【追記】人生に何が起きるかなんて、誰にもわかりません。

『過去と他人は変えられない。しかし未来と自分は変えられる』エリック・バーン

私たちは都合の悪さを、他人や社会に問題があると考える傾向があります。

それは自分に問題や否があると考えたくないからです。

しかし他人や社会が、あなたの問題を解決してくれるために、そう簡単に変わってくれるでしょうか？

そう考えれば、自分が変わることこそ幸せへの近道なのです。

思わず二度見するほど美しい女性がアルバイトに応募して来ました。

しかし、ただの美人ではありません。

本人は本気で自分は美しくないと思い込んでいたのです。

仕事の時間以外はマスクを外すことがありません。

そしてもう一つ、彼女は心に闇を抱えていました。

お母さんに小さな時から『お前は可愛くないんだからおとなしくしなさい』と躾けられたそうです。

またお父さんはお酒を飲んでは暴力をふるい、仕事帰りに駅の階段から酔っ払って落ちて亡くなったのだといいます。

そのため明るい服装はしませんし、常に下を向いています。

会話も非常にひねくれているため、仲間からすぐに嫌われてしまうのです。

彼女は何回となくこんなことを繰り返しては人生に失望して来たのでしょう。

分かりやすく表現すれば、人とコミュニケーションが苦手なのです。

これではトラブルだらけになるため、普通の仕事は任せられません。

そこで誰よりも2時間早く出社させて、近隣の清掃をさせ、その後在庫の管理をさせることにしたのです。

通りかかる方に明るい挨拶をすることも仕事だからと、毎日笑顔で笑って挨拶する練習をさせました。

元々は美人ですから、練習させれば人を魅了するような笑顔で挨拶できるようになるだろうと考えていたのです。

しかしそれは間違いだとすぐに分かりました。

人に対しての不信感は、表情に出てしまうのです。

いくら練習しても、彼女の笑顔は引きつったままでした。

それでも密接にお客様やスタッフと過ごさないこの仕事を彼女は気に入っていたようです。

ある日、35歳くらいの女性が彼女に声をかけました。

『いつもお掃除ご苦労様。実はこのピアスの片方を落としてしまったんだけど、見かけなかった？』

『・・・すいません、見ていません』

『ごめんなさい、気にしないでね』

彼女はこのことが気になったのか、今日は一日中外で清掃活動させて欲しいと言って来ました。

スタッフの人数に問題はありませんでしたが理由を聞くと、

『女の人がピアスを落としたらしいので、清掃しながら探させてください。お願いします』と言うのです。

それならば、今日は特別だからと彼女の申し出を認めました。

彼女は夕方を過ぎても清掃を続けていましたが、もう日が沈むという時間になってからもどって来たのです。

『見つけました、ありました！』

彼女は顔を真っ赤にして、とても嬉しそうに言いました。

翌朝、いつものように清掃しながら昨日の女性が通るのを待ち、無事に片方のピアスを返すことができたのです。

『探してくれてありがとう！もうあきらめてたの。亡くなったお母さんからのプレゼントだったから、あきらめきれなくて、本当にありがとう』

そんな出来事があって、その女性からお礼の手紙が店に届きました。

店長はスタッフを集めて、彼女のしたことと、感謝の手紙を読み上げたのです。

それから彼女の笑顔は明るくなっていきました。

もとから彼女は美人なので、その明るい笑顔で挨拶されると通りかかる人は皆良い気持ちになります。

スタッフとも距離感が縮んだようで、以前のようなミスコミュニケーションは減って行きました。

しばらくして彼女は自分から接客の仕事を希望したのです。

そして店内での仕事も見違えるように生き生きとして働き、その接客もとても人気となりました。

ある日カウンターに品の良い老婦人がやって来て、この店の責任者に会いたいといいます。

驚いたことに、彼女を息子の嫁に欲しいということで、お見合いをすることになりました。

あれよあれよと言う間に彼女は結婚することとなり、寿退社となったのです。

新婚旅行は豪華客船による世界一周というから驚き以外の何ものでもありません。

今では大手企業の社長夫人となっています。

人生は何が起きるか分かりません。

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