センスレス野球少年と父のドタバタ奮闘記


「蒼海に消ゆ」はまさに奇跡の本だと思います。








戦争体験を語れる人からの取材は、あと数年すると不可能になってしまう現在、 ギリギリのところで戦争の欠片を拾い集められた執念は著者ご本人の創作 意欲に加えて、何か超越したものが後押ししている様に感じました。


文武両道の達人でありながら、驕ることなく優しい心を持つ松藤大治氏は「美し い日本人」の姿そのものであり後輩である我々が誇りに思える先輩です。


松藤氏は、生まれ育った国である米国と、祖国である日本を結ぶ外交官を目指し 猛勉強を課して難関校に合格し、尚且つ剣道部のホープとして将来を嘱望され ていた。


平時であれば必ず素晴らしい仕事をされて歴史に名を残された方だと 確信しています。しかし、時代がそれを許さなかった。そして、そのまっすぐな性格がゆえに短い生涯を終えることになってしまった。





現在「戦時と同様の国難」にあたっている我が国のリーダーはどうかと言うと… もう情けなくて言葉も出ません。一方、名も無き方々が自らの命をなげうって 多くの命を救ったという事実も知りました。


本書の中で「特攻生みの親」であり多くの部下を特攻で死なせてながら、本人 は生きながらえて自衛隊の空将にまで出世した人物について触れている。


その様な現実を見ると、わが国は優秀で美しい心を持った日本人の死によって、 小知恵がきき、自分のことしか考えない醜い心を持った日本人が跋扈する世の中をつくってしまったのではないかと考えてしまう。



ある意味、この国難の時期に「蒼海の消ゆ」という奇跡の本が出版されたと いうことは、本書が大きな意味を持って世に出たと思わざるを得ません。 日本人が進むべき正しい道筋を示してくれていると思います。

蒼海に消ゆ 祖国アメリカへ特攻した海軍少尉「松藤大治」の生涯/門田 隆将
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