1.日本史と世界史の出会い


これが出会いというものなのか。高校で私は実に愉快な、魅力的な男と出会った。


名前を明かしてしまうと、ネットで調べれば簡単に誰なのか、どんな人物なのかわかってしまう。その程度には知られている男なので、逆に名前は明かせません。


ここでは中某とでもしておきましょう。


この中某という男。得意科目は世界史で、ダントツの博識。おまけに高校生とは思えないくらい筆が立った。母校で文芸誌を作るときは彼がクラス代表で文を書いた。


高校卒業後は彼はJ 大学に入り、その後は出版社に就職し、皆さんもよくご存じのマンガ雑誌の編集長になった。マカロニ・ウェスタンについての本も出しているし、それ以外にも色々と本を出したようだ。


一方、僕はと云えば子供の頃から日本史が好きだった。好きこそものの上手なれ、と言いますが、日本史の成績はもちろん良かった。手前味噌になりますがダントツだった。


高校では僕が『日本史の○○』、中某が『世界史の△△』と呼ばれ、級友たちから一目も二目も置かれていた。


世界史と日本史が出会う場所『シルクロード』は、だから僕と中某の関心が出会う場所でもあった。いつか2人でシルクロードを題材にした小説を書こうぜ、よくそう言い合ったものだ。


[つづく]