昨夜放送された 『NHKスペシャル 出生前診断 そのとき夫婦は』 を主人と見た。



一言で正直な感想を言うと、もやっとした。


最終的に中絶を選択したケースは取り上げないあたりに作為を感じてしまった。
私が知りたかったのは奇麗事ではなく本音だ。



もちろん、中絶の選択を誘導する内容であれば、各所から批判の声が相次ぐことは容易に想像が付く。

でも、産んだあとの苦労については大して触れずに『家族の絆が強くなったよ』と放送してしまうのもいかがなものか?

実際に中絶を選択した人が出演を拒む気持ちもよくわかるが、個人を特定できないようにするなどの配慮をして、もう少し番組の内容構成を考えられなかったのか。


偏った情報では公平な判断が出来ない。

私には産んでよかった面だけがクローズアップされすぎているように感じられてしまって、ガッカリした。

産んでよかった人、産んで後悔した人、中絶してよかった人、中絶して後悔した人の4パターンを取り上げて、客観的事実として中絶を選択した割合なども示して欲しかった。


いろいろな大人の事情があるから、出生前診断を話題にする番組の限界なんだろう。



また、番組に日本ダウン症協会の玉井理事長が出演され、新出生前診断について言及していた。

少なくとも番組内での発言を聞く限りでは『マススクリーニングに反対』という立場のようだ。



なお、この番組の再放送は9月20日(木) 午前0時25分~1時23分(19日深夜)だそうだ。

昨夜見れなかったが興味があるという方は見て欲しい。




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松野明美さんが女性週刊誌で新しい出生前診断について言及したそうだ。

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血液検査だけで、ダウン症などの胎児の染色体異常がほぼ確実にわかる!新しい出生前診断が9月以降、日本でも導入されることになった。導入の方針を打ち出した国立成育医療研究センター(東京)の広報担当者はこう話す。

「従来の羊水検査による出生前診断は、実はかなりリスクが高い検査で、実際に生まれてから初めてわが子がダウン症だったと判明することも多かったのです。ところが新しい出生前診断は、妊娠10週程度の早い時期に血液検査だけで精度99%の判別ができる。これは、医療の大きな進歩なのです」

多くの医療者が、「出生前に胎児の診断ができれば、妊婦と事前にカウンセリングができるため医療の幅が広がる」と期待を寄せる。だがその一方で、新たな懸念も広がっている。新しい出生前診断は、妊婦の血液を採るだけという簡単さで、しかも安全に検査ができる。そのため、異常が発見されたときの人工妊娠中絶が大幅に増えるのではないかというのだ。

昨年秋からこの検査を先行実施していたアメリカの検査会社『シーケノム』の関係者は、現地メディアにこう漏らしていたという。「この血液検査による出生前検査を導入した全米の病院では、胎児がダウン症と知った約98%の妊婦が中絶に踏み切っているそうです。最近の調査によってわかりました」

現在、熊本市議会議員を務める元マラソンランナー・松野明美さん(44)も、ダウン症の二男をもつ。松野さんは‘08年、二男のダウン症を公表した。彼女は新しい出生前検査に対しこう警鐘を鳴らす。

「ダウン症は染色体の数が1本多いというだけです。それを胎児のときに判別し、生まれてこないようにしようなんて差別としか思えません。高額な医療費を請求したいという医者がお金もうけをしたいだけなのではないでしょうか」

いくら検査が簡便になったとしても、最後の決断は、妊婦に託される。新検査は、ママたちの新たな迷いも生みそうだ。

女性自身 2554号の芸能ニュース

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私はこの記事を見つけてモヤモヤした気持ちになってしまった。

いやいやいや、おいおいおいおい!
ダウン症をネタに金儲けしてるのはアンタも同じだろう!

マラソンを引退した今、タレントと議員の仕事に加えてこういった雑誌の取材やダウン症関連のテレビ出演や講演会のギャラなどで人より裕福な暮らしをさせてもらってるんじゃないのかね?
あなたが医師に『ダウン症を金儲けのネタにした』なんて言う資格はないんじゃないのかね?
…と思わず突っ込みたくなってしまった。

なお、個人的な考えだが、ダウン症をネタにお金を稼ぐこと自体は私は否定しない。
だって可愛い息子たち(障害児、きょうだい児の両方)が将来不自由しないように財産を残したいものね。
それは、結構だと思う。
施設入所のことなど、お金で解決できたり、ハードルを下げられる問題がたくさんあると思う。

そもそも、松野さんは公式HPでも語っているように当初ダウン症の息子を受け入れられずに隠していた。
それが、自分が受け入れると決めた途端、手のひらを返したように世間がダウン症に対して否定的な見方をすれば過剰反応して噛み付くようになってしまったと感じている。
私には松野さんご自身の経験から得たことが全て正しいと世間に押し付けているように見えるときがある。

世間一般の人は松野さんと同じ経験はしていないから、同じように理解せよというのは無理ではないか?
だって松野さんも最初はダウン症の息子が生まれた後だって否定していたのでしょう?
だったら、世間にダウン症を受け入れる前段階の人がたくさんいることぐらい容易に想像が付かないのかな?

