飯舘村の年越し 「やっぱり家は落ち着くな。先祖伝来のここが一番いい」 | HID 交換 純正、HID 交換 工賃

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福島県飯舘村の農業、斎藤一(はじめ)さん(68)は31日、自宅の居間を見下ろす神棚に正月飾りを施した。脚立を支える妻のユキ子さん(67)がプラスチック容器に入った鏡餅を手渡す。毎年、しめ縄も鏡餅も門松も手作りだったが、今回はホームセンターで市販のものを買ってきた。

 「鏡餅は割れたら豊作とかあるんだけど、これじゃあ割れねえな。田畑も荒れ放題だから、豊作もなにもないんだけど」と一さん。ユキ子さんは庭に咲いた紅白の南天の切り花を仏壇に供え、静かに両手を合わせた。

 「ご先祖さま、申し訳ねえけど留守番しててな、絶対戻って来るからなって、位牌(いはい)は置いたままにしてんだ。いくら荒れようが、家はここだから」

 一さん夫婦が避難先の南相馬市から帰宅したのは31日朝。特例として12月29日~1月3日の宿泊が認められた南相馬、田村、飯舘、川内4市村の「避難指示解除準備区域」と「居住制限区域」の住民約8千人のうち、約6%の156世帯523人が一時帰宅を申請した。「申請の大半は高齢者からで、子供連れの世帯は少なかった」(原子力災害現地対策本部)

 一さんは「1年たって、また1年。飯舘がどんどん遠くなっちまう気がする。家族も村もこのままバラバラになんのかな。もう若い人は帰ってこないかもしれない」とつぶやく。

 日も暮れた夕方、2人は近くの神社に行った。「去年はお参りできず、心残りだった」。小雪のちらつく中、夫婦そろって柏手(かしわで)を打つ。「家内安全」を願った。「早期帰還」はあえて祈らなかった。「早く帰れればいいんだけど、それは神様でもどうしようもないことだからな」

 「今年一年、お疲れさま」。自宅に戻ると、下戸の一さんはユキ子さんとジュースで乾杯。年越しそば、昆布の煮染め、焼きざけ、山菜の漬物…。コタツに手作り料理が並ぶ。ユキ子さんは「食べきれないけど、正月気分になるね」とほほ笑んだ。

 食後にみかんを食べながら、NHK紅白歌合戦を見た。次第に故郷での生活の調子が戻る。「なんだかんだで、やっぱり家は落ち着くな。先祖伝来のここが一番いい」。外からは除夜の鐘の音が響き始めた。「明けましておめでとう」。夫婦はまた、乾杯した。(玉嵜栄次)