タイの建築基準法における換気の基準 | タイで工場を建設する

タイで工場を建設する

タイに進出している日本のゼネコンに勤務して工場建設の現場管理をしています。

ひさしぶりのタイの建築基準法の記事ですが今回は換気についてです。



機械換気と自然換気

機械換気とは換気扇にて強制的に新鮮な空気を取り入れるもしくは強制的に中の空気を吐き出す設備のことで、自然換気とは建物に開口(ガラリ:ルーバーのこと、窓、扉など開いている部分)を設けて自然に空気を流れさせることです。



タイの建築基準法での換気基準

建築基準法では1時間当たり、室内の空気を何回交換しなさいという方式にて設定されています。


たとえば幅10m奥行き10mの100m2の工場で、天井高さが3mとします。

この室内の容積は


10m x 10m x 3m = 300m3


です。

この部屋の空気を1時間以内に4回交換するには


300 m3 x 4回 = 1200 m3


1時間に1200m3の換気能力すなわち20m3/分の能力の換気扇を1つつけるか、複数の換気扇の能力合計が20m3/分になれば良いということです。


工場の場合は4回です。



空調設備のある場所の換気基準

空調設備すなわちクーラーのある場所の場合は基準が異なり、部屋の面積1m2につき1時間に強制排気を何立方メーター行いなさいという基準です。


事務所の場合は1m2の広さに対して1時間に2m3排気しなさいという基準なので、たとえば幅10m奥行き10mの100m2の事務所では


10m x 10m x 2m3 = 200m3/時間


1時間に200m3の換気能力すなわち3.3 m3/分の能力の換気扇を1つつければ良いということです。


トイレの場合は1m2につき1時間に10m3 となっています。



自然換気の場合

工場などで自然換気という前提で換気扇を一切つけない場合は床面積の10%を開口する必要があります。


開口は外部に面する 開閉可能な窓、シャッター、扉、ガラリ、金網などで、事務所や廊下に面した窓や扉は開口と認められません。


工場内に熱源(機械など)がある場合は熱源に応じた開口や強制換気設備を計画しないと暑くて困るので、建設時にはしっかり検討してください。




換気扇はケチるとよくありません。

あと工場の屋根につける自然換気用のモニター屋根(屋根の一部を高くし、小屋根を作り温まった空気をそこから逃がす構造)は雨漏りの原因となって個人的に嫌いなので、詳しく勉強したことがないのでよくわかりません。