locofrank特別インタビュー【OUR FREEDOM FES. 2011開催にあたって】 | 773Four RECORDS blog

locofrank特別インタビュー【OUR FREEDOM FES. 2011開催にあたって】

日々の生活で溜まったフラストレーションや普段ならコントロールすべき感情を解放できる場所、それがライヴハウスであろう。そんな場所を愛し、活動の基盤としてるlocofrankが、ROCK IN JAPANに出演後、某所にて『OUR FREEDOM FES. 2011』という完全フリーライヴを開催する。「ライヴにおける自由とは?」というメッセージがこめられたこのイベント、問われるのは己の責任に基づいた自由について。ライヴハウスと言えども、何もかもが許されているわけでない。自由と責任は表裏一体。もちろん、それは参加者のみならず、彼ら自身も含まれている。その深き命題について、メンバー3人へじっくりと訊いてみた。

interview by ヤコウリュウジ
[ 2011年7月17日(日) 都内某所にて]


——まず、『OUR FREEDOM FES. 2011』を企画したキッカケを教えていただけますか?
木下(Vo./Ba.) 順を追って話すと、ROCK IN JAPANには昨年も誘ってもらってたんですが、「ダイブ禁止を掲げて、ダイブした人にはそれなりの処置をします。その方針に納得していただけるんであれば、出演してもらえませんか?」という内容だったんですよね。オレたちのライヴでダイブはもちろん起きてるから、ROCK IN JAPANという場でも起こるんだろうなという想像はついたし、心の中で整理できないところがあって、出演を断らせてもらったということがありました。もちろん、オレたちはある一定の人たちに向けて音楽をやっているわけじゃないし、いろんな人たちに聴いてもらいたいと思ってるから、出たくなかったわけじゃなくて……出る以上、そこに自分たちの気持ちが乗っからないと、locofrankというモノを最大限に表現できないんですよ。で、そこからですよね。「どうして、オレたちは断ったんだ?」っていうことを話し合うようになって。そもそも、ダイブに関して良し悪しなんて考えたことがなかったし。
——厳密に言ったら、フェスのみならず、ダイブがOKなライヴハウスもないですからね。大きなケガに繋がることもあるし。
Tatsuya(Dr./Cho.) 基本的にはそうですよね。
木下 実際、ROCK IN JAPANがそういった結論に至ったのも、大きな事故が起きたからだし。それもわかるんですよ。でも、オレたちもそうだったけど、大好きなバンドを観たときにこみ上げくる気持ちを抑えられなくて、ダイブをしたり、拳を突き上げたりするんだろうし。
——凄く理解できるんですが、ダイブやモッシュの是非についてはいろんな意見がありますし、難しい問題ですよね。
木下 そうなんですよね。そういった中で考えた結論が、「オレたちはダイブありきでライヴをしてるわけじゃないし、ROCK IN JAPANには出演させてもらおう」と。で、その場では主催者がダイブ禁止と言ってるんだから、ダイブはするな。ただ、少なからずお客さんに感情を押し殺す瞬間はあるだろうから、「その気持ちを受け止める場が別にあればいいんじゃないか?」と思ったんですよ。で、ROCK IN JAPANの終演後に移動してもギリギリ間に合う場所を検討し、いつもお世話になってるライヴハウスの店長さんに「こういった趣旨でフリーライヴをやりたい」という話をして、快く了解していただきました。「ROCK IN JAPANが終わってから、まだ元気があって、その押し殺した感情の行き場がないなら来いよ」っていう。
——ただ、その結論に至るまではたいへんだったでしょうね。
Tatsuya 凄く考えましたよ。でも、まず最初にみんなで話し合ったときに出てきた意見が、「ダイブが禁止なんて、ふざけるなよ!」って言うだけだったら誰でもできるし、出演を断ったからといって、世の中にオレたちの意見が伝わってるわけでないということだったんです。
——お客さんからすれば、「今年はlocofrankが出ないんだ?」っていうことだけですからね。
