本日11月2日の水曜日は、歴史教室の課外授業で、Bad Homburgにある、ローマ時代の遺跡であるSaalburg城砦に行ってきました。ここに残ったローマ帝国の国境である長城(リーメス)が世界遺産に登録されているのです

うちから、車で30分かからずに行けるので、先生たちと一緒に公共交通機関を利用するのではなく、単独で自家用車で現地集合にしました 家を出る時間が、1時間くらい遅くできるので楽かなって思って 残り1kmくらいのところで霧が出てきて視界が悪くなっちゃいましたが、無事に予定時間通りに到着

合流して、先生たちと一緒に内部を巡り、色々と説明していただきました。巡った順ではないのですが、帰って調べたことを含め、ざっと学んだ内容を記録しておきます

1世紀末ごろから、ゲルマン人の侵攻を防ぐために、国境の防衛のためにリーメスの建設が始まりました。まずは、中央の建物の壁に記載された下の地図を使って、理解したことの整理をいたしましょう。

紀元前からゲルマン人の度重なる侵攻に脅威を受けていたローマ軍は、紀元前58年のシーザーの時代、ゲルマン人をゲルマニアの奥地に追い返すことに成功し、ローマ帝国時代にはライン川(地図の左側に縦に走ってる線)とドナウ川(地図右下に横に走ってる線)が自然国境となってライン川西側、ドナウ川南側がローマ領として広がっていました。ドナウ川沿いの軍事拠点としてアウグスブルクが、ライン川沿いの軍事拠点としてマインツ、ケルン、コブレンツ、ボンなどの軍事都市が発展しました。この二つの川に挟まれた三角地帯について、ゲルマン人が自由に生活する未開地帯となっていましたが、征服することはできずにいました。1世紀末に、この三角地帯を取り込んだ国境線としてのリーメスの建築をはじめ、16世紀頃には全長約580kmの北東側はライン川沿いアンデアナッハ(コブレンツの北)付近、南西側はドナウ川沿いレーゲンスブルク付近までの国境を守る長城(城壁)が築かれました。この城壁沿いに、一定間隔で見張り櫓や、所々に砦を築き、そこでローマ兵が駐屯して国境警備をしており、Saalburgはそのうちの一つ、ということになります。

下は、城門に入る前に置いてある見取り図。もともと、初期は赤い線で描かれた、80×84mの小さな砦でしたが、後に147×221mの城砦になりました。
 

上の城蹟見取り図の、敷地真ん中の一番大きな建物の手前(下)側が、駐屯していた兵士たちが朝礼のために集まったりしたホールになっており、上のリーメスの地図などはそこの壁に描かれていました。そこの絵を使った話をもう一つ、ついでに。このような、国境警備の最前線にあたっていたのは、どんな人々だったのか
 
ローマ時代の兵士の絵です。この時代には兵士は2種類いたそうで、ローマ市民権を持っている正規兵と、ローマの領地拡大の戦いに敗れて従属させられた土地に住んでいた、市民権を持っていない補助兵。正規兵の任期は20年で、補助兵は25年務めると市民権が得られたそう。しかし、25年を生き延びるのはきっと、、、ということでした。国境最前線に詰めていたのは、左側に描かれているような補助兵たちだったそうです。右側が正規兵のいでたちです。

さて、城門をくぐって中に入ります。


入ってすぐ右手にある建物は、穀物倉庫だったそうです。現在は博物館になっています。

この道を挟んだ向かい側に、司令官の居住していた館があり、この写真で奥に見える濃い茶色の建物のところが、兵士たちの宿舎であったところです。

この穀物倉庫前の道を奥に進んでいくと、兵士たちが朝礼をしていたホールがある建家があり、中庭があります。その中庭に井戸の跡がありました。
 
井戸は99個も発見されているそうです 掘って利用しているうちに、枯れてしまい、そうすると次を掘る、という形でどんどんと作っていたそう。この枯れ井戸は、ゴミ捨て場として使われるため、のちの発掘で井戸の中から出てきたもので、食べていたものや、生活の様子がわかったそうです。

中庭を抜けた奥にある建家には、最も大事なものが保管されていたそうです。

みんなで中をのぞき込んで確認戦いの時、各師団ごとに別れて集団的に戦術を持って戦いますが、その戦い方の指示をするための「旗」が飾ってありました。

ローマ時代の正式な食事の様子がマネキンを使って再現してありました。

この時代、寝そべって食事をするのが、正式な作法であったそうです。身体に悪そうな気が・・・

城砦の周りを歩きます。このように、石垣でぐるっと囲まれています。ちょうど、紅葉が綺麗な時期でした

パン焼きがまの跡です。

駐屯していた兵士たちは、任務の間に、最低2種類の職技能を身に付けることが義務となっていました。パン焼きも、そのうちの一つ。他にも、大工や陶器づくりなどいろんな職人技能があり、博物館の中に、どんなものがあったかなど展示されていました。

そのうちの一つ、石工です。石臼や、石の屋根瓦などが展示されていました。

博物館のその他の展示品。国境警備に使った槍や盾

見張りが、敵の襲撃を知らせるためのラッパなど
 
浴場の模型です。この城砦にもお風呂があったんです

木製の水道管。水道が整備されてるってすごいですよねぇ。

これは博物館の中ではありませんが、、、床暖房が設置されていた建物跡です。床暖房ですよお湯を床下に通して、温めていたという説明が横の石板に描かれています。


それから、兵士の宿舎を。2段ベットで、8名が寝起きしていたようです。

盾や槍、見張りに使うラッパ、鎧兜やマントなどが展示してありました。
 

さーて 見学を終えて、この日一番のお楽しみは・・・ ローマ時代のお食事(食材や調味料、調理法など)を再現した3コースのランチ 先生が、併設のレストランに予約をしてくださっていました。一般のメニューには載っていなくて、ある一定人数以上で交渉して予約してくださるんです そうそう、この時代の調味料は、塩や砂糖がなくて、香辛料やハーブを駆使して味付け、甘味はヤシの実やイチジク、ハチミツだそうです。
まずは前菜。これ、一人前ですよ、盛りだくさん ハーブのクァーク、燻製のソーセージ(スパイスの風味が効いてました)、イタリアのハム、オリーブ、シャンピニオンのハチミツソテー。

これ、どれも凄く美味しくてまた、パンもスパイスの香りがしてほんのり甘く、とても美味しいものでした
続いては、メインディッシュ。鶏胸肉のオイスターソース、付け合せはとうもろこしのポレンタ、にんじんのバターコリアンダーです。これまた、鳥肉はしっとり柔らか、ポレンタもほのかに甘く、人参も歯ごたえが残って美味
 
そして、デザートまでナツメヤシを入れたクァークのムース、両脇にはナツメヤシと飴がけした松の実が並び、西洋梨のピューレが敷いてありますミントと、ドライフラワーが飾られていました(もちろん、食べられます)。盛りつけも綺麗で、お味も甘すぎず、Good
 
ローマ帝国時代のお料理、どんなものを食べていたのか、という勉強をしながら、美味しいランチがいただけて、大満足もちろん、現代風にアレンジしてあるんでしょうけども、、、塩ナシは、有り得ない気がしますしね。。。以上、充実の課外授業でした

ランチを終えて、解散でした。解散後、14時までの水曜テニスには間に合いませんが、その後のお茶の時間にちょうどいいじゃん~ってことで、テニスには参加できてないのに、ちゃっかりお茶の時間にテニスを終えたみなさんのもとに現れたのでした だって、この時間がまた、楽しいんですものね~。