鞍馬寺をおりて、貴船の地に降り立ちました。
*2日目その1~鞍馬~はこちら 。
ちょうどお昼時だったこともあり、たくさんの人で賑わっていました。
鞍馬の静けさとは打って変わり、ここは"人"をたくさん感じます。
貴船といえば、川床料理が有名。
貴船川の上にござを敷いて、本当に川の上でおいしい地元の
魚料理やそば料理をいただけます。
水が綺麗な場所ならではですね。
楽しそうにおしゃべりする観光客、お料理屋へ呼び込みをする
和服を着た女将さん。
人の生活、笑い声、活気がありました。
少し川沿いを歩くと、すぐに貴船神社・本宮の鳥居が見えてきます。
水の神社。
鳥居をくぐると、いくつもの灯り台が迎えてくれます。
緑の中の朱色の行列は、コントラストがとても美しく
圧巻でした。
朱の道しるべ。
日が落ちた頃、灯りがともる姿もまた綺麗なのでしょうね。
そして、紅葉の時期に行けば、きっと一面紅い光景が
見られるんでしょう。
階段を上がろうとしたカップルが、こちらがカメラを構えているのを見て
少し待ってくれました。
お礼を言うと、「撮りたくなる気持ち分かります(笑)」と言ってくれました。
さて、貴船神社と言えば、水の神様、竜神様を祀っていることで
知られています。
この町は、昔から水とともに、水に感謝しながら生きてきた土地なんですね。
そのせいか、この神社はすごく清々しい空気に満ちていました。
本宮は平成17年に再建された新しい建物で、金ぴかでした。
そこで、どうしてもやってみたかった、「水占みくじ」を買います。
このおみくじ、境内にある「水占斉庭」という小さな池に浸すと、
スーッと紙に文字が浮き上がってくるんです…!
水から引き上げると、そこには「吉」の文字が。
中身をふんふんと読んだあと、おみくじを結びつけました。
こんなところも水にこだわっているのが素晴らしいですね。
なんと、境内の奥の山の中には、鹿の姿もありました。
人がたくさんいるとわかると、すぐに駆け足で消えてしまいましたが、
京都で野生の鹿は初めて見たので、ちょっと興奮しました。
顔がとても愛らしい竜神様のお守りを買って、
本宮を抜け、次は奥宮を目指します。
10分くらい、また川沿いを上っていくと、灯り台が並ぶ先に奥宮が
見えてきました。
質素な奥宮。
奥宮は敷地はとても広いのですが、
色のない、質素なつくりになっていて
本宮よりも不思議な感じがありました。
さて、この奥宮が、貴船のパワースポットです。
奥宮拝殿の井戸は、地のエネルギーが噴出している場所と言われています。
そもそも、もともと貴船は「氣生根(きふね)」と表記されることもあり
大地の「気」が生じる場所と言われているそうです。
鞍馬は「天」で、貴船は「地」。
鞍馬は山高く、天に近い場所だし、
貴船は地に水の流れる場所。
それを考えると、なんというか、この「気」の流れの違いも
少し納得できるような気がします。
鞍馬の力は、不思議な、きらきらした感じがあるなと思ったのですが
貴船の方は、どっしりと、大地に守られている安心する感じ。
そんなことを考えていたら、奥宮にいるときだけ、小雨が降りました。
竜神様は、雨を降らせたり止ませたりする力を持っています。
これも何かこの地の力なんだろうか、と小雨に濡れながら
想いを馳せます。
そのあとは、先ほど通りすぎてしまった、結社へお参り。
結社は、本宮と奥宮のあいだにあり、縁結びのご利益があるとして
知られています。
古くからの習わしで、参拝の順番は「本宮→奥宮→結社」というのが
あるそうで、その通りにたどろうと。
結社の近くには、相生の杉も立っています。
杉の大木。
写真だと分かりにくいですが、この杉は2本の大木が
ぴったりくっつくように寄り添っています。
樹齢千年とも言われていて、とても仲睦まじい様子が
微笑ましいです。
少し戻ると、目的地の結社。
結社はとても小さく、見逃してしまいそうなほどですが、
メインストリートから林の中に入って、小さな社にお参り。
ご利益ありますように。
これで貴船のメインスポットは巡りました。
お昼もだいぶ過ぎていて、お腹も空き、何より喉が渇いていたので
再び貴船川沿いを引き返し、どのお店に入ろうか悩んでいると…
和風料亭のようなお店ばかりのなか、ガラス張りのお洒落なカフェが
目につきます。
ドアの外に出ているメニュー板には、甘いものがたくさん。
疲れを取るためには糖分が一番、ということで
カランカランと鳴るドアを引いて、カフェ「貴船倶楽部」に入ります。
中は木造りの机、椅子とぬくもりに溢れていて
お客さんもあまりおらず、とても落ち着ける空間が漂っていました。
席はガラスから貴船川の流れを見渡せる、窓際の席。
この日は少し冷えていたので、暖かい店内にほっと一息。
抹茶ラテと、黒糖わらびもちを注文しました。
ほっと和の味。
抹茶の苦味が、ミルクでほどよくまろやかになったラテ。
そのゆるりとした深い味わいに、体の芯から解きほぐされて温まります。
