RAINBOW STORY - 58 Two beelzebubs | Another やまっつぁん小説

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 ぽよの言葉に私の思考はいったん停止した後しばらくして動き始めた。
 レ、レイさんが死神でフェザー君が天使!


 え、どういうこと?
 二人はすでにこの世の人ではないみたいな。
 天界と地獄の人みたいな。
 う、理解できない。


 でも確かにレイさんやフェザーにはさっき羽のようなものが背中にあった。
 もしかしてあれがぽよの言う死神、天使の証なんだろうか?


「え・・・・ええええっと、それってレイさんとフェザーはこ、こここの世の人では、な、ないみたいな感じでしょうか?」
 フラウが急にぽよと距離をとった。
 肩を抱きいやいやと首を振っている。
 ・・・フラウの苦手なもの、お化け、なのかな?


「まま、ゆっくり聞いていたまえよ。ほら、君たちも見ただろ?レイさんには骨のような、フェザー君にはピンクの光の結晶のような羽が生えていたのを。その羽こそが天使と死神の一番の証。どちらがどちらかは見ればわかる・・・よね。そして両者はこの世界に害をなすものを排除するものさ。」


 やはり私の考えは正しかったようであの羽のようなものはそれぞれの証のようだ。
 今思ったけれど、レイさんのものは形は羽だけれど、骨しかないから飛べないんじゃなかろうか。
 その辺どうなんだろう?
 まぁ、今気にするべきはそんなことじゃないだろうけどさ。


「そして死神は消す者。天使は生む者さ。」
「“うむモノ”?」
 邪魔するものは消すみたいなスタンスはわかるが、生むとはいったいどういうことだろうか。
 生むって何を?って話だ。


「あぁ、ほらこういう話があるじゃないか。村を襲う悪いドラゴンがいるんじゃが、あいつは並大抵の剣で歯がたたぬのじゃ。だから村のはずれにある塔の天辺にある聖剣を使うとよかろう。あれならば必ずやドラゴンの息の根を止めることができるはずじゃ・・・。みたいなクエスト。その聖剣を作り出すのが天使だよ。」
 ・・・なんかよくわかんないたとえだけどよく理解できた。
 あの手の類の誰が作ったかわからない聖なる道具はその天使さんとやらが作っているというわけか。
 このたとえには多少頭がよろしくないフレアにも十分に理解できたようである。


「それで、死神と天使って言うのは種族みたいなもので、羽を出して死神モード、天使モードに入っているとき意外はいたって普通の人だよ。普通にこの世の人さ。」
 するとフラウがようやく安心したのかこわごわ近寄ってきた。


「ちなみにこの2種類の人には力が強いものと弱いものがいてね。強い天使から生まれた子でもほとんど力を持たないような天使が生まれることもあるんだ。あ、彼らは普通に結婚とかもできるからね。中には自分の力について知っていながらも、平和だからほとんど力を使ったことはないって人もいるんだ。」


 ふ~ん。
 それじゃレイさんやフェザーはどうなんだろう?
 狙われたくらいだからやっぱり相当強い力を持ってるのかな?
 というかフェザー君はともかくレイさんは自分の力について知っていたんだろうか?
 あの人は多くを語らない人だけどそういうところも聞けたら聞いてみようかな。


「で、最初の話によると死神と天使というのは言い方は悪いがお前の手下のような存在じゃないのか?」
 初めてブラストさんが口を開いた。
 さっきからずっとなにやら考え込んでいる。
 私は考えなくていいことは考えたくないたちだからね。
 思ったことだけ口に出して考えることは今は他人任せにしておこっかな。


「う~ん、それがね、今までひっそりと生きていた死神と天使の両種族なんだけど、どこかで彼らの存在と力の情報が漏れちゃったらしくてね。大国とかがこぞって彼らをとっ捕まえて戦争の道具にしちゃったんだよ。で!それが500年くらい前の話でさ~。結構最近なんだよね~。」
 500年を最近とは言いません!!


「もしかして天死戦争?!」
 ブラストさんが大きな声を出した。
 何だそれ?
 第何次かの世界大戦みたいな感じだろうか。


「そそ、確か人の間ではそう呼ばれてたね。今世界は少し落ち着いているけど。まだいつ戦争がおっぱじまるかわかったもんじゃないんだよ、実は!!人間たちは何か怪しげな実験してるとこもあるし、頼みの綱だった死神と天使はばっらばらになっちゃうし、魔王も復活してるし!!」


「魔王?!」
 何だそれは!!!
 全員が叫んだ。
 こいつは今何をさらりと言ってのけたんだ?


「あー、さっきのやつらだよ。」
「さっきのぉ?!」
「わかんなかった?」
「わかんなかった!!」


 またも全員シャウトした。
 さっきのってあのなんか屋上にいた3人組?
 片目が隠れてた人?
 それともゴスロリの方?
 いや、魔“王”って言うんだから男か。
 でも二人いたよね、似たよーな妙に子供っぽい人が。


「あの男二人が魔王なんだよ!君たちも自分と比べ物にならないような魔力を感じただろう?」
「ね、ねぇ、魔王っていったって、二人いたし、子供っぽかったし、あっさり帰って行ったし・・・。魔王違いなんじゃ・・・。」


「そんなの封印されてたに決まってるでしょ!」
「決まってねぇよ!」
 またそろってぽよに私たちは詰め寄った。
 ぽよはたじろぎながらも話を続ける。


「あれはね、きっと昔魔王になされた封印がまだほとんど解けてないんだよ。そこを無理やり出てきたから身体も精神も全部不安定なんだ。」
「そ、それでその封印っていうのはどういう風にしてあるんだ?」
 今度はフレアが口を開いた。


 確かに封印については聞いておきたい。
 すぐに解けるようなものじゃないとは思うけど古いものならもうがたが来てるかも。


「・・・封印。それは、僕ら自身さ。」