■旅館の買収は善か?悪か?道後温泉に思う… | ■山形・米沢・小野川温泉から 登府屋旅館 遠藤直人のブログ

■山形・米沢・小野川温泉から 登府屋旅館 遠藤直人のブログ

車いすでの旅行って、不安がいっぱいです。もしも、山形や米沢に旅行に行くなら、どうすればいいの?車いす旅行アドバイザー・遠藤直人がお伝えしますよ。小野川温泉 鈴の宿 登府屋旅館より。

偉い人に怒られそう…。^^;

車いすでもラクラク安心な宿を目指してます!
遠藤直人
 @Naaot です。

別に怒られる筋合いもないですが…
特定の宿や企業に対する記事ではなく、あくまで個人的意見と前置きを述べたうえで書きはじめます。

このニュースを拝見しました。


道後温泉、地元組合が新ホテルの湯利用を拒否 リゾート開発は観光地にとって本当に脅威か?


道後温泉のケースは、そちらの事情があるからよくわかりませんが、一般的に今、旅館業界は、買収が進みやすい構造になっています。

数十年前までは、「旅館なんて面倒くさそうな業態を買収しても誰もやらないよ!」というムードがありましたが、最近では、「意外とやり方次第でいけるんじゃない?」と、買収が増えています。

この話になると、買収は、善か?悪か?になりがち。

昔からやってきた「はえぬき」の宿をないがしろにして、いわゆる「外資」がやりたい放題して、温泉街を食い物にする…。
といわれることもあれば

買い取らなければ、温泉街に幽霊旅館が増えるわけで、街のにぎわいを失わないためにも買い取ってもらったほうがいいでしょ。
といわれることもあります。

どちらも一理あると思います。

実際、旅館業界には、
「経営と所有の分離が必要なのでは?」
と提言している方々もいらっしゃいます。

要は、同族経営ではなく、外部のプロ経営者を招き、家族は地主になるのがよろしい、というお話です。

これを唱えているのは、旅館業界のコンサルタントではなく、
なんと、観光庁です。

行政としても、そう見ている。
そう白書に書いてあります。
そこには、納得せざるを得ない部分もあります。

なので、あえて、私はどちらが正しいとは言いません。


ひとつだけ言いたいのは、
どのタイミングでその買収の良し悪しを判断するか?


たいてい、
「旅館が1軒つぶれました」
「どうする?どうする?」
「あの会社が買い取るらしい…」
「それって、どうなの?いいの?悪いの?」
というタイミングで判断しがちです。

私は、その時点では判断できないと思います。

その企業の買収が本当に良かったのかを判断するタイミング…
それは、
設備の更新が必要になったときでしょう。

旅館は、設備産業です。

最初に大規模に設備にお金をかけて、
徐々に売上で回収しながら、
またいつか設備を直さなければなりません。

設備を直さなければならないとき、
ぶっちゃけていえば、
宿がボロボロになったとき、はたしてその会社は、どう対応するのか?

そこが判断の分かれ目でしょう。

ありがちな買収は、
「なんかつぶれた旅館が格安で売り出されているよ。
これなら、ちょっと手直しして、今までの半分の値段で泊まってもらえば、稼働率40%でも、たった〇年でモトとれるね。」
という発想。

安く買って、お金をかけずに、安く売る。

そんな会社が、設備更新のタイミングになったらどうするか?
設備に再投資するためのお金などありませんので、おそらく撤退するでしょう。

「温泉街に幽霊旅館ができるよりいいでしょ!」
と買収したはずが、結局、数年後には幽霊旅館になってしまうという…。

「慈善事業じゃないんだから、買収した金額は回収できたし、ビジネスとはこういうもんです!」
まさに、ビジネスライク。

それが透けて見えるから、温泉街の人々は反対するんじゃないでしょうか?

買収してから安売りに走る企業は、たいてい自社の利益のみしか考えていませんから。

それに対して、その設備更新のタイミングに全面新築で旅館を建てなおしたり、旅館じゃなくても温泉街のプラスになるような業態転換をしたりできる会社なら、ぜひぜひ買い取ってほしいと思います。

なんで、そこで温泉街のために?
自社のビジネスなのに?
と思われるかもしれません。

お前は、本当に資本主義社会の人間かと…。
いささか赤すぎやしないと…。

でも、温泉街って、そういうもんです。

その会社が、「〇〇温泉」と名乗ってそれを使って商売するからにはね。
その「〇〇温泉」は、先人が何年もかけて築き上げてきたものだからです。

「〇〇温泉」を名乗って、商売するのなら、「〇〇温泉」のメンバーとして、ときには温泉街のリーダーになる覚悟すら持ったうえで買収してほしい。実際にリーダーになるかどうかはともかく、覚悟です。

そうでないなら、
「〇〇温泉」の源泉や名前を使わせてくれ!
なんて軽々しく言わないでほしい、とすら思います。

「〇〇温泉」を名乗っている人たちは、
「〇〇温泉」のことを自分の子どものように大切にしています

その感覚、理解できないとしても、理解しようとしないといつまでたっても平行線です。お互いのためになりません。お客様のためにもなりません。

念のため、繰り返しておきますが、特定の宿や企業へのメッセージではありません。
今後、明らかに増えていくであろう旅館の買収と、賛否両論へ一石を投じたいと思ったしだいです。

「外資」の買収で衰退するかもしれませんが
「はえぬき」だけでも衰退するかもしれません。

現につぶれる旅館がでているということは、はえぬきの限界なのかもしれません。今後、混在していくからこそ、ちゃんと理解しあわないといけないと思います。

旅館業は、もしかしたら、「温泉街業」なのかもしれない…
そう思えば、お互い着地点も見えてくるのかな。

「じゃあ、どうやって温泉街を盛り上げんのよ?」
っていう方は、小野川温泉や、米沢八湯のいろんな取り組みをご紹介しますよ。

結局は、みんなで盛り上がるのが一番です。^^


「大丈夫!最後はお客様が決めてくださいます。^^」

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藤村先生

米沢への道