蓮キョ☆メロキュン推進!『ラブコラボ研究所』
テーマお題第10弾!!『メロキュン☆卒業レポート』 ━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
 卒業レポートには、テーマが設けられておりました。下記青字部分がそのテーマです。
 
*それぞれが思う蓮キョのメロキュンなストーリーを、思いっきり自由に書く。
     →ある意味メロメロではあるかもしれないけれど、キュンにはなってない。
*蓮キョを最高に幸せにする。
     →最高に幸せなのかもしれないけど、気苦労も多いかも。
*お題の被りもOK。まわりを気にせず思う存分メロキュンを追求する。
     →周りを気にはしてませんが、メロキュン追求はできてないかも。
*魂の限りメロキュンへの思いを吐き出す。
     →魂の限り吐き出した思いは…不発に終わってる『お笑い』要素のみ。
*蓮キョのメロキュンストーリーorイラストであれば、何本でも発表OK。
     →一作品のみで、ごめんなさい。
*読者と研究員仲間をメロメロキュンキュンさせる
     →読者、研究員仲間に、生ぬるい笑顔を浮かべさせる。
*作者自身も思いっきり楽しむ。
     →唯一、これだけは達成。メロキュン研究所、お笑い隊員としての意地かも。

以上のように、にゃおん(私)は、テーマ6つのうち、一つしかクリアできておりません。
 この『卒論』が、所長・副所長以下、研究員による審査で、『不可』になりませんようにと祈りつつ、提出させていただきます。   
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『卒業』


 敦賀蓮こと本名 久遠・ヒズリは、結婚一年以上が過ぎた現在でも、妻キョーコ・ヒズリの『うるうる瞳で見つめられ、かつ小首をこくんとかしげながらのお願い』には、めっぽう弱かった
 というか、たぶん一生、弱いまま…というか、抵抗できないだろう自覚が彼にはあった。
 今日も今日とて、さてそろそろ夕食をどうしようかという時間になったその時にも、久遠は愛して止まない、腕の中に抱え込むように抱きしめている妻に、潤んだ瞳で見上げられ、可憐なその声で『お願い』を告げられていた。
 が、しかしその『お願い』のあまりな内容に、久遠はいつものようにあっさり陥落する訳にはいかなかった。
「久遠、お願い」
「…(汗)…だ…ダメだ」
 なんとか絞りだした拒絶の言葉に、愛しい妻の瞳にじわりと涙が浮かぶ。
「私のお願い、なんでも聞いてくれるって言ったのに…」
 久遠の心が、罪悪感にさいなまれる。
「キョーコのお願いなら、なんだってかなえてあげたいよ」
「だったら、かなえてください」
「ダメだ、それだけは!だめ!」
 久遠は折れそうになる心を、何とか奮い立たせて、キョーコの願いを拒絶する。
「久遠の意地悪! いいもん! だったら、私、ジュリママに電話するんだから! ママの手料理食べたいって!!」
 その言葉に、久遠は青ざめた。
 現在、二人が居るのは日本にある、久遠のマンション。かたや、クー&ジュリエラ・ヒズリが暮らしているのはアメリカ。とてつもない距離が間にはあるが、ハリウッドスターであり、重量級の愛情をもっているこの二人の行動は、一般人には想像できないことも、平気でやってのけること確実である。
 愛しい義理の娘が、涙声で『お願い』なんぞした日には、確実にジェット機をチャーターしてやってくるだろう。
 キョーコが、ジュリエラの手料理を所望しているなどと告げたその数時間後には、おそらく久遠とキョーコがいるこのマンションのリビングのテーブルの上には、『万人には受けの悪い、オリジナリティにとんだ味付けの料理』が多数並んでいるだろう。
 いや、並んでいる。
「キョーコ! それだけは止めてくれ!」
 確実に起こりうる、悪夢な未来に、反対に久遠の方がキョーコに懇願してしまった。
「なら、私のお願い、聞いてください!」
 その久遠の懇願に、してやったりとした表情を浮かべて、キョーコは再度告げた。
「私に『オムライス』作ってください」
 と。

