歴代単独1位となる29連勝を達成し、感想戦で対局を振り返る藤井聡太四段(左)=東京都渋谷区の将棋会館で2017年6月26日午後9時42分、佐々木順一撮影
歴代単独1位となる29連勝を達成し、感想戦で対局を振り返る藤井聡太四段(左)=東京都渋谷区の将棋会館で2017年6月26日午後9時42分、佐々木順一撮影

 将棋の史上最年少棋士で、デビュー戦以来無敗の藤井聡太四段(14)が26日、東京都渋谷区の将棋会館であった竜王戦決勝トーナメント1回戦で増田康宏四段(19)に91手で勝ち、歴代単独1位となる29連勝を達成した。藤井四段は、神谷広志八段(56)が1987年に達成した公式戦連勝記録の28を30年ぶりに塗り替え、新記録を打ち立てた。残り時間は藤井四段が30分、増田四段が12分。

 

 この日は渡辺明竜王(33)への挑戦権を争うトーナメント戦で、下から2番目の5組で優勝した増田四段と一番下のクラスの6組で優勝した藤井四段が対局した。現在、10代の将棋棋士は2人しかおらず、藤井四段にとっては公式戦初の10代プロ対決を制した。

 

 次戦は7月2日、同トーナメント4組優勝の佐々木勇気五段(22)と、30連勝をかけて対戦する。

 

 藤井四段は、昨年10月1日付で四段に昇段した。同12月24日、当時現役最年長の加藤一二三九段(77)との竜王戦6組ランキング戦の対局で初勝利。今年4月4日には11連勝を達成して、松本佳介六段(45)と近藤正和六段(46)が持っていたデビュー戦からの連勝記録を塗り替えた。

 

 公式戦では劣勢に陥ったり、終局直前で対戦相手が手を間違えたりした将棋もあったが、敗れた相手が「スキのない将棋」と口をそろえる正確な指し手の連続が新記録につながった。14歳の快進撃はメディアに大きく取り上げられ、社会現象となった。

 

 竜王戦では、次戦の佐々木五段に勝ち、さらに阿久津主税(ちから)八段(35)、久保利明王将(41)、松尾歩八段(37)に連勝すると、羽生善治王位(46)ら5人のトーナメントの勝者と挑戦者決定三番勝負で戦うことになる。竜王戦は10~12月に七番勝負が行われるため、勝ち抜けば年内のタイトル獲得の可能性がある。

 

 藤井四段は2002年7月19日、愛知県瀬戸市生まれの中学3年生。昨年10月、史上5人目の中学生プロ棋士になった。【山村英樹】

 

 藤井四段の話 途中苦しくしてしまった。良くなったかは、最後の最後まで分からなかった。新記録の29連勝は自分でも信じられない。きょうを含めて苦しい将棋が数多くあったので、非常に幸運だった。次も強敵なので、全力でぶつかっていきたい。

 

 増田四段の話 中盤はしのげるかなと思ったが、意外と相手の攻めが厳しく、悪くしてしまった。藤井四段は、中終盤がかなり強かった。