GW木曽路宿場町ツーリング 1日目後半(2016.5.1)
(前半からの続き)
JOGに積んだキャンプ道具はそのままに、妻籠宿を一通り端から端までゆっくり散策してみた。
江戸時代へタイムトリップしたような古い宿場町を残す妻籠宿だが、何が妻籠を特別にさせているかと言えば、この車両通行規制ではなかろうか・・(↓)。
<妻籠宿の車両通行規制>
午前10時から夕方4時までは、車両通行規制が布かれている。
観光客の車のみならず、地元住民の車や郵便車などの営業車も規制対象である。
勿論、バイクもNGである・・・(笑)
つまりこの車両通行規制があることにより、中山道を旅する旅人になったつもりで意識が江戸時代にタイプトリップし、想いにふけり歩いていても、急に目の前を通り過ぎる軽自動車の姿に、ハッと現代に引き戻されるということもない・・(爆)
これは、(妻籠に居住する住民にとっては不便だろうが)昔の宿場町風景を出来るだけ楽しみたいと願う一般観光客にとっては、ポイントの高い点と言えるだろう。
住民の協力があって、初めて観光客は素朴な宿場町風景を楽しめるものであり、また逆に、そういう住民の努力があるからこそ、外国人を含む多くの観光客を魅了するのでしょう。馬籠も同様だが、伝統的町並みを「保存」するだけでなく「再現する」という点で素晴らしい取り組みだと思う。
妻籠宿として中山道の歴史のお勉強と、国重要文化財の脇本陣奥谷(妻籠宿本陣、歴史資料館との3セットで入館料700円)へも足を運んでみた。
<国重要文化財 林家住宅(脇本陣奥谷)入口>
脇本陣奥谷では、案内人が入館者に説明をしてくれる。
江戸時代には木曽檜が大変貴重な資源だったこと、明治天皇が脇本陣奥谷で休憩した話、島崎藤村にまつわる話などなど。。
<脇本陣奥谷の囲炉裏 ※写真はお借りしたものです>
案内が終了し、2階を個別に見学していると、なんと案内人の方が特別に立ち入り禁止の部屋へと案内してくれた 革ジャンを着ていたので見間違えはないはずだが、、熱心に見学していたので、学識経験者とでも思ったのだろうか・・苦笑
理由は何であれ、ワタクシだけ特別扱いをされていたので、他の見学者から何故?という視線を浴びていた。。
まず案内してくれたのが、密会用隠し部屋。
江戸時代には、政策的目的からか密会ができる部屋が各宿場町に1ヵ所設けられたようだ。
妻籠ではその密会場所が当該脇本陣奥谷2階に設けられたようで、場所を隠す為に密会部屋の入口扉が押し入れ扉と区別がつかない造りになっている。
この押し入れ扉のような入口を開けると隠し階段があり、その先に密会部屋がある。
なんと、立ち入り禁止のその密会部屋に立ち入らせてくれました(↓)
<脇本陣奥谷 密会用隠し部屋>
密会部屋というだけあり、声が外に漏れないよう特別の防音仕様になっているとのこと。
この部屋で、いつ誰がどのような密談をしていたのだろうか・・・
壁紙がひどく傷んでいたが、特別の仕様のため、修復する技術がないのだそうだ。
次に案内されたのが、同じく2階に位置する立ち入り禁止の女性専用部屋。
ここは珍しいことにお部屋が9畳です。案内人曰く、昔は10になるとまたゼロに戻るという思想(つまり9が最大という思想)があったため、意図的に10畳にはせずに9畳の部屋を設けたそうな。。
また、この部屋の襖には、↓の紋様が描かれています。
正直チョイワルは紋章には疎く、全く??ですが、とある学者が見学した際に、「京都の○○と同じ紋章があるのはどういうことか?」と非常に不思議がっていたそうです・・
(※この紋章がわかる方、是非コメントお待ちしております!)
案内人曰く、京都と妻籠は繋がりがあったようです。
立ち入り禁止部屋を特別に案内してくれた案内人に深謝です
妻籠宿の忘れられない特別な思い出となりました!