わらびもちは、もちもち感がとにかくすごくて、
舌の上で跳ねるような、そんな食感。
黒糖ときなこの甘味が癒しを与えてくれます。元気になれそう。
とても居心地がよかったので、1時間くらいボーっと貴船川を眺めながら
まったりと過ごしてしまいました。
さて、これで本日行きたかったところはすべて見て回ったので、
歩いて、叡山電車の貴船口駅を目指します。
…それが貴船神社からだと、川沿いをひたすら歩いて2kmほど
あるのですが…(笑)
まあ、急ぐ旅ではないし、清涼な川を横目に見ながらゆるゆると歩けば
きっとすぐだろうと思い、歩くことにしました。
途中までは、川床料理屋さんが軒をつらねて、お客さんを
待っています。
夏の風物詩。
川のそばで、せせらぎの音を聞きながら、爽やかな風を感じながら
いただく料理は、さぞ美味しいでしょうね。
どこのお店も、和食膳のコース料理みたいになっていて
お昼で、最低でも5千円という価格設定になっていたので
今回は泣く泣くあきらめたのですが…(笑)
もっと大人になったら、必ずここで川床料理をいただくぞ!と心に誓い
歩を進めました。
新たな夢ができました。
途中には、「貴船ギャラリー」という、地元のアーティストさんが作った
陶器やパワーストーンのアクセサリーなどが売られているお店もあり
立ち寄りました。
そこで見つけた、正三角形のお香立てに一目惚れし、思わず購入。
形が面白いのと、深緑の色合いに吸い込まれて。
斜めに入っている流水紋も貴船らしくて好きでした。
素敵なセンスのものがたくさんあって、そういうものに触れていると
自分も思わず何か作りたいという気持ちになりますね。
お香立ては今も愛用しています。
だんだんと、お店も減り、次第に森の中の道といった様相になります。
木漏れ日の射す木のトンネルの中を、川の流れの調べを聴きながら
歩くのは、とても気持ちが良いです。
貴船川の水は本当に透明で綺麗で、この土地が水を大切にしているのが
よく分かる。
水と切り離せない場所なんですね、ここは。
水の碧。
こんな景色がずっと横に続いていきます。
とても心地良い道です。
カメラを構えながら少しずつ歩いていると、
あっという間に貴船口駅に到着。
これで鞍馬・貴船をめぐる旅はおしまい。
京都の奥深く、こんなにも神秘的で魅力あふれる場所に出会えるとは。
また少し時間が経った時、心を洗いに来たいなと思いました。
さて、まだ午後もそこまで遅くない時間だったので
電車に揺られて、祇園まで出てみました。
どうしても行きたかった、お洒落な文房具屋の「裏具」さんを訪れ、
モダンでいて"和"と融合したようなデザインの素敵なハガキをお土産に。
祇園の目抜き通り、四条通から少し路地を入ると
すぐに、そこに暮らす人たちの生活感あふれる街並みが続きます。
花見小路。
木造りの町家が立ち並ぶ、石畳の通り。
歩くだけで京都の風を感じ、タイムスリップできるような心地に。
この日は祇園にいる間に夕立ちに見舞われたのですが、
スタバに入ってフラペチーノをすすりながらやり過ごしていると、
次第に夏の青空が。
その空が地球そのものというか、とても濃い青だったのに
びっくりしました。夏の濃さ。
自分のカメラの腕ではとても表現し切れていないのですが、
とにかく空の青が鮮明に頭に刺さりました。
それにしても祇園は楽しいですね。
たくさんの京みやげがあって、思わずいろいろ買ってしまいました。
千社札のようなシール、京わっふる、ちりめん細工のピン。
日本の良さをいっぱい感じられます。
そんなこんなで日も暮れてきたので、今日の夕飯にと決めていた
おばんざいバイキングのお店に向かったのですが…
なんと、この日は定休日でした。。調べが足りなかった。。
ということで、急きょ予定を変更し、ホテル近くの京野菜居酒屋へ。
ひとりで、食事だけでもいいですか?と聞いたら、快諾してくれた上
個室に案内してくれました。
「京やさい料理 接方来」というお店です。
お腹が空いていたのでいろいろ頼んでしまいました…。
青梅のジュース、京野菜の茶碗蒸し。
中でも最高に美味しかったのが、九条ネギと鴨の釜めしです。
京の夕餉。
ご飯にしょうゆ?のいい香りと出汁の深い味わいが染みついていて、
それでいて少しスパイシーな風味も。
ひと口目を口に入れた瞬間に目が丸くなりました。
九条ネギのさっぱりしゃきしゃき感と、鴨肉の柔らかさがまた絶妙で。
今まで食べたご飯のなかでも上位3位の中に入るほどの美味しさ。
疲れも吹っ飛び、何より京都の味を堪能できたのが良かったです。
そんなこんなで2日目も無事に終了!
歩いた分だけ、とても実りの多い1日でした。
京都にはいろんな顔がある。とても楽しいです。
3日目は、嵐山と新撰組ゆかりの地を巡ります。
嵐山その1はこちら
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