昨日、県外で少し時間があったので、
久しぶりに映画を観ることにした。
映画館で映画を観るのは、久しぶり。
「ぴあ」買って、「どの映画観よう?」なんて悩むのは、久々の幸せ
映画館過疎化の鳥取に住んでいると、
大きな映画館や個性的なミニシアターに行くことが、県外での醍醐味になってしまう。
というドキュメンタリー映画を観た。
彼女は、商業的にも芸術的にも成功した、希少なタイプの女性写真家だ。
誰もが必ずどこかで1度は目にしたことのある、有名な写真をたくさん撮っている。
ローリングストーン誌の表紙を長く手がけて、
その才能を認められて、ドキュメンタリーからファッションまでこなし、
世界中を駆け回りながら、50歳を越えて3人の子育てを始めている。
超人にして、ロックな女性だ。
いつか彼女の作品を写真集か何かでまとめて観たことはあったけど、
作品の生まれるプロセスを映像で見たのはもちろん初めてで、
貴重な体験だった。
パワフルであたたかくて、厳しくて一途な仕事ぶりだ。
「彼女はいつでも必死よ」 と、関係者が言っていた。
「被写体のことを何日も前からリサーチして、入念に準備をして臨むから、
撮影はほんの数十分で終わってしまう。」 と。
自分の才能を育てるのは他でもない、本人の必死さなんだろうな、 と思う。
彼女のコメントの中で、印象に残ったのはこんな一言だ。
ダンサーの動きを美しく捉えた作品で有名な、ある写真家に影響を受けて、
リーボヴィッツがダンスの写真に没頭していた時期がある。
長い間ダンサーたちの生活に密着し、彼女なりのダンス写真を数多く撮影した。
その結果、ダンスのほんとうの美しさを瞬間では切り取れないと、彼女は思った。
「それが分かって、とてもすがすがしかったわ」
そんな意味のことを彼女は言っていたと思う。
「すがすがしかった」、 なかなか言えない言葉だ…
とことんやり切った人じゃないと、言えない言葉だ。
ハリウッドスターやミュージシャン、政治家やアーティスト、
セレブたちの華やかさの裏側の、真実めいた肖像を彼女が写せるのは、
被写体の人生と、自分の人生をクロスできる
好奇心と愛情と忍耐があるからなんだと思う。
それは写真家に限らず、表現者であればだれにでも必要なことだけれど、
彼女の場合は特にパワフルで、積極的だ。
作品の生まれるプロセスと、作家の生き方を垣間見れて、良かった。
作品の見方がまた少し、変わった気がする。
Annie Leibovitz