FM　ACOUSTICS　F-30B パワーアンプ 1998年スイス￥2,677,500

天に向かって高く解き放たれる音は、驚異的な透明感である。まさに未経験の表現力。
高く伸びやかなソノリティの消え際が、とにかく他に無い美しさなのである。
澄み切った透徹した表現と、暖色の音色の両立を半導体で実現してみせるブランド、
それがFMアコースティックス。真空管にも似た余韻やニュアンスの多彩さが
生み出した美音に多くの人が魅せられてきた。色合いが濃厚で、
躍動的な鳴りのよさ。しかも、低域の混濁感がもたらすマスキングや鈍重さを
微塵も感じさせない。この音の秘訣はパーツを自社開発したり、汎用品を大量に発注して
そこから徹底的に選別する (つまり大量に棄てる) ことで物凄く音質の純度が増すのだ。
この事を分かっていても手間やコストを考えると真似が出来ない。
輪郭を強調せず、どこにも誇張感がない柔らかい音質。あくまで自然な音の
佇まいである。さらっとした耳辺りのよい音を聴かせるだけではなく、
独特の深みのある表現力にも大きな魅力がある。

ただ言えるのはホーンスピーカー使いでマークレビンソンやチェロ、
クレルなどを組み合わせて、ダイナミックな音楽再生を志向されるような方には
FMアコースティックスF30Bは、大人しく感じて物足りないだろう。

(つまりホーンスピーカーには、ハッキリ言って向かない)

オーディオ的な音を指向する人よりも、音楽が好きな人に評価される音である。

・・・・・・このパワーアンプは世界最高峰の
FMの中ではハズレの機種ですね。

再生動画

本機はクラシックシリーズと呼ばれた製品で、レゾリューションシリーズのFM411Xと
同等の内容でコストダウンされたものと紹介されているが、コンストラクションこそ
縮小され集積率が上がっているものの、内容はほとんど同じで、あえて違いを見つけると、
レゾリューションシリーズのパワーデバイスがセラミック/プラスチックパッケージに対して、
メタルキャンタイプに"戻されている"事くらいである。F-30Bはモジュールが
搭載されていないので交換費用で二個60万、解析修理でも二個30万近くという
高額修理費用の心配とは無縁なものになる。普段のメンテナンス費用は2～3万との
ことだが、異常発熱の対策を怠ったりするとパワーの石が死んで10～20万の請求になることもあり得る。

発熱は天面にはあまりないが、背面にあるトランス部分がかなり発熱する。
発熱量は取り出すパワーにそのまま比例する。パワートランジスターは一個
一～二千円程度の汎用品だと思うが、FMで選別されて日本に送られてくる
交換部品は一個二万五千円～四万五千円ほどしたと思う。他で交換すると
FMの音では無くなってしまう上に、AXISSで修理受付してもらえなくなるので
購入予定品のメンテ履歴(頻度・値段・内容)は確認したほうがいい。
FMの中古はかならず音質を確認してから購入する事が大切である。

昔FMのデモ聴いたときはもっと衝撃的だったのに・・・・・これが個体差・・・・・あるいは・・・・・・

確かにこれは普通に良い音だが、強烈な訴求力やインパクトは今回感じられなかった。
「高価で地味な外見なのに、何故ここまで持て囃されているのか？」
やや手厳しい物言いかも知れないが・・・・・S5500でのみ使用しましたが、
ホーンスピーカーとは明らかに相性が良くない。この価格はやはりとても高価だ。
少なくとも自分が欲しいダイナミックな表現力が物足りないのは間違いない、
全体的に大人しい音にチューニングされている。
このように、FMの中古は修理後の音質個体差が激しく大きいので試聴して買う必要があります。

F-30Bは躍動感があるが、心を高揚させる、弾けるような躍動感では初期クレルには
まったく敵わなず、比較にならないと思った。(KSA-100以上の重量級モデル)

本体直出しの細い電源ケーブルしか選択肢がないのに対して、Duet350はブラックラベルを
奢っているので比較するには可哀想すぎました。それぐらい差があった。
中低域の骨格感では拙宅の歴代パワーアンプとは比較になりません。

電源ケーブルが交換できれば良かったのだが・・・・・・

評価できるところはあるけれど、価格に見合っていない。
「こんな音だった？高いのだからもっと頑張って！」という感想でした。

FM ACOUSTICS F-30B

FM　ACOUSTICS　F-30B