ダウン症を受け入れられる人が増えて欲しいという思いは私も松野さんと一緒なのだと思う。
でも、周りが見えていないというか、強引というか、その思いを伝える方法に違和感を感じてしまって、私は松野さんの発言を見る度にモヤモヤしてすごく残念に思うのだ。


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最近ブログ記事に付いたコメントで、『親とは違うんですね』というものがあった。

おそらく親と同じ心情であって欲しいと期待されていたのだろう。


でも、残念ながらきょうだいは親ではない。

期待はずれで申し訳ないけど、どう頑張ったって親にはなれない。

私はこのブログを読んでくださる親御さんにそれをいちばん理解して欲しいと願っている。



きょうだいは親ではない。

それ以前にきょうだいだって障害児と同じように親から生まれた子どもに過ぎない。

だから親の気持ちはわからない。

もっとはっきり言えば、わかる訳がない。


きょうだいは立場も見方も考え方も親とは全部違う、1人の人間だ。

それをどうか尊重してほしい。



どんな子どもも平等に幸せになる権利がある。

でも、障害児に手がかかるため、当然のように蔑ろにされるきょうだいも中にはいる。


もしそうなってしまったら、きょうだいが自分は親から愛されていないと悩むかもしれない。

きょうだいが我慢を強いられた元凶である障害児を心から愛せるだろうか?助けたいと思えるだろうか?

よく考えてみて欲しい。

それは家族にとって、とても悲しいことだ。



ときに親はきょうだいに最大の理解者になって欲しいと願ってしまう。

親だって辛いときもたくさんあるし、誰かに頼りたい。

障害児を残して先立つのも、きっとすごく不安だと思う。


でも、親の理解者になるかどうかはきょうだいの自由だし、全く同じ考え方はきょうだいにはできない。

それをどうか忘れないでほしい。



民法730条では『直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。』と規定している。

きょうだいは親と違って障害児とは直系血族ではない。


額面どおりに受け取れば、二世帯で同居するきょうだいには障害児の扶養義務が発生する。

でも、きょうだいが家を出てしまえば法的には障害児の扶養義務はないのである。

家を出たあとにどれだけ支援するかはきょうだいの生活環境や気持ち次第なのだ。


きょうだいは親ではない。

私はこのブログを読んでくださる親御さんにそれをいちばん理解して欲しいと願っている。




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知的障害にまつわる悲しいニュース。

ときどきこういった事件が起こるけれど、また起こってしまって残念だ。


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父死亡し食事とれずに死亡か


滑川市の住宅で死亡しているのが見つかった親子と見られる3人について、警察が遺体を解剖して調べた結果、きょうだいと見られる2人が亡くなる前、何も食べていなかったことがわかりました。


長男と長女には障害があったという情報があり、警察は父親の死亡で食事をとれなくなった可能性もあると見て調べています。


3日夜、滑川市北野にある大崎正一さん(78)の住宅で大崎さんと長女の志津子さん(45)、長男の正明さん(40)の親子3人と見られる遺体が見つかりました。3人に外傷はなく、室内が荒らされた様子もないことから警察は事故か病気で死亡した可能性が高いと見ています。


警察で遺体を解剖した結果、大崎さんと正明さんと見られる遺体は死亡して1か月程度、志津子さんと見られる遺体は死亡して1週間から2週間程度だったことがわかりました。


しかし遺体の損傷がひどく、死因や身元については確認できなかったということです。

室内には食料が残っていましたが、きょうだいと見られる2人の胃や腸はほぼからだったということです。
警察によると正明さんには知的障害があり、姉の志津子さんにも同様の障害があったということで、父親の死亡後、食事がとれなくなるなどして亡くなった可能性もあると見て調べています。


NHK ONLINE 富山県のニュース 09月04日 18時57分

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家族だけで障害児の一生に寄り添うには限界があるのかもしれない。
もし、協力できる家族が少ないのなら、家族以外でも協力者を見つけられるよう努力した方がいい。

障害児を育てていく上で、福祉サービスの手を借りることは恥ずかしいことではないと思う。
むしろ積極的に利用することで、今回のような事件は回避できるかもしれない。
また、ご近所付き合いがあれば早期発見に繋がり、最悪の結末は避けられるかもしれない。


私は後から知ったのだが、うちは母が早くに亡くなったため、施設の責任者と知り合いだった近所の方が口添えをしてくれていたそうだ。
『あのお家は大変だと思うから、ご家族が希望されたときには是非入所させてあげて欲しい』
その情報を元に、ダウン症妹が養護学校を卒業してから施設職員さんが定期的に実家を訪問してくださり入所を勧めてくれていた。

