ちょっと久しぶりに泣きながら目を覚ましたな。
本音をね。こちらで少しだけ書こうかな。
気持ちに整理をつけようと。
別で非公開で書いてる独り言、日記のようなもの。
それは通院履歴、カウンセラーとの話、服薬のメモ、悪夢とか、あと吐き出しの場。
書ける範囲でしか書きませんけど。
泣き言です。









帰ってきて、寝て見た夢。

5年生と6年生で夏にキャンプに行った。
5年生は、ようやく普通に通えるようになった頃だった。
カレーに入れる野菜を切っていた。
「これ、もう少し小さく切ったほうがいいかな?」
隣の人に聞く。
その子は嘲るような口調で私の声を真似てオウム返しをする。
私の声は高くて、よくからかわれた。
ムッとしたけど気にしないフリをして、適当と思う大きさに切っていく。
気にしないんだ。気にしないもん…。
呪文のように自分に言い聞かせる。

黙ってても周りを見て動く。
出来ることは手伝う。
私はいつも人の目や様子に気を配っていた。
それは、嫌われるのが怖かったからだ。
父の目に怯えていた名残だ。
迎合はしなかったけど、自信がなかった。
「私、一緒に運ぶ…」
「うん、お願い」
出来上がったカレー鍋を、二人で班のみんなのところへ運ぶ。
途中、6年生が近づいてくる。
口を出すばかりでほとんど何もしてなかった人だ。
通り過ぎたあと、後ろから足を引っ掛けられ、私はバランスを崩す。
転びながら、零れた中身で左腕に軽く火傷をする。
先生に言われるまま水道の流水で冷やし続け、保険医さんの応急措置を終えてから班のところに戻った。
カレーは他の班から分けてもらっていたようだった。
みんな私を一瞥して黙りこむ。
一緒に鍋を運んでいた人だけが「大丈夫?」と声をかけてくれたけど、返事をする余裕が私にはなかった。
言うんだ。思いきって言うんだ。
私は、その6年生に噛みつく。
「足、引っ掛けたでしょ、ふざけないでよ。」
その人は、ふざけないでよ~♪と高い声を冷やかすように言う。
「お前が勝手に転んだんだろ?人のせいにするなよな。」
その人といつも一緒にいた男子に言われる。
お前のぶん、と言われて渡された食器には、カレーの代わりに変な虫が蠢いていた。
役割を他の人に押し付けて、こんなものを採っていたのか…
黙ってれば調子に乗りやがって!
私はその6年生男子に飛びかかって、気付いたら泣きながら担任に羽交い締めにされていた。



夏休みに花火を見に行った。
私は6年生で、従姉妹のお姉ちゃんは中学2年生だった。
大好きなお姉ちゃんとお揃いの浴衣が嬉しかった。
二人だけで行くのを父は心配していたけど、私はお姉ちゃんと一緒にいるから平気と信じきっていた。
当時、私は父より彼女を信頼していて、二人だけで行きたがった。
向かう途中、男子がお姉ちゃんに声をかけてきた。
言葉少なげに返すお姉ちゃんの言葉と雰囲気から、同級生らしいことがわかった。
その男子は、浴衣姿がいいね、というようなことを言っていた。
下卑た様子で。
イヤな人…早く行こう?
と思ってお姉ちゃんを見ると、無表情で固まっていた。
こんなお姉ちゃんは初めて見る、おかしい。
学校でもお姉ちゃんをイヤらしい言い方でからかっているのかもしれない…
様子がおかしいお姉ちゃんに不安を感じながら、お姉ちゃんを苛めた人に対して怒りがこみ上げる。
許さない。ゆるさない。私のお姉ちゃんを、よくも…
私はその人を蹴る。下駄を脱いで手に持って殴りかかる。
あっちいけー!バカー!
相手は苦笑いを浮かべていたけど、私は必死だった。
逃げるのを見届けて、安心してお姉ちゃんを見ると、まだ固まっていた。
お姉ちゃん…どうしちゃったの…
私は悲しくて、怖くなって、泣きながらお姉ちゃんに抱きついて揺さぶり続けた。
「…雪ちゃん」
お姉ちゃん!
お姉ちゃんが遠いところへ行っちゃったみたいで怖かったよ…
そう訴えると、ごめんね、大丈夫だよと言って私の浴衣の乱れを直してくれた。
そのあとのお姉ちゃんはいつものお姉ちゃんだったけど、言い様のない不安は拭いきれなかった。
目が虚で、冷たい無表情で、本当に怖かったんだ…
綺麗な花火を見ながらも、私は時折、お姉ちゃんの横顔を盗み見ていた。
お姉ちゃんは私に言ってくれた。
居場所は自分で作るの。負けないで。私がついてるから。
でも、お姉ちゃんも、自分の居場所に不安を感じているのかもしれない…
彼女の弱さを垣間 見たような気がした。