 キョーコのお願いごとは、久遠手作りの『オムライス』であった。
 しかし、料理の腕前が人並み未満な久遠の作るオムライスは、『マウイ(まずい)』のである。
 結婚する遥か以前に一度、確かに久遠はキョーコに振舞っているのだから、通常の時であれば『そんなに言うなら』で済ませられなくもない、キョーコのお願いであった。
 が、しかし、今は通常の時ではないのだ。
「……キョーコ、胎教に悪いと思わない?」
 そう、キョーコのお腹には、久遠との子供が宿っている。
 二日の休みをもぎ取った久遠と、産休に入っているキョーコは、その日の昼間、産婦人科に定期検査に行っていたのだ。
 お腹の胎児は女の子で、無事に育ってると、医者に告げられたばかりである。
 帰宅して、名前をどうしようかと話をしたり、乳幼児用の衣類のカタログを見ながらどれを買おうとか、そんなことを話しながら幸せに満ちた時間を過ごしていた。
 なのに、夕食の献立の話しになった途端、キョーコが『オムライス』を作って欲しいと言い出したのだ。
 久遠も、平時なら作ることに吝かではない。
 しかし、キョーコのお腹には、愛すべき娘が宿っているのだ。
 久遠は、娘には母であるキョーコに似ていて欲しいと思っている。
 当然、キョーコのように愛らしく可愛らしく清楚で、しっかり者で頑張り屋で、純粋で素直で、優しくて……(以下、父親のクー並に、妻への賛辞が続きます)……そして、料理上手になって欲しい。
 しかし、胎内で育っている、母親の食したものがダイレクトに娘に伝わるこの時期に、自分の作る、美味しくないものなどに、触れさせたくないのだ。
 当然、独創的な味付けのジュリエラの料理などは、言語道断である。
 万一にも、隔世遺伝が引き起こされても困るし、その味付けを胎児の時期に身につけられても嫌なのだ。
 娘には、なにがなんでも、妻・キョーコのように、愛らしく可愛らしく清楚で、しっかり者で頑張り屋で、純粋で素直で、優しくて……(以下、再び、父親のクー並に、妻への賛辞が続きます)……料理上手で居て欲しいのだ。
「母親であるキョーコの食べたものが、お腹の赤ちゃんに、ダイレクトに伝わるんだよ? 俺のまずいオムライスとか、母さんの手料理とか、お腹の赤ちゃんには良くないと思わない? どうしても食べたいなら、出産後に作ってあげるから。ね?」
 そういって、久遠はキョーコを宥めに掛かった。
 のだが、妊婦の方が強かった。
「タバコとかお酒とか、そんなのはダメだけど、我慢のし過ぎは良くないってお医者様も言ったもの! 私は、久遠の作ったオムライスを食べたいの~~~~!!!! 食べられないと、ストレスがたまって、赤ちゃんに良くないの! 久遠のオムライスを食べられないんだったら、ジュリママのお料理を食べたいの!」
 妊婦というものは、時折、平時では想像もしないようなものを食べたがる時がある。
 今のキョーコがまさにそれだった。
 久遠の作るオムライス。あるいはジュリエラの作る料理。
 その二つの選択肢を突きつけられた久遠は、覚悟を決めるしかなかった。

「わかった、キョーコ。オムライスを作るから。だから、母さんに電話するのだけは、やめてくれ」
 間違ってもジュリエラに電話して料理を頼むような恐ろしいマネだけはしないで欲しいと、久遠はキョーコにそう約束を取り付けた。
 それから久遠は、
「オムライス、皆で食べた方が楽しいだろうから、琴南さんや天宮さん、マリアちゃん社さんたちも呼んで、パーティにしない? 久しぶりの二人のオフだからさ、ちょっとしたホームパーティにして。キョーコも琴南さんや天宮さんと、久しぶりにゆっくり話しをしたいだろう? 」
 と提案したのだ。

 その日の夜、キョーコが、久しぶりに会った親友との会話をリビングで楽しんでいるその同時刻、キッチンでは料理指南を請われた社とマリアが、久遠にあまりにダイナミックで野生doな調理に仕方に青ざめていた。
 結局、オムライスの作成は、見るに見かねたセバスチャン(マリアの送迎のための運転手兼付き添い)が事細かに指導し、見た目はともかく、味は人並みに食べられるものに仕上げることに成功した。
 そうして、招待されたメンバーが持ち寄った(というより持ち寄って欲しいと、久遠が密かに依頼していた)料理とあわせて、なんとかホームパーティは無事に終わらせることができたし、キョーコの『久遠の作ったオムライスを食す』という欲求も満たすことができた。

そんな事件をきっかけに、久遠は決意した
       『料理下手 卒業』
 キョーコ並とは高望みしないまでも、現在の『人並み未満』な料理の腕前を、『とりあえずは人並み?かな』という程度までに上げようと。
 今後、(今のところ久遠のみが考えている)二人目・三人目の子供をキョーコが宿した時に、今日のような事態を引き起こさないために。
 間違っても、自分の子供の味覚と料理の腕前が自分の母親に似ないようにするために。
 
 
終わり

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私の母は、兄を妊娠中、「近所のうどん屋さんのうどんの おつゆだけ」が欲しくてたまらなかったそうです。
ちなみに、私のお腹に宿しているときは…妊婦にあるまじき「ビール」だったそうです。
さすがに「アルコールはまずかろう」と我慢していたそうですが、医者が「ストレスためすぎるのも良くない」と言ったとかで、何回かビールをぐいぐい飲んだそうな。

尚、私は妊娠中…米酢をサイダーで割ったものを飲みたくてたまらず、飲んでました。
母が「口の中すっきりさせるんなら、レモンかスダチにすれば?」とアドバイスしてくれたのですが、私はどうしても、「米酢でなきゃイヤ」だったです。
今、ソレを飲めといわれたら、それこそ、「米酢よりレモンがいい」です。