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小生のカメレオンテ2は行き過ぎた軽量化の末、ペダル無しで7キロ台と言う軽さを手に入れた。

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これらのパーツは次に組む予定のロードバイクのパーツとしての投資の意味もあったものの、色などが合わないのでそのまま使うのは無理がある。それにカメレオンテ2は思い入れも強いのでそのまま残したい所だ。

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そして遂にフルカーボンフレームを手に入れたわけだが、お目当ての6800アルテのリリース待ちでまだ走行には至っていない。

ロード用として購入したフレームだが、正直不慣れなドロップハンドルで、アルミフレームと適性な比較が出来るのか自信が無い。

ここは純粋な比較のためにカメレオンのパーツをまるまる移植して最強のフラットバーロードを作って見るのも面白いではないかと思い立たったわけだ。

ちなみに小生はVブレーキかディスクブレーキでなければクロスバイクとは言えないと勝手に決めているので、これはクロスバイクでなくフラットバーロードである。

因みにVブレーキとロード用のキャリパーブレーキはレバー比が異る為互換性がないが、小生のTRP製ブレーキレバーはTRPのCX9と言うシクロ用Vブレーキに対応しており、CX9はロード用デュアルコントロールレバーに対応している。

友達の友達は友達であるように、互換性有りの互換性有りは互換性有りと言う事でおkだろう。

ブレーキ性能は下りのタイムに大きく影響するほか、やはり命を預けるものなので評判の9000デュラを選択した。このブレーキは7900世代のデュアルコントロールレバーとの互換性も有する。

このブレーキは新形状の2ピボットブレーキであり、2アームの支点が左右に開き制動面に近づけられている。センターのボルトは完全に固定され、左右の2ピボットの土台を固定する為だけに使われる。

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この土台が不要になり、横からの見た目もスッキリするダイレクトマウントが今後のロードブレーキ主流になるだろうが、今のところはこのBR-9000がベストな選択と言えるだろう。

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おかしなパンダカラーの塗り分けなどデザインは少々残念だが、持ってみるとズシリと重く、軽量Vブレーキと変わらない重量とはにわかに信じ難い。異常に高い剛性感や緻密な動きはさすがデュラと言わざるを得ず、ここで数重量gの軽量化に走ることは愚かと言わざるを得ない。

因みに6800のブレーキも、デュラとほぼ同じジオメトリーが与えられているようで、制動力は大幅に向上していそうなのだが、今までのシリーズを見てもデュラの効きは別格なようである。

しかし、重量などが変わるのは当然としても、安定した制動力はSORAグレードまで維持されるベキであり、ブレーキに関してはグレードでそれほど性能差が出る事は許されない事だと思うのだが…。


続いて、思いのほか手こずったのが、フレーム内にワイヤーを通すこと。

あらかじめ、ワイヤーが通る穴に管を入れておいてくれてるのだが、うっかりワイヤーを通して無い方の管を引っ張ってしまい、てんてこ舞いモードに突入し、これで15分は失った。


ワイヤー類はポリマーコートケーブルを使うのはもったいないので、カメレオンテで使っていたものをとりあえず移植。長さは全て余るが、またカメレオンに戻すのでカットはしない。

アウターワイヤーがPTFE、インナーがBBBの黒いコーティングがされたもので、カメレオンの時は前後のブレーキの引きの重さはほぼ一緒だったが、チューブ内を通したリアブレーキは少々重くなった。

…と言っても普通の105完成車などと変わらないレベルではあるが。

ポリマーコートを施した9000系のケーブルで解消されるかも知れないが、それだけで完全に解消するとは思えないので、何らかの対策を講じる必要があるだろう。

最悪アウターワイヤー全てチューブ内を通してしまうと言う裏技もありだろう。


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色合いがめちゃくちゃだがとりあえず完成したセンプレオンテ2…と言ってももはやカメレオンテ2の純正パーツは一つも無いが。

ロードはクランク軸とスプロケ軸の距離が短いため、チェーンの長さが余るが、またカメレオンテ2に戻すので切り詰めない。


ポジションはハンドルが1.5cm近く、1cm低くなったものの、サドル高、サドル後退幅はミリ単位でカメレオンと同じである。

さて、フレームはホイール並に変化を感じると言うが本当だろうか?


