他の候補者や政策に評価すべき部分があったとしても、総合的に高くバランスがとれているのは、安倍さんであり自民党です。何より安倍さんには信念があります。日本人が大切にしてきたもの、これからも大切にすべきもの、どう生きるべきか、それを安倍さんは持っていると思います。
しかし稲森さんにはがっかりです。がっかりすぎます。
「人間として何が正しいのかという本質論から物事を見ることが必要だ。知識だけでなく、こうすべきだという信念を持って実行できる人でないといけない」(下記記事より抜粋)と言って、なぜ未来なのか。
以下、こちらの記事より転載。※下線や色の強調はブログ主加工
12党が競い合う構図となった今回の衆院選では、3年余に及んだ民主党政権の総括、景気対策、原発政策、憲法改正…などさまざまな争点が浮かび上がっている。だが、議院内閣制を採っている日本では、衆院選は首相を選ぶ「政権選択」選挙であることを忘れてはならない。危機の時代のリーダー選びを考える。
◆信念実行できる人
首相の野田佳彦、次期首相の座をうかがう自民党総裁の安倍晋三、東京都知事から再び国政に打って出た日本維新の会代表の石原慎太郎、急遽(きゅうきょ)新党を立ち上げた滋賀県知事の嘉田由紀子、新党陰の立役者である小沢一郎…。
個性豊かなリーダーがそろう中、有権者は選択の基準をどこに置くべきなのか。
「人間として何が正しいのかという本質論から物事を見ることが必要だ。知識だけでなく、こうすべきだという信念を持って実行できる人でないといけない」
京セラ名誉会長の稲盛和夫は、リーダーの条件についてこう総括する。特に乱世では、表面的な優秀さより胆力が重要だという。
稲盛は小沢と近く、嘉田が立ち上げた「日本未来の党」の賛同者にも名を連ねる。だが識者の間で小沢の評価は必ずしも芳しくない。
「小沢一郎は自民党から権力を奪取できればそれでよく、主義・主張は関係ないことを体現した」
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の山下一仁はこう指摘する。かつての「ぶれない政治家」とのイメージはすでに裏返ったのだ。
海洋政策・領土問題に詳しい東海大教授の山田吉彦もはっきりと断じる。
「この国がどう動いていくべきかの視点がない。領土問題については発言がなく、逃げている時点で資質がない」
元東京都立教育研究所次長で教育評論家の石井昌浩は「彼は教育分野に特別な意欲もなく、戦後政治の潮流の中で保守とリベラルの間を行ったり来たりしてきた」と手厳しい。
「政局と陣取り合戦だけの人」(拉致被害者を「救う会」副会長で福井県立大教授の島田洋一)との見方は定着してきたようだ。
◆デフレ脱却が大事
むしろその小沢とたもとを分かち、政権運営の実権を握られてきた幹事長の輿石東(こしいし・あずま)も振り切って衆院解散を断行したことで、株を上げたのが首相の野田だ。
結果として民主党は分裂し、衆院解散時には過半数を割った。それでも、日本総研副理事長の湯元健治は野田を高く評価する。
「リーダーの資質は高い。消費税増税では財務省の言いなりとの批判はあるが、強行突破ではなく粘り強くコンセンサスを得ようとしていた。大飯原発再稼働も、野田以外だったらできなかったのではないか」
一方、野党党首でありながらデフレ脱却のための大胆な金融緩和発言で円安・株高を誘導した安倍の発信力にも、「経済を何とかしたいという安倍に共感する」(岩井コスモホールディングス社長の沖津嘉昭)と期待が集まる。
「今、日本にとって一番大事なのはデフレからの脱却だ。最も深刻なのは円高ではないか」
石油化学工業協会副会長の藤井シュン(丸善石油化学社長)はこう語り、「経済政策と金融対策を一体化した取り組みをやってほしい」と望む。同協会会長の小林喜光(三菱ケミカルホールディングス社長)の言葉は率直だ。
「(民主党政権下の)3年数カ月、われわれは政治によっていかに経済が不況に追い込まれるかを身をもって体験した。もっと日本全体がまとまって、外と戦う姿勢を示すべきだ」
■中央集権、拉致問題…忘れ去られた争点
今回の衆院選では、日本の進路にかかわる重要課題であるにもかかわらず、主要争点として浮上していないテーマもある。それに対し、首相候補らはどんな姿勢で臨んでいるか。
「石原慎太郎と大阪市長の橋下徹、いわば地方首長の『東西の横綱』が中央集権と現在の公務員制度はダメだと言っている。これは非常に重い」
