夫と付き合ってもう人生の半分。

憎たらしいヤツで、最初は嫌いだった。

今考えれば好きな子に嫌がらせしてる

小学生レベルの男子だったのかな?

なんやかんやと言い合いながらも

朝は一駅手前、帰りは一駅向こうまで一緒に歩いた。
乗り継ぎの駅の周りをぐるぐると何周も歩いた。


彼は大学生になり、私は短大を卒業して一足先に社会人に。

時間や考え方、金銭感覚のズレ。

そんな頃彼は年下の女の子といいカンジに。

夜、家電で(ポケベル世代)相変わらず言い合いになり、
向こうにキャッチが入って…
かなり待たされ、これは女だと気づいて、、、

電話を切り、掛け直してコールしまくり叫び

電話切ってよ、なんでそんな電話に出るの、とキレまくり泣きまくりプンプン

『向うはそんな風に泣いていない』


キーっ、当たり前じゃん!

いい顔して略奪しようとしてるんだよ!!
ガチャっと電話を切られ、それから電話は出てくれなかった。

それから数日考えて、もうこんな醜い付き合い方はイヤダな、

ケンカしてばかりで楽しくない。

仲良く出来るなら、友達でもいっか?

本当に好きだから、彼を自由にしてあげたくなった。


社会人になってから教わったこと、注意を受けたことを

手帳に書くのを習慣としていた私。

『◯◯を幸せにすること、それが私の幸せです』
手帳に書いた。


仕事帰り、気分転換に

いつもと違う道順から乗換えをしようと歩いた。

そこに彼が座っていた。

びっくりして、なんで?!

『謝ろうと思って、待ってた。やっぱお前がいいわしっぽフリフリ

ゲラゲラ笑った。

いつもの帰り道だと会えてなかった。

その時心の中では、この人と結婚しようと思った。



それから約10年後、私は心肺停止で倒れた。


意識もなかった私に、

夫は『元気になって帰ろう』と声を掛けた、

私は涙を一筋流してうなずいたそうだ。


その後私は28日間の悪夢の世界へ。

(それはICUシンドロームというものだったと後日夫が教えてくれた)

うっすらと、夫がずっとずっと

いろんな言葉を掛けてくれてた事を覚えている。


『俺を幸せにしてくれるんやろ?お前が居ないと幸せにはなられへん。』


夫は、私が倒れたので、健康保険証やら探していると

私の黄色の手帳を見つけたらしい。

その頃は体調の気になることを記入するのに使っていた。

『息切れがする』『胸が痛い』『疲れる』…

夫はなんで気づいてやれなかったのかと

ものすごく悔しかったと言っていた。


手帳には社会人になりたてだった頃のメモのページが残っていて、

その一文を発見したらしい。


あの夫の声が、私を夢から覚ましてくれたんだと思う。