秋の色彩、昇仙峡その3です。
*その2はこちら。
仙娥滝のお土産エリアを抜けて、さらに川沿いを行ったところに
昇仙峡ロープウェイはあります。
ロープウェイって楽しいですよね、空中散歩。
高いところから見下ろす山々は絶景としか言いようがありません。
標高1,000mを超える高みまで、いざ上ります。
ロープウェイから見下ろす色づいた山の景色は、まさに絵画。
絵の具を溶いた筆を立てて、ぽんぽんといろいろな色を
落としていったかのような。
混ざる色合いが華やかで、いつまでも見ていて飽きません。
山頂駅でまず出迎えてくれたのは、日本で一番のこの方。
誰よりも高く。
日本の誇る美しい山、富士山です。
この、どっしりと構えたひとつのシルエット…
いつ見ても感動しますし、日本って素晴らしいなぁと感じます。
空と溶け合うような色合いがまた美しくて。
ここの山頂からは、日本で一番高い山(富士山)のほか、
高さ2位(北岳)、4位(間ノ岳)も一望することができます。
柵もなにもない、本当に岩場が突き出しているだけの展望台から
南アルプスの連峰を180度以上、望むことができます。
空を刷く。
白い絵の具を、大きなブラシでサッと散らしたような雲。
アルプスの山は青く、海の水平線でもなく地面の地平線でもない
山の端をでこぼことなぞる新しい空との境目に
吸い込まれそうでした。
足下の山は色づき、深い秋色です。
秋色の海。
本当に目の前をさえぎるものが何もないので、
足をがくがくさせながら(笑)、岩の先ギリギリまで歩を進めて
秋の海を覗いてみました。
こちらはそんな自分を覗く頭上の空。
日輪。
360度広がる濃い青。
太陽を取り巻く雲。
とても幻想的でした。
山頂でしばらくこんな景色を眺めて、再びふもとに降ります。
遅めのお昼に、名物のほうとうをいただいて、
腹ごしらえも済んだところで、来た道を引き返します。
やさしい味。
行く道と、帰る道って、同じ道だけどやはり見え方が違いますよね。
太陽の位置も変わるので、そう感じるのかもしれません。
ブログその2でとっておいた、昇仙峡の名所「覚円峰」へ。
近づく道に午後の太陽の光が美しく射し込みます。
透かす。
強い午後の日射しで、紅葉の葉に幹が透けて見えました。
本当に絵画みたいです。
「写真のような絵」はあるけど、「絵のような写真」と思うのは
あまりなくて、それほど美しいと感じたのでしょうね。
そして、覚円峰。
白い肌をした大きな大きな岩が聳えています。
そこにいい形で光が当たるのが、午後の時間帯なんです。
抜けるような空の青と、言葉のいらない白、そして秋の赤。
色彩をこんなに豊かに感じられる人間の目は素晴らしいです。
仙娥滝に続き、桃源郷パート2だなと思いました。
仰ぐ。
黄色とも合いますね。
白い肌が、押し寄せる色のただ中にあってなお白く見える。
でも、主張しているというよりは、調和。かつ自分は自分。
という風に見えて、とてもかっこよく見えました。
昇仙峡の渓谷のみち。
とにかく目が眩しくて、「どこを撮っても絵になる」という言葉が
そのまま当てはまるほどの、色彩に満ちた場所でした。
語彙が少なくて申し訳ないのですが、素晴らしい、という一言に尽きます。
一日でたくさんの色を吸収して、自分も豊かになったような。
秋が深まる頃、冬の前の最後の輝き、ぜひ一度味わってみてください。
最後に。
覚円峰のふもとに凛と立つ、もみじの木が
空に向かって手をいっぱいに広げていました。
見送ってくれているように。
また、来年。