「わかくさバザー」で先輩お母さんGさんと同じ売り場を担当しました。


Gさんは、いつも笑顔で明るいお母さんです。


その方が仰った言葉に驚きました。


「独り暮らしをしたいわぁ~」


Gさんの話を伺って、驚いたのはこの言葉だけではありません。


「私ほど汚い人間はいいひんのよ。」





その言葉の裏には、ご主人様との夫婦仲がありました。


「娘が障害者でなかったら、離婚してた。」


「障害者だから、生活費のために離婚していないだけ…」


「お金のために結婚生活を持続しているだけやから、これほど汚いことは無い。」


「一緒に食事などしないわ。お父さんが食事する時は、私と娘は食べていても別の部屋に行って食べるの。」


「そうよ。同じ部屋で食べたないから…」


「食べてても、別に部屋に行って食べるの。」


「ねっ、私って汚いやろ…」


「お父さんと一緒に暮らしたないねん。娘さえいいひんかったら、いつでも独りで暮らせるのに…そう思うねん。」


「娘のために夫婦でいるだけやねんよ。お金が無かったら生きて行かれへんから…」





お嬢さんはもう30歳を超えています。


ダウン症で、知的な遅れも軽くないです。


今もGさんがお嬢さんと一緒にお風呂に入って、身体を洗っておられます。


一日中、お嬢さんのための暮らしなのです。





そんな暮らしの中で、ご主人様と何があったのかは分かりませんが、決して良くない、ご本人の言葉をそのまま使えば、最悪の夫婦仲なのだということでした。





一般的に、障害者の両親は夫婦仲がいいと思っておられるようです。


そうであってほしいと思っておられるのかもしれません。


でも、実際には仲が良くないご夫婦も見てきました。


そういうご夫婦も決して少なくはありません。


作業所のバザーのお手伝いをなさるお父さんが少ないことも、そのことを表しているのかもしれません。





80歳代で、前の「わかくさ施設をつくる会」の会長だったMさん。


Mさんは息子さんと二人住まいだと聞きました。


奥様はもう亡くなられたのかもしれません。


亡くなられて仕方なく会長になられたのではないと思います。


元々、奥様との会話も出来ていて、ご夫婦で育てられて来たから現在があるように思うのです。





夫婦仲がいいことは、障害がある子どもにとって最高の家庭だと思います。


でも、それが無理だったとしても…


障害者の子どもとの生活のために離婚しないGさんが…


Gさんの仰るように「汚い人間」ではないと、私は思います。


Gさんが、どのように懸命に子育てをなさってきたか…


その道を思う時、働きながらの子育てが不可能だったと思うのです。


障害が重い子どもを持っていると、働くことは困難です。


重度になるほど不可能です。


離婚できなかったGさんに、その時伝えきれなかった私の想いは、たったひとつです。


「汚いなんて…


 そんなことはありません。


 私も同じです。」と…





想いのたけ。。。