麻生政権の功罪~財政出動だけでなく金融緩和もやってたら、麻生総理は英雄になってた~ | 明日へのミチシルベ

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民主党政権誕生後、鳩山政権、菅政権、野田政権と3代続けて、無能な政権が続いているが、日本にとって不幸中の幸いであったことは、この3つの政権が誕生する前にリーマン・ショックが発生していたことだ。


もし、3つの政権のいずれかの時期にリーマン・ショックが起きていれば、与党としての能力の欠如、政策能力の欠如によって日本はリーマンショックによって実際に経験した以上のダメージを負っていたかもしれない。


とは言え、野田佳彦というダークサイドに堕ちた大義なき無能首相が政権を担当している現在において「欧州危機」が世界的ショックとなる可能性が存在していることは、憂慮すべき事態だが。


さて、リーマンショック前から日銀の無策により日本は不況の道を歩んでいたが、そこへ、そのショックが来たんだから、日本がアメリカよりも低いマイナス成長であったことは納得できることだ。


当初、日本の成長率はマイナス10%以上になることが想定されていたが、当時の麻生政権の財政出動によってマイナス6%程度にダメージは和らげられた(それでもキツイ数値だが)。


麻生政権が行なった財政出動は、日本経済を下支えしたことについては評価できることだろう。


しかし、裏を返せば、その程度のことしかやらなかったことが、麻生政権の「」と言えることだろう。


麻生政権の行なったことは公共事業、減税、補助金などだが、これらは、高い乗数効果が発生しなければ、経済的な「無駄」となるものだ。まあ無駄であったとしても、それが人命を救うのなら、何もしないよりはマシではあるが。特にエコカー補助金などは無駄になりやすい。


経済的な「無駄」が、もたらすものは巨額の政府債務の蓄積だ。その巨額の債務の蓄積が、人々に将来の増税を予想させ(当時麻生政権自身も景気回復後に消費増税することを明言していた)、期待された経済効果よりもその効果を押し下げた可能性もある。


ただ、高い乗数効果さえ出せば、個々の財政政策は「無駄」とはならないのだ。


では、どうすれば、高い乗数効果が出せるのか?


日本は変動相場制移行後、財政出動の乗数効果が固定相場制の頃に比べ半減した。これは、マンデルフレミング効果やリカードの等価定理のどちらか又は両方が働いてるからだ(どちらが働いているかを正確に特定することは困難)。


経済学では一般的に固定相場制では財政政策が効果的で、変動相場制では金融政策が効果的であるとしている。


ただ、財政政策が効果を高く発揮する条件は固定相場制でも変動相場制でも同じである。それは財政政策と同時に金融緩和が行われることだ。


固定相場制のもとでは、景気刺激のために財政政策を行えば、自国通貨への上昇圧力が働く。固定相場制の国は為替レートを固定しなければならない。為替レートを固定するためには、資本移動を統制するか、金融緩和を実行する。ただ、資本移動の統制は長期的には困難であるので、必然的に金融緩和を実行せざるを得なくなる。それによって為替レートが固定され、マンデルフレミング効果などが働かなくなるのだ。


変動相場制へ移行後は、財政政策の実行ために、金融政策が必然的に実行されるとは限らない。これが乗数効果の低下をもたらす。

だから、乗数効果の低下を防止するためには、財政出動と同時に金融緩和を行えばいい。


金融緩和によって、日銀によって国債が買い取られるので、円高が抑制され、政府はその分の利払い・償還から解放され、国民が増税期待を抱くこともない。


リーマンショック直後に麻生政権が財政出動だけでなく。金融緩和も積極的に行なっていれば、日本はリーマンショックのダメージを和らげるだけでなく、デフレからも脱却できていただろう。それによって持続的な成長路線へも回帰できたはずである。


景気を下支えした事とデフレから脱却のチャンスを逃したことは、麻生政権の功罪であるだろう。


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