インドを訪問したイギリスのキャメロン首相は20日、イギリス植民地時代のインドでイギリス将校が多数のインド国民を射殺した
「アムリトサル虐殺事件」の現場(北部パンジャブ州アムリトサル)を訪れ、事件について「深く恥じるべき出来事だ」と述べましたが。
明確な謝罪はしなかったものの、イギリスの現職キャメロン首相が現場で遺憾の意を示したのは初めてといいます。
現地報道によるとキャメロン首相は現場に立つ記念碑に花を供え、しばらくその場でこうべを垂れました。その後、来訪者帳に事件について
「イギリスの歴史において深く恥じるべき出来事だ。当時、ウィンストン・チャーチル(戦争大臣)が『醜悪な事件』と述べたのは正しい」と書き込みました。
またキャメロン首相は「ここで起きたことを決して忘れてはならない」とも書きしるしたといいます。
キャメロン首相は100人以上の経済界代表を同行し、18日から3日間の日程で訪印。シン首相との会談後の記者会見(19日)では「両国の経済関係には巨大な将来性がある」と述べて商業連携を強める姿勢を強調しました。
事件をめぐる今回の発言についてはインドとの関係改善がねらいだとの見方もありますが
しかし大手紙ヒンドゥスタン・タイムズは「キャメロン首相が事件をイギリスの歴史の汚点と認識していることを、(この発言は)明確にした」と好意的に伝えています。
他方、謝罪がなかったことへの批判もあります。ニューデリーの男子大学院生(国際関係専攻)アルン・クマールさんは「『恥ずべきだ』と思うなら、謝るべきだ」と語りました。
アムリトサル虐殺事件 1919年4月13日、集会禁止令が出ていた現地の公園で、ヒンズー暦の祭日の集会に約2万人の市民が参加。
これに対し、イギリスのダイヤー将軍が約100人の兵士に無警告での発砲を命じました。
犠牲者はイギリス側資料で379人、インド側調査で1000以上が亡くなったと
当時はイギリス当局による弾圧立法に反発してガンジーらが本格的な大衆運動を展開し始めた矢先で、この後運動は大きく発展しました。