『学歴差別』 | Soui

『学歴差別』

貴戸理恵・常野雄次郎『不登校選んだわけじゃないんだぜ!』(理論社/2005年)


例えば『学歴差別』について考えてみよう。このことが問題にされるときに取り上げられるのは、多くの場合、無学歴・低学歴の人のほうだ。彼らがいかに差別され排除されているかということに目が向けられる。でも忘れてはならないのは、これは高学歴の人の問題でもあるということだ。彼らのさまざまな『特権』は、何も天から降ってくるわけではない。それは低学歴の人たちへの差別に支えられている。高学歴の人が高収入で快適な仕事を維持できるのは、低学歴の人が逆に低収入でしんどい仕事を担わされているからに他ならない。これは逆に言うと、低学歴の人への差別も高学歴の人の特権と無関係ではないということだ。


だったら、『学校に行きたい人は行けばいいし、行きたくない人は行かなければいい』なんて甘ッチョロイ言い方はもうやめたほうがいい。学校に行かないで安心して生きて行けるようになるためには、つまり学歴がないからといっていやな目にあわないようになるためには、学校に行く人、なかでも『一流大学』に行く人の側が問題にされなければならない。彼らの特権が告発されなければならない。登校拒否児に必要なのは、学校エリートに『理解』してもらうことではない。彼らを打倒することだ(って言ってる僕も『大卒』の側なんですが……)。」


登校拒否は病気だ。登校拒否は暴力を生む。登校拒否はひきこもりにつながる。登校拒否は不自由だ。登校拒否は暗く、汚く、臭い。そして、そのようなものとしての登校拒否を肯定するのだ/肯定できるだろうか、と。」(p145-6)