1983年に公開され、1985年に鑑賞した「パリ、テキサス」を40年ぶりに映画館で見ることができました。1985年の鑑賞ではナスターシャ・キンスキーしか印象になく、ストーリーの大半は忘れてしまいました。この映画は1984年のカンヌ映画祭でパルム・ドール賞を受賞しているので再鑑賞すべきと思っており、松山市の映画館で上映されているので出かけました。

映画は汚れた中年男がテキサスの荒野を彷徨い歩くところから始まります。喉の乾いた男は昼間の人気のない酒場に入り込んで氷をかじっているうちに倒れてしまいます。病院に担ぎ込まれて治療を受けますが、所持していたメモに家族の電話番号が記載されていたので、電話連絡されます。電話の相手はカリフォルニア在住の男の男で、男は4年間行方不明であることがわかりました。弟がやって来ても男(トラビス)は何も語ろうとはしませんでした。

弟がトラビスをカリフォルニアに連れてくるとトラビスは行方不明の4年間のことを少しずつ語り始めます。トラビスを驚かせたことは弟夫婦の子供がトラビスの息子だったことです。トラビスが行方不明になった後、トラビスの妻が息子を弟夫婦に託していました。トラビスは息子と関係を築こうとします。最初は拒否されますが、トラビスの努力で少しずつ仲良くなります。トラビスは妻と会う決心をしますが、居住場所がわかりません。弟の妻の話によると毎月テキサスの銀行から息子の養育費が振り込まれているとのこと。トラビスは振り込まれる日にテキサスの銀行を見張り、妻を待つことにします。息子も妻探しに付き合いたいと言うので、弟から金を借りて古いピックアップトラックを買い、テキサスに向かいます。

テキサスのヒューストンにある銀行の前で息子(8ミリフィルムの家族映画で母の姿を覚えています)に見張らせ、トラビスは隠れて待っています。予想通り、妻(ナスターシャ・キンスキー)が現れ、妻の車を追跡すると下町の風俗店(テレホンクラブ)の駐車場に入りました。テレホンクラブに入店し、妻がホステスとして働いていることを確認した後、もう一度テレホンクラブに行き、妻に失踪した原因(子供が生まれたことによる生活の変化や性格の食い違いなど)を語っているうちにわだかまりが解け、ヒューストンのホテルで再開することを約束します。約束の日、妻はホテルの部屋で息子と再開して大喜びしますが、トラビスは妻と会うことなくホテルを出て、ピックアップトラックに乗って一人で旅に出てしまいます。

40年前に見た時はあまり印象に残りませんでしたが、今回はトラビスの心に入り込んでかなり楽しむことができました。最初に見た時は二十代半ばでしたが、40年の時間は私の心を多少成長させてくれたようです。でもトラビス、妻、息子はこの後どうなるのかな?