2014.7 小江戸川越タイムスリップ その3 | あおいとあさぎの旅行記 blue × blue journey

あおいとあさぎの旅行記 blue × blue journey

カメラの蒼生≪あおい≫と一緒にまわった、ひとりとひとつの旅のきろく。

*その2~縁結び風鈴~はこちら


明治26年、川越は一夜にして大火に覆われる。

商人の街のほとんどは焼失し、人々は途方に暮れた。

しかし、商いを営む人たちは強い。魂は折れていない。

木造りに代わり、火に耐えうる土蔵で街を建て直す。

江戸から多くの職人たちを招き入れ、街は再興し、

今も「小江戸」として親しまれている。




再興。







そんな人の力強さと人情を感じながら、

この真っ直ぐな通りを一歩一歩、踏みしめて歩く。

黒い瓦屋根が綿々と空に続いていく姿は勇壮で、

人々の生活の声や音が、ダイレクトに聞こえてくるよう。

これが、今の川越の「蔵造りの街並み」です。




差し色。







このモノクロームの造りがとても重厚で、情緒がある。

醤油問屋、鋳物屋、うなぎ屋、表具屋、そしてお洒落なカフェなど

何百年も前から続いているであろう老舗から、新しく発祥したものまで。

今と昔の交ざりあう、時のはざま。


それを象徴するかのように、忘れたころに鳴る時の鐘




時告げの音。







今や川越のシンボルともいえるこの塔。

江戸時代には一日12回、時を知らせるための鐘が鳴っていたそうです。

現在は朝6時、正午、午後3時、6時の4回。


川越の人たちは本当にこの時の鐘を大事にしていて、

明治の大火で焼けてしまったときも、自分たちの商家よりもまず先に

この塔の再建に取り掛かったそうです。

みんなの心の支えでもあったんでしょうね。


塔の中には入れませんが、その正面に薬師神社というお社があったので

川越に来ましたとお参りをして、再びメインストリートへ。


さて、こういう街並みの別の楽しみ方といえば、

ふと狭い横道に入ってみたときの冒険感と

思いもよらない景色に出会えるワクワク感。

川越ももちろん、そんな気持ちに浸れます。








何が出るかな?









こんなちょっとしたおもしろ動物たちが出迎えてくれたりもします。


蔵の街並みから少し細い路地を入っていき、

子供のみならず、大人のほうがむしろ目をキラキラさせてしまうかもしれない

駄菓子の世界へ。




菓子を求めて。







菓子屋横丁」という、駄菓子屋さんの連なる一画があります。

決して広くはない路地に、大人のお客さんがいっぱい。

夏休みに汗を流しながら駄菓子屋にお菓子を買いに走った記憶が

懐かしい…といった具合に、みなさん優しい顔をしていました。


綺麗な色の飴玉、ぱりっと焼かれたせんべい、

しゃりしゃりとすぐ溶けるかき氷、カランとビー玉の音が鳴るラムネ。

小さきものに心が躍る。そんなひと夏。

子供のときに手にしたあの感覚が、再びよみがえる。

そういうのを思い出すのは、身体の中に炭酸が通るような、とても良い気持ち。


このほかにも、素敵な路地裏探索は続く。

たとえばこれも、川越のひとつの名物。




一休み。







この日もあちこちの通りを歩いていると、人力車を引くお兄さんたちとすれ違いました。

笑顔で活気よく走るお兄さんたちの筋肉、素晴らしすぎる。

風情あります。


なんて、ふと目を横に向ければ、こういう道もある。








光の道。









この日は雲の多い晴れといった感じで、

雨は降らないけど、分厚い雲が時折もくもくと顔を出す。

しかし、夏の日射しは強烈に輝いて、その雲すら軽々と

貫通していく。

そういう光の道。


大通りからほんの数歩入ったところにある民家の軒先には

朝顔がひっそりと咲いていて。




夏の顔。







本当にほんの数歩ぶん。

だけど、ここに来た途端に急にあたりが静まって、

じわじわと夏の暑さだけが肌を刺す。

軒先の朝顔は日陰を作り出して、なんとなく、

この朝顔になりたいなどと考えてしまう。

夏のブルーがとても綺麗です。


浴衣を着て歩くととてもいいと思います。

こういう小さなものから、あるいは大きな発見までたくさんできる。

蔵造りの街並みはとても素敵。


もう一つ、こことは別に、より駅に近い側には

川越大正浪漫夢通り」という商店街もあります。

江戸・明治から少し時を進めて、大正。

浪漫に夢なんて、まさに大正時代にぴったりの言葉かなと。

三角屋根だけでなく、洋物のアーチ型屋根の建物などが現れて、

こっちは袴を着て歩きたい感じ。




虹色ちょうちん。







地元クラフトビールで有名な、COEDOビールのお店なんかもあります。

ちょうどお祭りの時期だったからか、この虹色ちょうちんが駅前はじめ

街のあちこちに飾ってあって、すごくかわいい。

石畳を歩くのも楽しいです。


たくさんの風情と、人情と、時代の流れが色濃く漂う川越の街。

時を越えた旅路。

歩けば歩くほど、そういうタイムスリップを味わえる気がします。