夏八木勲初主演/五社監督演出作品。従来の東映時代劇とは一線を画す東映京都「牙狼乃介」 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

休み最終日、朝から降雨で昨日より肌寒い秋田市内です。只、西日本では真夏日の地点も有るそうで、国際的には狭い国土でも「広さ?長さ?」を改めて感じさせます。

 

 

 

さて、文学座と劇団俳優座養成所を経て、昭和41年に東映に入社した夏八木勲。

 

 

しかし、東映京都を主戦場としていた勲さんは「東京で劇団俳優座の同期の仲間達が小さな劇団を立ち上げて活動しているのを耳にしたものの観劇出来なかった」「映画は当時の京都は封切が東京より1か月遅かったらしく、その様な環境に不満を抱いていた」そうで、泰監督から「懲役十八年」への出演を誘われたものの、鬱憤が溜まり始めていた矢先だった為に断り、昭和43年に東映を退社します。(但し、皆様ご存知の通り、勲さんはその後も東映の作品には主演を含めて相当数出演をされていますので、遺恨は全く残っていない模様です)

 

 

晩年に「新人と云っても27歳の僕を東映は売り出してくれ、泰監督は直接出演依頼をくれたのに…本当に無礼だった」と悔恨の情を吐露しています。(一部ウィキペディアより引用しています)

 

 

 

しかし、東映が勲さんに相当な期待を懸けていた事は確かな様で、泰監督の傑作「骨までしゃぶる」(桜町弘子主演)に於いて助演級で劇場公開作品初出演を飾った大凡五か月後、出演二作品目で早くも主演を射止めています。

 

 

当時フジテレビの社員だった五社監督の、東映で二度目の演出を手掛けられた作品です。

 

 

 

「牙狼乃介」(「牙狼乃介シリーズ」第一弾)昭和41年11月19日公開。五社監督原案/監督兼任・田坂啓脚本。

 

 

未VHS/DVD化作品でDMM.com/GYAO!ストア内で有料動画配信が行われています。又、数年前に日本映画専門chでの放映実績が有ります。

 

 

今回は「俺が撮影した汚く、醜い写真」を使用します。何卒ご容赦下さい。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

 

当作品は、昭和41年11月19日から先行上映されていた鶴田のおやっさん主演の「七人シリーズ」第二弾で「主要出演者が全員障害者!それ等が健常者の悪党連中に牙を剥く傑作任侠映画」である「お尋ね者七人」(小沢天皇監督・東映京都制作)の併映作品となった模様です。

 

 

 

 

 

 

 

天涯孤独の素浪人である勲さんが或る宿場における「御用飛脚の利権争い」に巻き込まれ、利権を手にしていた目暗の若い美人女将(宮園の純子姐御。KINENOTE上は桜町弘子となっていますが、何らかの事情で純子姐御にお鉢が回ったものと思います)の側に付き、悪党軍団の頭(エンタツさん)とその客人(内田の良さん)と死闘を演じます。

 

 

「囮の数万両の輸送」を引き受けさせられ、多くの飛脚が危険に晒される事になるとも知らず…

 

 

 

 

 

 

「勲さんが鞘から出した刀に純子姐御の話す姿が映し出される」等々「従来の東映時代劇には無かった斬新な演出」が為されているのは勿論の事、時間の制約が劇場公開作品以上に求められるテレビドラマの現場で鍛えられた腕なのでしょうが「73分の短い尺の中で、恨み辛みや恋心、死闘等々を適度に掘り下げながらも端的に描き、長時間の大作に決して引けを取らない中身の濃さと重厚感を観客に提供した事」が美点!

 

 

勲さんは「当作品で使われた刀は真剣と同じ重量の鉄心。刀引きはされていたものの「パシャーン」といい音がして火花が散る事も有った」と話されていた模様。

 

 

 

そして「最も見所」と感じたのは「虚勢を張ってはいるが臆病で気弱なヤクザ幹部を演じさせたら右に出る者は居ない!」と言われているオリジュンが、エンタツさんと結託する役所の番人」として、ヘタレどころか「灰汁を出し切ったかとも思える悪党ぶり」を、短時間の出演ながら見せ付けています。

 

 

既に名優の名を得られていた内田の良さんの芝居は勿論ですが、初主演作で良さんとほぼ同等の貫禄と凄味を見せ付けた勲さんの迫真の芝居は更に観る方々の気持ちを熱くさせます。

 

 

 

大学を中退して迄も大凡六年間、養成所で自らを鍛えて来た勲さんの努力は並大抵のものではなかったものと思います。そして、最期の最期迄「監督から要求されたら、それに応え、肉体で表現するのが役者だ」の信念を曲げる事は無く、常に自らを鍛えいたとも言われています。「希望の国」へ出演した際は、居住地の鎌倉から二時間かけて鉄道で埼玉県内の撮影現場に通ったそうですし…

 

 

 

この作品も是非、早期のDVD化を強く望みます。

 

 

 

他の出演者は、田原久子・富永美沙子・武智豊子・毛利清二(東映京都で刺青を担当されていた方でもあります)・汐さん(刺青入りのツルッパゲで登場!)・佐藤京一・西田良・阿波地大輔・宮城幸生・木谷邦臣・青木義朗等々です。