なんだかんだカメレオンテのアルミフレームは重たい分、マウンテンバイク並の強度がありそうだし、エントリーグレードのカーボンはむしろしなって進まないバイクになってしまうのでは…なんて考えがよぎる。

これはカーボンチューブラーホイールを使ったの時の印象が強い。

「カーボンは軽くて強いが、金属に比べ独特のしなりのせいでキビキビ感が薄れる」

それが小生のカーボンに対するイメージである。

しかし、このセンプレ プロはレースでの使用にあたり、剛性が高められていると言うし、そもそもエントリーグレードなのにも関わらず、過度な軽量化に走っていない点がこのフレームに好感を持った理由でもある。同価格帯にコンフォートな乗り味が自慢のインフィニートがあるが、このセンプレはインフィニートより更に重い。フレーム重量1130gは今時のカーボンフレームとしてはかなり重い部類で、エアロロードのVENGEより重い。その重さがしっかりと剛性の確保の為に使われていればいいが、これでフニャッとしたメリハリの無いフレームだったらショックで三日は寝込むだろう。

センプレは曲線を好むビアンキに珍しいオーソドックスなひし形のスローピングフレームで、シルエットが美しく、それでいてよく観察するとささやかながらエアロダイナミクスにも気を使っている点がビアンキらしい。


巡行を始めてまず思ったことは…

「アルミと変わらん」

巡行速度も変わらないし、これと言って大きな変化は無い。

気を付けて観察すると、ケイデンスの上がりが若干早くて回し過ぎてしまう点に気付く。

クランク2回転程でケイデンスが100以上に上がってしまう為シフトが忙しい。

…と言う事は同じように踏んでいるのに加速がいいと言うことか。

軽くなれば加速が良くなるのは当然だが、最近4kg程ダイエットしたがこんなことは無かった。つまり、この変化は重量的な要因ではなく、今までクランクの力が逃げてしまっていたのがしっかり推進力になっていると言う事だろう。


それでも巡行速度に到達するとやはりそれ程変わらない。しかし、ペダルに力を込めても引き足を強めてもフレームは無反応。

…と言うかしっかりしたフレームに乗って始めて、今までのフレームがパワーを掛けると歪んでいたのが分かる。

しかし、センプレのフレームが固いかと言うとそんなことは無い。

剛性は高いのだが、むしろ当たりは柔らかくビアンキらしいソフトな乗り味。これに乗ってしまうとアルミで100kmとかもう無理である。

インフィニートと乗り比べたレビューではセンプレはむちゃくちゃ硬いと言う意見も見られるが、これ以上のコンフォートも小生には必要なさそうである。

≪追記…これはミシュランPRO4チューブラーによる感想で、硬めのタイヤやローハイトなタイヤではけっこうゴツゴツを伝えてくる。この手のタイヤと組み合わせると、剛性が高い分アルミフレームより乗り心地が悪いかも知れない≫


ブレーキはやはりレバー比が合わず効きがイマイチだが、同じブレーキパッドとは思えない剛性感であり、トーインはゼロながら全く鳴きは無い。カーボン用シューの鳴きでお困りの方はこのブレーキをインストールするだけで解決するのではないだろうか?

