今夜は何だか無性にジョン君の声が聞きたくなって

久し振りに確認も取らずに電話をしてみた。

思えば彼女の声を聞くのは1カ月振りだ。

21時頃、携帯電話の向こうから弾んだ声が返ってきた。




珍しいね、アヤちゃんが。

事前にメールで確認しないでかけてくるなんて。

何かあった?




「珍しいね」はこっちのセリフだ。

常時テンション低くて低血圧で眠たそうなジョン君が。

初対面でどんなに明るく振舞っても「クールな」と形容されるジョン君が。

「弾んだ声」で電話に出るなんて。


何かあったかと訊くということは、あっちにはこの後何か予定があるのだろう。

それも、声の弾みを抑えきれない程の良いコトが。


そう思って、特に何も用事はないけれどもそっちこそ何かあったのかと尋ねたら、

今日が妹さんの誕生日なんだそうで。


客観的に見て、彼女は幼い頃から割と家族との関係も希薄だったんだけれど

何だかんだで妹弟は可愛いらしく。

離れてみてからは一層可愛がっている。


そんな妹さんの誕生日で、3か月ぶりくらいに電話するのだと、嬉しそうに教えてくれた。




今はまだ学校だけど、ゆっくり話したいから今日は帰るよ。




「今日は」って。突っ込みたい気持ちを抑えて電話を切った。






………ちょっとジェラシー…(笑)


…って、うっかり同じ大学の友人に漏らしたら、




アヤ、それは浮気だぞ。




と、真面目に諭された。

僕にとってはジョン君は性別不詳で、そんな気は微塵も無いんだけど。

「それもどうなの?」って、呆れられてしまった。

まあ、確かに。否定はしない。

が、今更どうしようもないことで。…ねえ?