目を覚ます。
頬が涙で濡れていた。
まだ、こんな昔の夢を見るのかと思って、やるせない気持ちになった。
でも悪夢としてはかなりマシなほうだ。
未遂のフラバ、解離した幼児の私を意識しながら憎い人を刃物で殺めたりするのに比べれば。
去年 入院したときに比べれば、症状はかなりよくなったんだ。
離脱症状も辛かったけど、薬に依存することも克服できたつもりだ。
アルコールに依存しがちだけど。


注意して歩いていたから、今でも自分で転んだとは思っていない。
他愛ない嫌がらせだけど、それまでは拒否の意思表示をまったくできなかった。
あれは私の初めての、拒否の意思の発露だったんだ。
社会人になっても幼稚な嫌がらせはあることを聞く。
人間って、歳だけ重ねてもあまり成長しない生き物なのかもしれないね。
幼い頃、戦争や殺人のニュースを見る度に、大人なのに…っていつも思っていたことを思い出す。

お姉ちゃんが無表情で固まった理由は、今はわかる。
そのときわからなかった男子の卑猥な言葉の意味もわかる。
そうした言葉や態度が、いま思えばどれだけ彼女を傷つけていたことか…
あのときは、そんなことを窺い知ることはできなかった。
私は幼くて無力だった。
尤も、いま彼女が生きていてくれたとしても、私の洞察力では彼女の傷みに気付けないのかもしれない。
一緒に暮らしていた彼女の姉でさえ、気づけなかったのだから。
私を外の世界に連れ出してくれたお姉ちゃんは、
本当に手の届かないところへ行ってしまった




学校と私

私は幼い頃、その悪癖から書庫に閉じこめられた。
小学校入学初日から高い声を先生に冷やかされ、直ぐに不登校になった。
人が怖かった。
何も言い返せなかった私は外で遊んでもよく男子に苛められて泣いてばかりいた。
書庫にある本とお人形とぬいぐるみが私の友達だった。
滅多に口を開かず自閉的な私の心を開いてくれたのは従姉妹だった。
優しくて、頭が良くて、彼女みたいになりたいと思った。
私の憧れで、自慢のお姉ちゃんだった。
いつも学校まで一緒に行ってくれた。
彼女のお陰で普通に学校に通えるようになった。
男子は乱暴で単純で、バカとしか思えなかった。
女子は陰湿で、陰口や妬みが煩わしいと思った。
いつも本を読んでばかりいたけど、自信がなくて人の顔色を伺っていた。
でも勉強を頑張って結果を出せば、本音でどう思っていようが表の声は黙らせることができた。
お姉ちゃんに勉強を教わり、微積分も中三で学んだ。
私は泥臭く努力するしかなかったけど、従姉妹の知能は明らかに高かったと思う。
結果を出すと、男子は単純に一目置くようになり、高い声を冷やかされることも少なくなった。
女子はすりよってくるか無関心を装う人が多かったように思う。
普通に接してくれる人もいて、大切な友達もできた。
あきらも みゆも 文化祭に来てくれた。
慕ってくれる中等部の書道部の後輩は、可愛かったな。
本当に色んなこと、死のうとまでしたこともあったけど、振り返ってみれば、学校という場所はそれなりに楽しかった。
学校なんて行かないと かつては泣いてたけど、お姉ちゃんだけじゃない、友達にも、大人にも、私は助けられた。
見えるかたちで。見えないかたちで。
学校はきっと、勉強をする場所じゃなくて、友達をつくる場所なんだと思う。
人と、上手くやっていく術を学ぶ場所。
できれば中学生に戻りたいな。
高校いくのも迷ったけど、ネットで私を見つけてくれた優しい人たちに助けられた。
あの頃、私に声をかけてくれた人たちの優しさは忘れられない。
合格して制服が届いたときには、抱きしめて泣いた。
あのときの歓びは忘れられない。
私はね、お姉ちゃんとおなじ高校生になったんだよ、お姉ちゃん

今日、私は退学手続きをした。


高認を取っていても、例え無意味に思えても通い続けること、卒業するという結果を残すことが大事と思っていた。
でも、付き合っていた人の夢への想いに劣等感を持って、ピアノの師匠に嫉妬して、彼女を諦めたんだ。
私が私であることに、気づかなくちゃね。
彼女とひとつには、なれないよ。
プロからの課題で寝不足で、いつも保健室通いならやめたほうがいいと思った。

学校をやめても、あの人との繋がりが切れるわけじゃない。
いつだって会おうと思えば会える。
例え、彼女が男と結ばれても、彼女が幸せなら祝福できるようでありたい。
無理かな…嫉妬深いしね…
でも今日だってさっき、彼女が会いに来てくれた。
別れてから初めてだ。
嬉しくて泣いちゃった
約束したの
毎年ね、この月の最初の日曜にあの丘で会うんだ。
私の大切なお友達。大好きだった人。



私が好きだった人、私が嫌いだった人、私を慕ってくれた人、私を嫌いだった人
でもね、いまはみんな、みんなの夢がかなえばいいと思うの
心から思う
ありがとう
きっと、またあの丘であえるよね

それまで、ごきげんよう♪