因みに案内人曰く、妻籠を訪れるベストシーズンは雪の降り始める11月だそうです。
11月であれば、まだ根雪になっておらず、雪化粧をした情緒ある宿場町風景を楽しめるそうです。
枡形を設けたり隠し部屋を設けたりと、江戸幕府は様々な軍事防衛策を凝らしていたんだなぁ、、と歴史ミステリーに馳せながら脇本陣奥谷を後にして、隣の歴史資料館へ入館した。
この歴史資料館で開示される資料や模型、映像を通じた情報量は圧倒的で、木曽路や中山道の歴史、古地図、檜の伐採史、町並み保存運動の歴史が開示されています。
さずが、日本で初めて重要伝統的建造物群保存地区に指定されただけあります。
馬籠や奈良井にもこれほど充実した歴史資料館はないでしょうから、妻籠宿訪問の際には、脇本陣奥谷と合わせて是非足を運ばれることお薦めします。
最後に妻籠宿本陣を見学し終わると、時刻は5時。
そろそろチェックインの時間だろうと松代屋方向へ戻る。
松代屋近辺に戻ると、バイク乗り(といっても50㏄スクーターですが)として、気になることがありました。。
松代屋近くには、妻籠宿で有名な写真スポットの軒でぐにゃっと曲がったアオギリの木がありますが、夕方5時でもその周辺にはカメラを構えた多くの観光客が集まっていました。
と、その奥から、ドォーンドォーンと馴らして一台のバイクが近づいてきた。。
1.3リッタークラスのBMWだ。大型バイクの侵入に周囲が注目する中、ライダーはアオギリの下にBMWを停車して、ヘルメットを脱ぎ降りてきた。歳の頃60前後と思われる会社役員的な風貌の男性だった。
見ていると、妻籠のベストスポットに愛車BMWを設置し、記念用の自画撮り写真を撮りたいらしい。三脚まで持ち出し、アングル設定に時間をかけていた。
その間、多くの観光客は、BMWという江戸時代と無縁の存在がフォトフレームに入ってきたことで、撮影を止めてそのライダーが写真撮影を終えるのを待っていた。が、そのライダーは三脚を微調整したりして、なかなか撮影に入らない。
そんな姿にしびれをきらした年配の観光客の一人が、ライダーに近づいて「何やってんだ、早くしろよ。バカたれが。」と文句を言った。三脚の設定をようやく終えた、ライダーはピースサインで自画撮りを終えて、バイクで去っていった。
この1件を一部始終見ていたが、ライダーは特に違反をしている訳ではない。車両通行止めの時間帯(10時~夕方4時)外にバイクで侵入してきているが、夕方5時でも通りは観光客で溢れている。その観光客が多いなか、妻籠宿写真のベストスポットにバイクを停めて、撮影に必要以上に時間をかけてしまったのがマズかった・・
法令違反はないが、マナー違反と言われても仕方がないでしょう。本人は、当然観光客の冷たい目線や批判覚悟で写真撮影に来たものと思われるが。。
夕方遅くまで観光客は歩いているので、やはり愛車と記念撮影をするならば観光客が活動をしていない早朝の時間を狙うのが無難かと思います。
上記1件を見終えると、松代屋へチェックインをした。
風呂場と夕食部屋を紹介されたあと、客室へと案内された。
2階の通りに面した部屋で、一人には十分過ぎる広さだ。
夕食の時刻6時まではまだ時間があるので、浴衣に着替え、途中で購入しておいた諏訪の銘酒「真澄」を飲んだり、チューハイを飲んだりしてまったりと過ごす。
この松代屋、妻籠宿でもベストロケーションに位置していると言えるでしょう。
というのも、①勝新太郎の「座頭市」撮影の舞台ともなった枡形にあたる部分に位置し、②妻籠で最も人気ある写真スポット「寺下の曲がったアオギリの木」から至近だからです。
翌朝とった写真ですが、松代屋の玄関から窓越しに外を撮影した写真です↓
<松代屋玄関から外を撮影>
どうです、日本美が感じられるワンショットでしょう??笑
ちなみに、松代屋の部屋にはTVが設置されていません。
TV慣れした現代人には苦痛かもしれないが、情緒ある宿場町で泊まるなら、静かに過ごす非日常の夜は帰って旅気分を盛り上げてくれるものです。
あと、客室は襖で仕切られているだけなので、隣室の声が聞こえてきます。
創業200年の老舗旅籠宿なのだから、逆に雰囲気あって面白いですが、もし若い夫婦やカップルで泊まるのであれば、夜はちょいとガマンしないといけませんね・・(爆)←オヤジ丸出しでスミマセン)
あと、消灯時間は夜10時と書いてありました。
深夜までツーリング仲間とヒソヒソ声で宴会という訳にもいきませんね・・笑
客室でのんびりしていると、6時頃にご主人から夕食の準備ができたと声をかけられた。
夕食は1階の和室(個室)で取った。
(夕食の給仕はご主人のみだったので、一人で切り盛りしているのかもしれません・・)
夕食時には、木曽の地酒「七笑」を注文した。
いつものように何気なく夕食を済ませたので、特段食事写真を撮りませんでしたが、美味しい魚の煮付け料理がありました。
就寝時にネット情報で気付いたのですが、これは鯉の甘煮でした。鯉を食べるのは初めてでしたが、とっても美味しかったです。
離れの客室へ通じる外通路下の池に鯉が泳いでいたので、翌朝、ご主人に甘煮はその池の鯉ですか?と尋ねてみたところ、その鯉は大きくなりすぎて美味しくないので、宿で別に養殖している5歳までの若い鯉を料理しているとのことでした。因みに、夕食に刺身(白身)が提供されましたが、それも鯉だったようです・・・ (刺身の方は微妙な味でしたが、)
夕食が終わった時刻が7時頃。
そろそろ楽しみにしていた夜の妻籠宿を見るには丁度良い時間帯だ。
ということで、浴衣のままiPadを持って夕暮れ時の妻籠町へ繰り出した。
ご主人が気を効かせて、玄関で下駄と提灯と手渡してくれた。
日中、観光客で溢れていた町並みも7時になるとひっそりしていて、歩く人もまばらでイイ雰囲気だ。歩行者は宿の宿泊者なのだろう、挨拶を交わす。
うーん、素晴らしい光景だ。。
浴衣姿で、提灯片手にカランカランと下駄を鳴らせて宿場町を歩くのも、また粋なものだ。。と、自分で自分に酔う、、(爆)←実際、酒入ってますからね。。
車両通行規制外の時間帯ですが、宿場内に停まっている車はありませんでした。
期待していた通りの美しい馬籠宿の夕暮れ風景を目にして、
キャンプせずに妻籠宿で宿を予約した甲斐があったとつくづく感じました・・
松代屋に戻ると、就寝前に檜風呂に浸かりました。
午前3:40に湘南を出発し、寝覚ノ床、脇本陣奥谷の特別ツアー、夜の妻籠宿散策と充実した一日となりました。
早朝出発の疲れもあり、10時前に眠りについた。
<1日目の走行データ>
■出発時メーター:××,710km
■到着時メーター:××,026km
■本日の走行距離: 316km
■天候: 曇り
木曽路宿場町ツーリング 1日目前半 高ボッチ高原、寝覚ノ床、妻籠宿