こう語る政治評論家の屋山太郎は、民主党政権が失敗した理由について「天下り根絶など公約を守らず、約束していない消費税増税をやった。明らかに国民への裏切りだ。だから石原や橋下らへの期待が出てくる」と指摘する。衆院選では、地方分権や行政改革を争点とすべきだという。とはいえ、二人が代表と代表代行を務める日本維新の会から次の首相が誕生することは「ない」とみる。
屋山は「首相候補の中で国政全般について一番きっちり勉強しているのは、自民党総裁の安倍晋三だ。石原さんは国際政治のことを分かっておらず、仮に首相になれば対外関係で失敗する」と考えている。
衆院選後の政権の枠組みは自民、公明に渡辺喜美率いるみんなの党を加えた三党連立がいいと話す。
「みんなの党は教条的だからかえっていい。安倍は首相時代に渡辺を行革担当相にしたぐらいで、公務員制度改革に意欲があるが、自民党内には反対派が多い。ムチャをやるやつが政権に入った方が民意に沿った改革がやりやすい」
◆脱原発を競う
「日本未来の党」代表の嘉田由紀子も「中央集権からの脱却」を主張するが、注目されているのは「10年後までに原発ゼロ」という「卒原発」の方だ。
「想定される将来の災害なども念頭に置いた安全対策を講じた上で、原発を再稼働させるものは再稼働させることも必要だ」
産業界からは、この日本製紙連合会会長の芳賀義雄(日本製紙社長)の言葉のように、当面の原発維持を求める声は多いが、各政党は衆院選を前におおむね脱原発を競い合っている。
放射化学・核燃料サイクル工学が専門の京都大原子炉実験所教授、山名元は次のリーダー候補たちについてこんな見方を示す。
「安倍は、現実的なエネルギー戦略として原子力の位置づけを考える姿勢が見える。首相の野田佳彦は大飯原発再稼働の際は原発の必要性を指摘していたが、いつの間にか変わって原発ゼロと言い出した。橋下はよく分からない。小沢は『国民の生活が第一』というが、脱原発で電気代が上がり、国民経済が成り立たない可能性がある」
首相官邸前では毎週金曜日の夕方、反原発派が大勢集まり、拡声器や打楽器を用いた大音量で「再稼働反対!」などと声を合わせて叫ぶ。
野田は、この「恒例行事」の圧力にいつか影響されていたのかもしれない。原発を論じる際には、こうした市民運動と国の政策・方針決定とのかかわり、距離の置き方についても議論があっていいだろう。
◆高まらぬ関心
もう一つ、国家主権と人権にかかわる重大事であるのに、半ば忘れられているようにみえるのが北朝鮮による拉致問題だ。
「首相は10月の改造で、長年拉致問題に取り組んできた拉致問題担当相の松原仁を交代させ、逆に最も北朝鮮と近しいとされる参院議員の川上義博を首相補佐官に起用した。外国は、野田政権は親北路線にかじを切ったと受け止める」
拉致被害者「救う会」副会長で福井県立大教授の島田洋一はこう指摘する。日朝協議に関しても「野田政権は日本人遺骨収集にからんでカネを出し、北に拉致問題で前向きな姿勢を示してもらおうというのではないか。そうすると、北は拉致を棚上げしても日本からカネを引き出せると考える」との懸念を示す。
島田からみて、リーダーにふさわしいのは誰か。
「安倍が一番バランスがあり、リーダーシップもある。石原は、過去に拉致被害者について『殺されている』と発言して後に修正するなど、言葉遣いに配慮を欠く。橋下はストリートファイトは強いが、竹島を韓国と共同管理と言い出すなど、領土問題や歴史認識の点でどこまで理解しているのか怪しい」
リーダーの人間的資質について、野田と安倍の二人を評価するのが元経済財政担当相で政策研究大学院大学教授の大田弘子だ。
「野田さんは、言い出したことをきちっとやっていく強みがある。難点は党のガバナンス(統治)に問題がある民主党にいることだ。安倍さんは、『この人を支えたい』と周囲に思わせるオーラを持っている。これはリーダーとしてとても大事な要素だ」
聖賢の時代から、政治の要諦は「政(まつりごと)を為(な)すは人に在り」(中庸)であり、「天下を治むるは、必ず人情に因(よ)る」(韓非子)だといわれる。一国の指導者が国会で繰り返し「心がない」「誠がない」「信がない」などと批判されるようでは、政治は一歩も前に進まないことをわれわれは身をもって体験した。
リーダーを選ぶ際には政策はもちろん、人間性や人品、立ち居振る舞いも大きな要素なのは間違いない。
だが、日本政治に詳しいマサチューセッツ工科大国際問題研究所研究員のトバイアス・ハリスは言う。「今の政治家で、誰が指導者としてふさわしいか具体名を挙げるのは難しい」
それでも、われわれ自身がそれぞれの投票権を行使し、日本のリーダーを選ぶしかない。(敬称略)