概説 最高裁判決  (司法記者クラブの会見) | セブン-イレブン経営被害者の会

概説 最高裁判決  (司法記者クラブの会見)

【本件訴訟の意義】


・ 加盟店オーナーは「独立の事業者」(契約書第2条)として、自店の会計を自ら管理し、適正な税務申告の義務を負っている。日々仕入れる商品は、セブン-イレブンに毎日売上金を送金することによりこれを預け、月ごとにこれを締め、後払で決済されているが、実際には、いつ・いくら仕入先に支払われているのか確認することができない。確認する手段がない。


・ 確認する手段がなければ、たとえ本部による「中抜き」のようなことが行われたとしても、それを検証・是正することもできない。


・ そこで、上告人らは、契約書第36条の本部が加盟店に交付すべき「資料」にこれらが含まれるべきこと(契約上の根拠)、領収書や請求書の交付は商慣習法となっていること、民法の(準)委任契約における受任者の報告義務に法的根拠を求めて、上記報告を求めた。


【最高裁の判断の概要】


・ 仕入代金の支払いに関する事務の委託は準委任(民法656条)の性質を有する。

・ 商品の仕入は加盟店の経営の根幹をなすものであり、加盟店経営者が独立の事業者として仕入代金の支払いについて具体的内容を知りたいと考えるのは当然。


・ 発注システムによる仕入代金の支払いに関する被上告人から加盟店経営者への報告について本件契約に何らの定めがないからといって、受任者の報告義務(民法656条、645条)が認められない理由はない。


・ 被上告人は、本件基本契約に基づき、上告人らの求めに応じて本件報告をする義務を負う。


・ 報告義務を負うべき本件報告の具体的内容について、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻す。

(裁判官全員一致の判断)


【弁護団による判決の評価】


・ 商品仕入代金の決済につき、加盟店が本部に委託している法的関係を準委任契約と把握した上で、契約条項上明文の規定がなくとも、受任者の報告義務に関する民法の適用がある、という基本的な法適用原則を確認したところに意義がある。

(これまでセブン-イレブン本部は、フランチャイズ契約に民法の適用がない等と主張していた)。


・ 加盟店経営者が、セブン-イレブン本部とは独立の事業者であり、自らが支払義務を負う仕入先に対する代金の支払を委託しているのだから仕入代金の支払いについて具体的内容を知りたいと考えるのは当然、という正しい理解をしている。


・ 商品代金の決済に関する報告義務がセブン-イレブン本部にあることを明示しており、加盟店の勝訴判決と評価しうる。


・ 報告の具体的内容について今後高裁で審理されることになるので、これに向けた対応を行う。




【事件】 【請求の概要】 【主文】 については重複を避けるため省略します。