三大療法③ 来談者中心療法 | ファイブアカデミーの心理学入門

三大療法③ 来談者中心療法

皆さん、こんにちは。あっという間に9月となり、セミの声が名残惜しいですね。
震災から5ヶ月が経過し、日本の政局もまた変わり目を迎えました。
政治の安定を願い、被災地の皆様の安全と復興をお祈り申し上げます。

今回のテーマは三大療法の最後を飾る「来談者中心療法」です。
現在のカウンセリングの父ともいえるような存在のロジャーズが提唱した療法で、
元となるのは自己理論です。来談者とはクライエントのことですので、
「クライエント中心療法」とも呼ばれています。

ロジャーズは、助言や指示が多かった、それまでの伝統的なカウンセリングを、
「指示的方法」として批判し、まずはじめに「非指示的療法」を考えました。
その後、カウンセラーの態度と人間観をより強調して、
「来談者中心療法」を提唱するようになりました。「来談者中心療法」では、
カウンセラーの態度として「受容」「共感」「自己一致」がとても大切にされています。

伝統的な方法を批判したロジャーズですが、
実はフロイトの高弟ランクから、大きな影響を受けたことを名言しています。
また、心理療法とカウンセリングを同じ意味で用い、患者ではなくクライエントという
呼び方をしたのもロジャーズが最初だといわれています。

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では、自己理論について見てみましょう。まず第一にロジャーズは
「人間は自ら成長し、自己実現しようとする力をもっている」と考えていました。
このことを覚えていてくださいね。

人はそれぞれ自分をどう見ているかという「自己概念」を持っています。
それは子供の頃からの経験や、親などの評価によって形成されていきます。
皆さんも、持っていますよね。その自己概念と一致しない経験をすると、
経験をありのままに受け入れられず、なかったことにするなどの否認を行ったり、
自己概念が経験と一致しないと、こうあるべきだと自己概念を歪曲したりします。

この経験の「否認」と自己概念の「歪曲」を自己不一致の状態といい、
問題行動や心理的不適応を引き起こすとロジャーズは考えました。
柔軟な自己概念を持ち、否認や歪曲をすることなく、ありのままに受容できることを
自己一致の状態といい、理想的なものであると考えられています。

簡単に言うと、気持ちと行動に矛盾がないということになります。
現実的にはなかなかむずしいですよね。きちんと自己一致していれば、
いつもすがすがしい気持ちですごせるかと思いますが、なかなかそうはいきません。
皆さんは、自分がどのくらい自己一致していると感じられますか。
がんじがらめの気持ちにとらわれたときは、上の図を思い出して、
2つの円の重なりを大きくするようにイメージしてみてくださいね。