「ロードムービー」 | プロ作家へGO!!

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ロードムービー/辻村 深月


★★★☆☆

辻村深月さんの短編集。
表題作の「ロードムービー」含む三作が収録されています。
いずれもじわっと目頭が熱くなる感動作。

最後読み終えたとき、
なんか登場人物の背景が分かりにくくて
「もしかして著者が仕掛けた謎に気付いてない?」
「もしかしてこの三つの作品って実はつながってる?」
という微妙な違和感があったんで調べたら、
これって著者のデビュー作「冷たい校舎の時は止まる」の
スピンオフ短編集だったんですね、知らずに読んでしまった。

「冷たい~」を読んでから手をつけるべきだったかも。

にしても辻村深月さんの書く小説は
心のツボにはまりますね。

単なるヒューマンドラマでも、トリックものでもなく、
両方の期待に応えてくれるところがとても贅沢です。

表題作の「ロードムービー」。
小学生二人の逃避行をロードムービーに例えたみたいですね。
いじめの対立軸をあくまで子ども対子どもに置いていて、
変に学校とか先生のせいにしてないところなんか好感が持てます。
ラストのワタルの応援演説は涙が止まりません。

「道の先」
中学生の千晶と大学生の俺との話。
好きでもないのに受け入れるのは
責任逃れの優しさだと責める千晶に、
痛みを一緒になって受けとめる覚悟を持って
受け入れているんだと応える俺。

少女に対して、大人が真摯な態度で接することの重要さ、
みたいなものがひしひしと伝わります。
村上春樹の「ダンスダンスダンス」みたい。

「雪の降る道」
これはあんまり感動しそうもないかなと思いながら読んでたけど、
じわっときました。
ベタでも基本に忠実に描写していければ
感動を呼び起こせるんですね。