やっと更新できました。
4日目、最終日、最後の京都旅です。
真夏の日射しのもと、滴り落ちる汗を
タオルで拭いながら、大原の里をとぼとぼと歩きます。
静かで風もない。じとっと暑いのですが、
目に映る景色は、夏の終わりを感じさせて
少し物悲しさを覚えます。
大原バス停まで引き返し、今度は午前とは逆の道へ。
平家ゆかりの地、寂光院を目指します。
のどかな里。
人もあまりいなくて、広がるのは田んぼと家と暮らし。
夏休みにおばあちゃんの家へ帰るような感覚に、
懐かしさも感じたりして。
寂光院まではこんな田舎道をずっと歩きます。
道中の花たち。
こうべを垂れて。
夏のあいだ咲き誇っていたんだろうひまわりも、
少こうべを垂れ、こちらに向かってごあいさつ。
葉の緑はまだまだ眩しく、日を透かしていました。
夏に咲く。
こちらは白ユリです。
ユリの花は一輪で存在感がありますね。
しばらく歩くと、徐々に頭上を木の葉が覆うようになり、
その森の中に、ひそかに佇む古刹が見えてきます。
緑のカーテン。
紅葉の葉に視界を覆われながら、階段を上がると
寂光院の寺門がしんと迎えてくれます。
紅白のいろどり。
本堂の両脇に、同種の紅と白の花が
競うように、調和するように咲いていたのが
印象的でした。
寂光院は、小さいですがとても上品な雰囲気で、
女性的なやわらかさを感じました。
確かにここは尼寺で、聖徳太子が建立したという
歴史のあるお寺です。
そして、「平家ゆかりの地」と書きましたが、
ここは源平合戦で敗れた平氏の頭・平清盛の娘である
建礼門院徳子が終生を過ごした場所です。
大河ドラマにも出てくるのかな。
今年の大河を見てから訪れたら、また実感が違うのでしょうね。
ここでは、あの有名な平家物語の冒頭に登場する
祇園精舎の鐘、沙羅双樹の木も実際に見ることができます。
諸行無常の響きあり。
おごれる人も久しからず、
ただ春の夜の夢の如し。
猛き者もついには滅びぬ、
偏に風の前の塵に同じ。
ですね。
本堂の脇道を抜けると、森の中に、建礼門院さまが暮らした
御庵室の跡地があります。
祈りよ届け。
壇ノ浦の戦いで滅亡した平家一門。
彼らの栄光と、最期を思いながら
この地で祈りを捧げていたのでしょうか。
とても美しい場所でした。
寂光院を出ると、門前に老舗の漬物屋さんがあります。
「翠月」さんという、涼しげなお名前のお店。
京都といえば漬物。寂光院で生まれたしば漬けをはじめ、
ここならではの漬物がたくさん売っていました。
お店のおばちゃんにたくさん試食させてもらってしまいました!
(漬物だけでなく、ご飯まで!)
とても気さくな方で、ついつい話し込んでしまって。
色々吟味して、結局「すぐき漬」と「まいたけの佃煮」を購入。
「すぐき」は京野菜で、しゃきしゃきした歯ごたえが特徴。
青野菜です。
これを乳酸菌につけて、少し酸っぱくした漬物はご飯に合う。
また、まいたけも、佃煮というのは珍しいですが
これが最高にいい味で、感動しました。
家に帰ってからしばらくは、毎日これとご飯が朝食でした(笑)
いいお土産もいただき、大満足で寂光院を後に。
少し歩くと、これまた森の中に目を引く看板が。
「足湯カフェ」…足も疲れていたので、
引き寄せられるようにお店の中へ。
癒しの空間。
見ての通り、喫茶店のテーブルの下が足湯になっていて、
靴を脱いで足湯につかりながらドリンクをいただけます。
メニューも、普通の喫茶店にありそうなコーヒーから、
「京都赤しそジュース」なんていうご当地ものまでありました。
これはとても心地いいですね。
東京でオープンしても絶対流行る気がする。
足を温めながら、冷たいものをいただいて頭を冷やす。
すーっと体の中が浄化されていく感じがします。
また、テーブルのある部屋は外が吹き抜けなので、
時折吹く山風が本当に爽やかで、気持ちいい。
さわさわと竹の葉がこすれる音がして、耳をすますと
身体が音を取り込んで、また涼しくなります。
足湯に浸かりながら、京都雑誌に目を通したりして
1時間ほどゆっくりと過ごしてしまいました。
その後は、大原をあとにして、バスで京都駅まで戻りました。
道が混んでいて新幹線の時間ぎりぎりでしたが、
なんとか滑り込みセーフで東京へ。
*****
真夏の京都旅、4日間が終わりました。
知ったのは、夏の京都は本当に暑いということ(笑)
そして何より、「京都はひとりでまわるのがいいかもしれない」
ということ。
自分が抱えていることや、感じていることは
ひとりひとり違うはずで、それによって見たいものも
感じたい時間も、変わってくる気がする。
京都はそんな自分、ひとりと向き合えるたくさんの場所があります。
だから、ひとりで心の赴くまま、導かれるまま、
本当に行きたいところを時間も場所も自由に巡るのがいいなぁ
と思いました。
毎日が濃くて、出会いと発見があって、とても楽しい旅でした。
多くの顔を見せてくれるこの千年の都、すっかり虜に
なってしまいました。
また違う季節に、違う場所を巡ってみたいと思います。
夏の終わりの想い出をありがとう、京都!!