犬と猫のトイレ事件 | 4.5畳の恋人。

犬と猫のトイレ事件

間取図

この4.5畳の部屋に住んでいることは、
夏子の家族(父・母・兄・姉)は知らないが、
俺の家族(父・母・兄・妹)は知っている。

ちゃんとした鉄骨マンションでありながら、
4.5畳というイメージから、俺の家族には
“かなり貧乏な生活”をしていると思われている。




なので、たまに実家から食料が届く……。



「ちゃんとご飯食ってんの~?」

「食ってる食ってる」

「またフライドチキンばかり食ってるんじゃなくて?」

「肉も食ってるけど野菜も食ってるよ」

「……なんかフライドチキン以外のもの送るから」

「ありがたいけど、無理しなくていいからね」



母 「アンタ、野菜送んないとフライドチキンばかり食ってるじゃないの!!
俺 「なぜ肉といえばフライドチキンなんだよ!!




「なんか送るから」

「ありがとう。でも、気にしなくていいよ。健康だから」

「宅配便で送るけど、夏子ちゃんいつも家にいるんでしょ?」

「明日から建築の仕事で、施主(クライアント)と打ち合わせでいないときもあるっぽい」



母 「そう。じゃあ荷物を玄関に置いてってもらえるようにするから
「そんなことできんの?」



……3日後。



トゥルルルルルルルル♪


「はい……あ、夏子? どうした? まだ会社だよ俺」

夏子 「……あのさ、勇太郎のお母さんから荷物届いたの」

「お、きっと食い物だ」

夏子 「いや、それはすごく嬉しいんだけど……」

「なによ」

夏子 「玄関の前に荷物置いてあってさ……」

「あ~、なんか不在のときは宅配業者さんにお願いするとか言ってたな」


夏子 「……箱になんて書いてあったと思う?」

「ハァ? 意味がわかんない」

夏子 「箱にね、勇太郎のお母さんがマジックで大きく書いてあるのよ」

「なんて?」




中に“犬と猫のウンチ吸い取り砂”が入っています。
よろしくお願いします。


俺 「……(´Д`)




夏子 「……」

「……そ、そうか」

夏子 「……どういうこと?」


俺 「あはは……ウチの母親、天然というか、豪快というか……


夏子 「でさ、中身なんだったと思う?」

「え……野菜とかかな?」


夏子 「……クロレラの粒100,000粒
俺 「じ、じゅうまんつぶ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



夏子 「……いや、ありがたいけどね……でも……」

「……(´Д`)」

夏子 「……(´Д`)」



……母親に電話。



「荷物、ありがとう……嬉しいよ」



母 「アンタ、フライドチキン食うんだろうから、それ飲んで相殺しなさい



「う、うん。ありがとう。でもさ……箱に書いてた言葉は何?」

「なんのこと?」

「犬と猫のウンチの砂がどうこうって……」


母 「ああ、そう書けば、外に置いてあっても
          ドロボーが持って行かないでしょ♪



……(´Д`)


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※本来、宅配業者は玄関の前に荷物を置いていくことはしません。
また、それにより荷物が紛失しても、配送業者は保障しないとのことです。