9月25日。

日曜日。小雨のち快晴。


待ちに待った、娘の小学校最後の運動会。

娘の通う小学校は、毎年恒例で六年生と保護者の対抗リレーが行われていて、仮装や先生の妨害(速い子どもを担任の先生が一時捕まえててくれる)もありのリレーだった。


溝口先生やリハビリさん達にずっと伝えていた、「親子リレーで娘と一緒に走りたい」という目標が、ついに今日当日になった。


退院してから三週間、自宅療養中もめまいの体操やスクワット、プランク、散歩なんかのリハビリメニューもやっていたけど、嬉しいのと不安なのとがごちゃ混ぜになりながら、お弁当を作る。

妹がメインで作ってきてくれるけれど、やっぱり少しでも「お母さんのお弁当」も娘に構えてあげたかった。



気が張ってるおかげか、大きなめまいもなく、無事お弁当完成。
小雨で運動会の開始時間が一時間延長になったと学校からメールが届いていたから、少しだけ休憩をしてから、出掛ける準備をする。



妹夫婦や母も合流して、小学校へ行き、いい感じの観覧スペースを見つけて、みんなで腰を下ろした。



ーー来れて、本当に良かった。入院中は、目標にはしちょったけど、やっぱり不安は拭えんかったもんなぁ…


家族とわーわー言いながら、娘の運動会を見られるこの時間に、何に対してかわからないけど感謝の気持ちでいっぱいになる。




午前の競技も楽しく終わって、昼食の時間になった。

お弁当は、料理上手な中の妹も沢山作ってきてくれていて、お腹いっぱいになった。
私の作ったお弁当も、娘は沢山食べてくれて、やっぱり作ってきてよかったと思う。



そして、午後の競技が始まり…

「親子リレー」の呼び出しがあって、入場門や六年生と保護者で並ぶ。


順番は、アンカーの前だった。
アンカーは、野球をしてる父子で、二人とも野球のユニフォーム姿だった。

私は一周走る自信はなくて、半周からは妹にバトンタッチするようにしてもらった。



人数の少ない学校なので、始まるとどんどん列が進んで、あっという間に自分達もトラックにスタンバイする。


子どもチームとほぼ同着でバトンを貰ったけど、やっぱりあっという間に娘に置いていかれた。



そして、担任の先生にばっちり捕まえられてる娘。

その横を必死に杖をつきながら走る。


左カーブは特にバランス感覚が取れなくて、めまいを起こしながら、白くチカチカする視界で何とか進む。


私が追い越した後に、先生が手を離して、すぐに娘が追いついて、一瞬の間に追い越された。


私もすぐに、待ち構えていてくれた中の妹にバトンを渡した。


妹は想像以上に頑張ってくれて、アンカーにバトンを渡す時には娘にほぼ追いついていた。




ゴールテープを切ったのは親チーム。

でも、「反則負け」で、子どもチームの勝利。これも毎年恒例の結果だけれど、放送される結果に走った私達も観客席もみんな笑顔になる。


杖をつきながら、観覧席に戻る。


ーー…走れた。

ーー走れた。走れた。走れた!!よかったぁ!



下の妹と母が、それぞれ動画を撮っていてくれた。観てみると、私も娘もすごい笑顔で走ってた。


ーーよかった。杖をつくお母さんは嫌やないか、みっともないと思わんか、どっか心配やったけど…よかった。ちゃんと走れてよかった。ほんまに、よかった…



本当に嬉しくって、勤務先の先生達や、友達に動画付きで報告メールやメッセージを送ると、みんなが物凄く喜んでくれていて、それもまたすごく嬉しかった。



小学校最後の運動会は、たまに小雨に降られながらも、ほとんど晴れていて、楽しく終了した。




帰ってからも、湧き上がってくる喜びが抑えられずに、何度もリレーの動画を観てしまう。

ーー私の身体、ほんまにありがとう。嬉しい。来週のリハビリ通院の日に、溝口先生とリハビリさんらに報告するのが、ほんまに待ち遠しい。




入院中、「9月の親子リレーで走りたい」と伝えるたびに、「大丈夫。」とにこっと笑顔で返してくれた溝口先生や「がんばりましょうね!」と沢山励ましてくれたリハビリさん達に、早く会いたくなった。









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だいぶ、ご無沙汰していますアセアセ
毎日物凄く暑いですが、みなさまお元気でしょうか?