Tatsuya そうそう。そこに気づいたとき、「だったら、出る意味があるな」という流れになり、その中で「オレらの想いをちゃんと伝える方法を考えよう」と考え、結論として当日に違う場所でもう1回ライヴをするという形になりました。
——ちなみに、意見は割れましたか?
森(G./Vo.) 割れはしなかったですね。ただ、「出るからには想いを伝えたい」というのがあったから、今回の結論に至るまでは物凄い葛藤がありましたよ。Tatsuyaが言ったように、アンチになるだけなら簡単じゃないですか。でも、そうではなくて、今までlocofrankとしてやってきたことを加味した方法というのがなかなか思いつかなかったし。ただ、振り返ってみれば、そういった問題に関して、しっかりと考えることができたいい機会ではあったかなと想いますね。
——たしかに、日頃から目にしているモノに対して、なかなか考えこむようなことはないでしょうし。
 あと、今回の『OUR FREEDOM FES. 2011』は、ダイブの受け皿っていう意味もあるけど、オレらとしてはもうひとつの意味合いがあって。普段、当たり前のようにダイブをしてるけど、それは当たり前じゃないっていうこと。ライヴハウスって、みんなで作ってる空間じゃないですか。飛んでるヤツも飛んでない奴も、みんな一緒。ライヴハウスにいるひとりひとりがそういう意識を持たないと、ライヴは成立しないんですよ。
——ライヴハウスは自由な場所ではあるけど、人に迷惑をかけていい場所ではないですからね。
Tatsuya MCでもたまに言うんですけど、「ライヴハウスはめっちゃ自由な場所だけど、守らないといけないこともあるっていうのをわかってる?」っていう。やっぱり、それを知ってて欲しいし、理解するべきやと思う。別に、オレたちのライヴに限った話じゃないと思うんですよ。例えば、じっくり演奏を聴くようなジャズのライヴのとき、友達と大声で話してたら明らかに迷惑。暗黙の了解とでも言うのか、最低限は守らなきゃいけないモノがありますよね。
——今回、ROCK IN JAPANがキッカケになり、ダイブがキーワードにはなってるけど、そこだけに限った話ではないと。
 そうなんですよ。実際、パンクロックをダイブしないで観てる人もいるわけですし。ダイブしてようがしてなかろうが、同じ気持ちで観てて、そういったモノが全部入り交じって、ひとつの空間として成り立ってるという。そこが伝わったら嬉しいですね。
Tatsuya まあ、ちょっと堅い話にもなったけど、「オレらができるところまでだったら、ナンボでもケツは拭いたるよ!」っていうことですよ。
木下 あと、先日の渋谷CLUB QUATTROのライヴでも言いましたけど、正解のダイブないじゃないですか。ただ、『OUR FREEDOM FES. 2011』では、773Fourの代表であるSAKが身を持って正解のダイブを見せるっていう(笑)。
一同 ハハハハ(笑)。
Tatsuya 昔、NO USE FOR A NAMEのライヴでSAKがステージダイブしたのを観たけど、空転してフロアに飲み込まれてたな(笑)。
——まあ、パンクロックが好きでライヴハウスへ通っていれば、みんなダイブの思い出はありますよね。
木下 でしょうね。凄く印象に残ってるのが、神戸CHICKEN GEORGEへHi-STANDARDを観に行ったときなんですけど、鋲ジャンを着た兄ちゃんがオレの顔を観ながら自分の肩を指さしてるんですよ。まだ高校生だったし、その意味がわからなくて、「オレの鋲はすげえだろ?」って言ってるのかなって思ったぐらい(笑)。
一同 ハハハハ(笑)。
木下 で、そうこうしてるうちに、後ろにいた兄ちゃんと姉ちゃんがオレの足を持ち上げて、ダイブっていうかクラウド・サーフですかね。人を上をゴロゴロ転がって「あ~、気持ちいいな~!」って。オレが暴れないように足首はしっかり持たれてましたけど、あの感触は今でも憶えてますよ。そう言えば、話をしてて思い出したんですけど、『STANDARD』のツアーで名古屋へ行ったとき、14歳の中学生がお母さんと一緒に新潟から観に来てくれたんです。で、そのお母さんに「人の上に乗っかるのは決まりなんですか?」って訊かれたことがあって。
