ若いので、再チャレンジするのもいいかと思います。私の知っている限りでも何人かの確率で、転職後成功をされている方もいます。
烙印を押されて会社に残っても、雨風が防げただけでその後の会社人生は不本意に終わる可能性が高いです。
●今後の我が国の雇用について
日本の終身雇用、年功序列賃金の雇用慣行は、今後更に大きな転換が行われると思います。
従来の労使一体の経営の日本的労働慣行からアメリカ型の労働者をコストとみる労働慣行になり、更に効率化が言われるでしょう。
ただ、従来の労使が一体となった経営が悪く、アメリカ型の労働者をコストとみる方かよいのか疑問がありますが・・・