四月から、学校図書支援員というお仕事をすることになり、兼務校が多くて、娘の高校生活も始まり、慣れるのに必死な一学期でした。

夏休みは雇用も切れるんですが、今年は夏休みも短いしコロナのこともあるし…で短期バイトも探さずに、ひたすら本を読んでる夏ですチュー

インプットモードからなかなか切り替えられず、あっという間に八月も半ばを過ぎ…
ちょっと焦って(笑)、久しぶりの更新です。

退院もして、目標だった運動会も終わって、どこを終わりとするか悩んで答えが出ないままですが、もうちょこっとだけ書こうと思ってはいますので、また急に更新すると思いますm(_ _)m

今年は猛暑とコロナのダブルパンチな夏ですが、健康第一でご自愛くださいませ。

ではまたスイカ









918日。



2日前、16日に祖母が永眠した。


葬儀は家族葬にして、今日は葬祭会館に親戚で集まっていた。

伯母や従姉妹達には私の病気や手術は伝えていて、お見舞いも来てくれていたけど、父には一切伝えていなかった。


父は数年前に、仕事を早期退職して、ある病気を発症してしまった。

コルサコフ症候群、といって過度のアルコール摂取が原因で脳の一部が萎縮して戻らなくなり、健忘症になっている。


だいぶ良くなったけど、新しく記憶することが難しくって、一番最初はその日食べたものは勿論、孫の年齢もわからなくなってたし、五分置きにまったく同じ内容の電話が三回続けてかかってきたりもしていた。


ストレスがかかったり情報量が多いとパニックになってしまうこともあって、結局私の病気も入院も手術もぜんぶ父には言わないでおこうと妹達と決めた。


そんなこともあって、父と会うのは半年ぶりくらいだった。

杖をついてることは、目眩がひどい時があるから念の為、と言えば納得していた。



ーー杖はついてるけど、とりあえず動けるし歩ける状態の自分で会えて良かった。



祖母にも、亡くなる二日前、14日に妹達と会いに行ったところだった。


持病もあり、ずっと入院していたけれど、具合が良くないと伯母から教えてもらい、妹二人と一緒にお見舞いに行ってきた。


入退院を繰り返して、痴呆もかなり進んでいた祖母にも、私の入院や病気のことは伝えてない。



それでもーー



ーー私が動ける状態で会えるまで待ってくれちょったみたいなタイミング



家族、ってもしかしたら見えない部分で繋がっていて、感じるものがあるのかもしれない。


ーーおばあちゃん、ありがとう。おじいちゃんとゆっくり会ってね。



会館の外庭にある木の周りに落ちているどんぐりを娘や従姉妹の子ども達と拾いながら、神様に仕組まれたかのようなタイミングに思いを巡せた。











95日。



溝口先生と話した通り、831日に無事、退院することができた。


その二日前に、また外出許可をもらって、先生や看護師さん、リハビリさんに渡すお礼のクッキー詰め合わせとメッセージカードを買ってきた。


四カ月半も入院していて、オペ後の視力と体力が回復してきてからは、病棟の看護師さんや助手さんの顔は全員わかるし、清掃スタッフとも雑談するくらいになっていた。


だから、退院は物凄く嬉しいけど、みんなと会えなくなるのが寂しいという想いもあって、不思議な気持ちだった。



それとその外出した日は、もう一つ大きなことがあった。


入院した時を最後にずっと止まっていた月経が再開した。これには物凄くびっくりした。

体重が減って止まっていたのかと思っていたけれど、もしかしたら出血の影響もあったのかもしれない。

入院してからオペ二週間後くらいまでは、ずっと朝晩のステロイド服用をしていたし、色々なものが自律神経系やホルモン系への影響を与えていたのかもしれない。


とにかく、少しずつ戻ってきた身体に安心も覚える。




そして、今日は、休みの母に手伝ってもらって、また自宅の掃除や買い出しをしてきた。


梅雨もまたいでしまったから、ちょっとした所にカビが発生していたりして、コンロや寝具も変えたかったし、心機一転エネルギー交換の意味もあって、色々買い替えた。



退院後は五日間、妹夫婦の家にお世話になったけど、ついに明日、娘と二人自宅へ帰る。


年内いっぱいは自宅療養で、家事や運動をしつつ、リハビリへ病院へ通う予定。



昼間はずっと買い出しと掃除をして、おやつをしてから、母と二人で娘の小学校へ。


今日明日と、夏休み中に作った工作の作品展があるとプリントがきてたから、見に行った。


職員室に声をかけると、先生方や用務員さんが出てきてくれて、


「お母さん、大変やったねぇ!でも、元気そうで良かった!ほんまよかった!!」


と口々に歓迎してくれた。


ーーほんまにありがたい。娘が元気に過ごせよったのも、先生方のおかげや。




その後、帰宅してまた少し片付けをしてると、娘が帰ってきたから、ある程度仕舞をつけて、また妹夫婦の家に母の運転で連れてってもらった。


ーー今晩、お世話になったら、あとは娘と二人暮らしに戻る。がんばろう。




妹の家のリビングに入ると、下の妹母子も来ていて、壁には『退院おめでとう!』の飾り付けが!


なんと退院祝いのパーティーを準備してくれてた。

入院中に、退院後にみんなで着ようと約束していた、お揃いのロングTシャツもあって、着替えみんなで写真も撮った。


食後には、ケーキも出てきて、クラッカーまで。



ーー大変やったけど、戻ってこれて、本当に良かった。リハビリがんばろ。運動会の親子リレーもがんばろう!



明日からの自宅療養に向けて、ものすごく元気とパワーを貰えた夜だった。