長崎市から高速バスで1時間、佐世保へ移動して旅も3日目。
この日も相変わらず遮るもののない太陽がアスファルトを照らし
からっとした夏の空が朝を迎えていました。
*2日目~伊王島~はこちら 。
佐世保と言えば、海軍の街・九十九島など
色々と街のイメージが浮かびますが、
今回はアニメファンで言ういわゆる「聖地巡礼」というやつを
やってきましたw
長崎・佐世保を舞台にした青春JAZZアニメ、「坂道のアポロン」。
原作は漫画ですが、TVアニメを見て初めて知りました。
繊細な高校生の心の揺れと、大胆なJAZZセッションの描写が
たまらなく心をきゅーっとさせる作品です。
作品をご存じの方は「あぁ!」と分かっておもしろいかも。
まだ見たことのない方も、とても素晴らしいアニメなので
ぜひご覧ください(笑)。
まずは、佐世保駅から伸びる大通りの目と鼻の先にある、
「三浦町教会」へ。
救いの手を。
割と都会な街の真ん中にありながら、荘厳な雰囲気のゴシック様式。
市民の方々の信仰の場です。
ここのステンドグラスは、この旅の中で一番綺麗でした。
ステンドグラスの窓から射し込んだ陽の光には緑や赤や黄色がつき、
それが教会内の床に絶妙なハーモニーで、何か意味のある影を
落とし込んでいます。
目の前は大通り、車の通行も多いはずなのに堂内は静かでした。
「坂道のアポロン」では、アニメ2話で主人公の友人・千太郎と
想い人の律ちゃんが、祈りを捧げている教会がここ。
主人公・薫くんが開いた窓からその二人を見つけて、
二人がクリスチャンということを知る…という場面でした。確か。
その後はバスで市役所の方まで出て、舞台になった高校へ。
青春の坂道。
アニメでもOPや本編でよく出てきた、学校前の坂道。
ここからJAZZのセッションが始まって、文化祭も始まって、
いろんな事が始まった場所。
何の変哲もない景色なんですけどね(笑)。
そしてこちらが、主人公たちの通った高校のモデル。
ひとときの。
大きなヤシの木が立っていたりして、とても清潔感のある学校でした。
アニメご覧になったことのある方は、「そのままだ!」という感想を
抱くのではないでしょうか。
この学校まで続く坂道のふもとに、亀山八幡宮という神社があります。
ここの境内が、2話で薫が不良たちに絡まれ、千太郎が助けに来るシーンで
使われています。
広い境内。
一の鳥居から、お社までの石畳の参道がまっすぐ伸びていて、
両脇は青々とした芝生。
とても広々とした境内で、お参りするのも心地よいです。
大きな教会も神社もある街。不思議な感じですね。
高校近辺を一通り見た後は、北佐世保駅まで歩き、
そこから松浦西九州線というローカルな電車に乗ります。
電車のラッピングがとてもかわいくて。
ご当地自慢!
こういうラッピング電車はワクワクしますね。
走っている姿もかわいいです。
ご当地の名産品、観光名所などたくさん描かれていました。
ごとごと揺られて、海のそばの「相浦」駅で下車。
そこから相浦港まで歩き、船に乗ります。
目指すは、九十九島で一番大きな島、「黒島」。
この島に唯一ある天主堂を一度見てみたくて。
*黒島めぐりはこちら 。
そもそも九十九島とは、佐世保港から北の、大小様々な島が
集まってできている海域のことで、99と言いながら、実際には
島の数は208ほどもあるそうです。
無人の島から、人が暮らしている島までいろいろです。
相浦港との往復便は1日に数本程度で、夕方には再び佐世保へ。
「坂道のアポロン」で忘れちゃいけないこの名所に向かいます。
連なるぼんぼり。
大きな穴がぽっかり2つ開いた、「眼鏡岩」と呼ばれる岩です。
アニメ3話で、薫・千太郎・律子と先輩の百合香嬢が4人でダブルデートに
来るのがここでした。
4人の片思い一方通行の気持ちがここであちこち揺れ動いて…
薫くんが律ちゃんを泣かせてしまったり、切ない。。
実際にはこの岩の上には登れない…と思います(だいぶ危険w)。
夏祭りが近いうちにあるのか、赤いぼんぼりがぶら下げられていました。
岩のふもとにある小さな公園では、お祭りの踊りを練習する
子供たちの姿も。
聖地巡礼はここで一通りおしまい。
辺りも徐々に暮れかけてきたので、この日のホテルへ向かいます。
佐世保は坂道が多く、起伏の多い街。
その中で、山の中腹に立つ見晴らしの良いホテル、「弓張の丘ホテル」が
この日のお宿。ちょっと贅沢。
宿に着くと、夕暮れ。
その先には、空と海を混ぜ合わせたグラデーションと、
黒くまるくそこに在る九十九の島たち。
時のあわい。
霞む島々がとても幻想的でした。
まるで、日本ができたての頃を想起させるような雰囲気があり。
徐々に赤みを増して失っていく、空にできた一筋の線に
釘付けになり、夢中でシャッターを切りました。
絶景。
ホテルの部屋からは、佐世保港と街並みが見渡せます。
こちらは陽の光とは真逆に、灯りがぽつぽつとともり始める。
人工的な光だけど、自然と変わらずやっぱり幻想的で美しいです。
海に灯る。
お腹もすいたので、ホテルに荷物を置いて再び佐世保の街に
降ります。
何を食べようか~と繁華街をぷらぷらして、見つけた
メルヘンチックな喫茶店へ何となしに入りました。
アメリカ海軍さんの街、名物はやはり洋食。
レモンステーキや有名な佐世保バーガーとともに
この街を代表する、ビーフシチューをチョイス。
ごろごろ野菜。
シチューというよりは、デミグラスソースのかかった牛肉といった見た目。
これが本当においしくて、牛肉は柔らかく「肉」の風味がしっかりあるし
ソースは甘さよりも苦味があって濃く、その中に色々な素材の味がする。
ごろごろと、大きな野菜たちもたくさん入っていて、お腹いっぱい満足。
喫茶店内の雰囲気も、かわいらしいレトロなおもちゃなどが並んでいて
少し昔の香りを醸し出す、思わず長居してしまうような心地よさ。
一日を振り返りながら、ゆっくりと夜が過ぎていきました。
佐世保の一日、朝から動いてとても濃かった。
長崎市とは違った上品さや歴史、ダイナミックさが
佐世保にはあるような気がしました。