最初は父も入所施設は抵抗があった。数年間は断り続けていた。
近隣の通所施設で日中作業を続けるうちに急激退行が見られたため、精神科の治療介入と生活訓練を重点的に行うことを目的に入所を決断した。
本当に運が良かったし、近所の人や施設職員さんに恵まれたのだと思う。


ただ、協力者を得たいと思っても、うまくいかないことも当然ある。

まず、福祉サービスを利用するにはある程度のお金が必要だ。
国や自治体がサポートしてくれる分では足りないことも多いと思う。
しかし、親が年老いて仕事をリタイヤしてからが福祉の手が必要になることが多いのも事実だ。
可能な限り先を見通した資産設計をして来るべき時に備えたい。

また、需要に対して供給が追いついていない現状がある。
障害の重度や家庭環境によって自治体や施設側が入所に優先順位をつけていることもあるだろう。
私がいちばん問題に思うのは、障害が比較的軽度で両親や健常のきょうだいが揃っている家庭だ。
もし福祉サービスを利用したくても、必然的に優先順位が下げられてしまうと懸念している。


1人でも多くの障害者とその家族が充実した人生をまっとうできるよう環境が整備されていくことを願う。


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今回の一連の出生前診断のニュースについて日本産婦人科学会も記者会見を開いたそうだ。


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日本産科婦人科学会(日産婦、小西郁生理事長)は1日、東京都内で記者会見を開き、妊婦の血液で胎児がダウン症かどうかほぼ確実にわかる新型の出生前診断について、遺伝の専門家による検査前後のカウンセリングが必須であるとし、複数の医療機関が今月にも始める臨床研究の結果を「注視していきたい」とする声明を発表した。


一方、これらの検査が広範囲に実施された場合は、人工妊娠中絶の増加など社会に大きな混乱を招く懸念があるとして、「マススクリーニング(広くふるい分けのために行う検査)としての安易な実施は厳に慎むべきだ」とした。


日産婦は記者会見で、小児科や遺伝など関連学会と議論し、検査の指針を作る方針も明らかにした。


2012年9月1日22時17分 読売新聞)

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ああ、なるほどなぁ。

日本ダウン症協会もマススクリーニングは反対ということであれば納得もいく。

協会の本意は個人の出生前診断までも否定しているのか、マススクリーニングの否定なのか?

私が読んだ記事ではよくわからなかったから、世間に波紋を呼んでしまったのかもしれないと感じる。

日本語は難しい。私もてっきり出生前診断は全否定なのだと思い込んでいた。



今回の一連の出生前診断にまつわるニュースでいちばんショックを受けたのは、現在妊娠中かつ羊水検査の存在を知らなかった妊婦だと思っている。

特に羊水検査を受けられる時期を過ぎている妊婦はいたずらに不安を煽られていると想像する。

ニュースを見て『もし自分の子どもがダウン症だったら…』と心配し始めたという声も実際に聞いた。

子どもを作る時点であらゆる可能性を想定しておくものだと思うけれど、中には深く考えていなかった人や『自分たちはきっと大丈夫だろう』と根拠のない自信があった人もいたのかも知れない。


このニュースをきっかけに出生前診断や羊水検査のことをはじめて知った人もたくさんいると思う。

産院で積極的に羊水検査の説明をしないところも多い。(私のかかった産院もそうだった)

希望する人はあらかじめ検査の存在を知っていて、自分から医師に相談しているのだ。



個人的な意見だが、妊婦が安心して納得して子を産めるように、出生前診断のことは広く知られる必要があると思う。

みんなが知った上で、検査を受けることや結果を受けてどうするかを自由に決められるのが理想的だと思っている。

ただ、どちらを選んでも本人の責任であり、第三者は口出ししないというスタンスを取ればいい。



結果、検査を受けて陽性だとわかって堕胎する人も当然いると思うが、案外堕胎は増えないのではないかと想像する。

年齢的に私たちに持てる最後の子どもだからとか、カトリックなどの宗教的な信条からとか、様々な理由で産むと決断をする人も多くいるからだ。


今では育児ブログなどでダウン症育児で奮闘する先輩方の経験談もお手軽に情報が取れる。

そういったものも、迷った人が産む決断をする後押しになると思う。


ただ、一点だけ気になるのが成人後のダウン症の情報が極端に少ないということだ。

子どものころの苦労と大人になってからの苦労は全く別物だ。

若年性認知症、急激退行などの青年期以降の病態についてあまり知られていない気がする。

出生前診断を受ける選択をした妊婦が、より納得のいく判断をするための材料としてダウン症の青年期の情報がもっと広く情報開示されるとよいなぁと感じている。



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