——ライヴハウスの文化に触れたことがなければ、不思議に思う光景でしょうからね。
木下 だから、「決まりでもないし、黙認してるわけでもないんですけど、オレたちは暗黙のルールっていうのを固めてるつもりではいます。だから、14歳だろうが、ライヴハウスへ来る以上、責任を持って欲しいという気持ちがあって。それこそ、お客さんに子供がいるから激しいライヴをしないという選択肢はないんです。実際、様々な年代の人が観に来てくれてて、60歳の人もいるし、そういういろんな人たちの気持ちをカバーして、ひとつのロマンみたいなモノを作り上げるのがオレたちがやりたいことなんです」っていう話をしたんですよ。そうしたら、「この子が社会へ巣立っていくときに、いろんなルールの中でやっていくことと同じなんですね」って言ってくれて……まあ、横を見たら、その子が号泣してるからビックリしたけど(笑)。
 正行(木下)の言葉が響いたんだろうね(笑)。
Tatsuya もう、どっかの小学校へ赴任してこいや(笑)。
一同 ハハハハ(笑)。
——わざわざ新潟から名古屋まで来たわけですから、locofrankのことが相当好きなんでしょうね。
 ですよね。オレがその子だったら、たぶん泣くし。
木下 好きなモノに躊躇なく足を運んでくれたっていうのは嬉しいし、オレが14歳のころからしたら、凄いことだと思いますしね。その子には、たまたま話す機会があって、オレたちの気持ちが届いただろうけど、それをひとりひとりにするわけにもいかないじゃないですか。で、「どうやって伝えていくんだ?」っていう答えが、今回の『OUR FREEDOM FES. 2011』。ただ、これが絶対に正しいことだとは思ってないんです。でも、オレたちが今できることであり、やりたいことを持続していく為の行動だということが感じ取ってもらえればなと。
——硬い表現になりますけど、ROCK IN JAPANでのライヴ後に『OUR FREEDOM FES. 2011』を開催するというのは、locofrankとお客さんとの信頼関係を確認する行為かもしれませんね。
Tatsuya たしかに、そういった面はあるでしょうね。
——「一緒に面白いことをやろうよ。ただ、それを実現するには、守らないといけないこともあるんだよ」っていう投げかけをROCK IN JAPANで受け止めて、『OUR FREEDOM FES. 2011』で投げ返してくれたら、素晴らしいことですよ。
Tatsuya ですね。ただ、「両方来い!」って押し付けることはなくて。信頼関係みたいなモノが成り立ってるんだとしたら、どっちかだけ来てくれても絶対に面白いはずだから。
——たしかに、そうですね。あとは、信頼関係の成り立ち方がどういったモノになるか。
木下 やっぱり、オレたちもお客さん側へ踏み込めないところが絶対にあるんですよ。それとは逆に、踏み込んできてもらっては困るというか、任せて欲しいところもあって……もちろん、オレたちとお客さんの関係性はもっと親密になりたいし、交わってるところは、物凄く濃くしていきたい。だけど、交わらないところもあるから、そこはお互いが考えて、それを持ち寄ったときに交わってるところがより一層濃くなればいいなと思うんですよ。その結果が素晴らしいライヴへと繋がったら、最高ですからね。



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2011.8.5[fri] ????????????
locofrank presents『OUR FREEDOM FES. 2011』
OPEN/START 20:30/21:00
TICKET ¥0 (1DRINK無し)
※locofrankワンマン公演
info:当日発表

※この公演は無料ライブの為、ご来場のどなたでもご入場出来ます(もちろんROCK IN JAPANに行っていない方も!)。引換券や整理券も発行致しませんので、順次ご来場のお客様からご入場いただき、定員になり次第ご入場を締め切らせて頂きます。先着順となりますのでお越しいただいてもご入場出来ない場合がございます、ご理解のほどお願い申し上げます。また、近隣周辺のご迷惑とならないよう節度ある行動をお願い致します。皆様のご協力宜しくお願い申し上げます。