カメレオンテ2の時のコントロール性の悪さはフォークやVブレーキの剛性の低さから来ていたようだが、それでもカーボンブレーキの悪癖は健在である。

パッドに至っては現在使用しているTRPの他、シマノ純正やスイストもまだ購入してテストしてないので、これらによる変化も楽しみである。


FSAのクランクのシフト性能も心配のタネだったがこちらも杞憂だった。

フロントのシフト性能はフレームの剛性の影響も少なく無いらしいが、カメレオンと105クランクの時よりはるかに子気味良く、明らかにこちらが格上と言った感じ。

今までリアのスプロケは、滑らかに変速するアルテの方が楽に乗れたが、カーボンフレームとカーボンクランクの恩恵か、デュラのスプロケでも衝撃が少なく足への反動も小さい。

今までこんなとこでも足を消耗していたのか。




さて、最もアルミフレームとの差が出てくれないと困る上り坂である。

高低差20m、斜度5%程の陸橋でダンシングを掛ける。

ギアは1つ上げておいたがハンドルの振りが異常に軽くあっという間にケイデンスが上がってしまう。

高トルクをかけたままギアチェンジはしたく無いのでそのまま高ケイデンスで乗り切るが、スピードメーターを見て驚いた。

今まで30キロ以上がキープ出来れば調子いいと言えた上り坂だが、スピードはなんと38km/h。

これはすごい。

すぐにでもヤビツに持ち込みたい。

しかし、その下りを終えた当たりで急にフロントから爆音。

フロントタイヤがバースト。完全に裂けてしまってパンク修理剤では治りそうもない。幸い家から3キロ程の場所だったので歩いて帰ってタイヤを交換した。

次のタイヤはマビックイクシオン。PRO4より前後で100g以上軽いタイヤだ。

せっかくの軽量タイヤなので、ペダルを外してドッキドキ車重測定タイム。

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ペダル無しで、6.44キロと驚くべき軽さである。因みに前後ライト、ケイデンスセンサー付きである。

最終的にはアルテのSTIとドロップハンドルで若干重量増になるだろうが、想定していた6.5キロに近い重量で収まるだろう。

その後、走り慣れたコースを走ったが、やはりこのフレームの最大の美点はダンシングの軽快さにある。

アルミに比べ、ただ軽いだけでなく必要な部分に必要な剛性が確保されているからこそこれだけ伸びるのだろう。

今までそこそこペダリングもキレイに回せていると思っていたが、歪みの少ないセンプレのフレームではトルクのムラがあることが自分でも分かる。

よく進むと言うよりはガツンとペダルに負荷が掛かる感じだが、跳ね返されるほど硬くもなく、小生くらいの脚力ではビクともしないほど盤石ながら当たりは柔らかい良いフレームである。

もう一つ予想外に良かったのがコーナリング。センプレはトップモデルのオルトレのジオメトリーを汲んでいる。ホイールベースはカメレオンより5cmほど短いものの、ペダル、サドル、ハンドルの位置関係はほとんど変わらないようにセッティングしたのに、センプレはコーナーでインに鋭く切れ込んで行く。なのでかなりのオーバースピードでコーナーに侵入しても何事もなく曲がり切ってしまう。コーナリングスピードが速いのはもちろん、コンパクトに曲がることでより早くペダルが踏めるため、コーナーによるタイムロスが大幅に少なくなったようである。



普通の人は自分で選択したものを間違っていたと判断するのは難しい。投資に見合う効果があることを信じたいため正当な判断が出来なくなる。しかし、いくら投資しても、ホイールもフレームも自分に合わないものは合わないのだ。

対してリアリスト、現実主義者と呼ばれる人種は、ただ真実が知りたいだけなので、投資額やブランドは関係ない。結果が全てであり、全く不本意な結果も喜んで受け入れる。

ホイールに関してはカーボンチューブラーさえ不満を感じ、答えを模索する小生だが、このフレームは一発で気に入った。

硬く、適度に当たりの柔らかい乗り心地のバランスがちょうど良く、最近のスタンダードに比べれば少々重いが、ピザデブの小生に下位グレードのカーボンを使用したFOILなどでは剛性に不満が出たかもしれない。

探せばもっといいフレームはあるのかもしれない。

しかし、センプレは「このフレームで速くなりたい」と思わせるフレームである。




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