RAINBOW STORY - 9 A suspicious-looking man - | Another やまっつぁん小説

Another やまっつぁん小説

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 しばらく走ると急に開けたところに出て、大きな湖が姿を現した。
 そこらの土が掘り返されているところを見ると、ここらに生えていた木が俺たちを狙っていたみたいだ。


 おっ!そんなことが分かるなんて!オレすげー冴えてる!オレ今賢い!


「誰か・・・いるぞ!」
 テンション高いオレとは反対に、冷静なブラストは声が低い(ちなみにブラストの声が低くなるのは怒っているときか警戒しているときだ)。


 近づくと湖のほとりにある切り株に男が一人座っているのが見える。
「あの人!あの人!あの人が木たちを操ってたんだよ!」
 ソウが男を指差す。


 すると俺たちに気づいたのか男はおもむろに左手を上げた。
 左手はぼんやりと紫色に光っている。
 何をする気だ?


 男の表情は前髪に隠れて見えない。
 オレとブラストは武器を構え、リリスも杖を構えている。


 そして男はスッと人差し指を立て、くるりと回した。
 ・・・あれ?何も起きない?


 ふわりと風が吹き、男の前髪が揺れる。
 ・・・一瞬目が見えた。


 細い少し眠たげな眼だ。
 そして目の下にはDEATHという異国の文字。
 どういう意味なのか俺にはさっぱり分からない。


「あ・・・。木が・・・元に戻った!」
 ソウがそう言った(あ、今のダジャレっぽい)。
 ってことは今指を回したのは木にかけた魔法を解いたってことなのか?
 一体こいつは何が目的なのかさっぱりわからねえ!!


 そんなことを考えていると男がスッと立ち上がった。
「ようやく会えたね。キミ達。わざわざ迎えにまで行ったのに、ちょうどいないんだからさ。」
 そして男は不適に笑った。

 迎え・・・?ってことは村に来たってことか?
 ・・・どういう・・・?・・・まさか!!


「なかなか言うこと聞いてくれなかったからさ。僕のトモダチがちょっと手荒く・・・。」
 オレはもう我慢できなかった。


「てめぇが村をっ!!」
 オレは男に向かって思いっきり剣を振り下ろした。


「フレアっ!!」
 リリスが叫ぶ。


 硬いものと硬いものがぶつかり合う大きな音が響いた。
 剣から腕に衝撃が伝わる。
 だがこれくらいで負けるオレじゃねえ!


 バカだけど、戦うことに関しては別だ!バカだけどな!(大事なことなので二度言いました)


 だいたい予想はついていた。
 木をあれだけの数操るとなると、相当強い魔力を持っているってことだ。
 ってことは攻撃を防ぐバリアくらい楽々張れるだろう。


 目に見えない壁がオレを邪魔している。
「ふぅ、いきなり手荒いことするのはやめてくれないかなぁ?」
 男はニヤニヤと笑う。
 まるで子どもみたいな表情だ。


「オメーに言われたかねーよっ!!」
 俺はそう怒鳴ると、後ろにジャンプし剣を構えたまま距離をとった。


「オメーは一体何者なんだ!何が目的だ?!」
 とりあえずそう聞いた。


「ふつー村の人のことを最初に聞くだろ。」
 後ろでボソッとブラストが何か言ったような気がするけど、オレ知ーらね。


「ん~?ボクはねぇ。そうだな~、何者か聞かれても僕には名前がないんだよねぇ~。」
 名前が・・・ない?どういうことだ?


「んんん。ま、デス君(仮)でお願いするよ。」
 かっこ仮って!デス君って!!


 さっきまでのちょっぴりシリアスなムードはどこへやら・・・。