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中国政府がハイブリッド車(HV)に購入補助金を出す検討に入った。割高な価格がHV販売のネックになっていた日本勢には追い風だ。
トヨタ自動車(7203)は2015年をめどにHVの基幹部品、ホンダ(7267)が16年からHV車両の現地生産を計画しており、現地シフトによるコスト削減に今回の補助金が加わる。世界最大市場で欧米勢とのエコカー販売競争が激しくなりそうだ。
トヨタは江蘇省常熟市に設けた「トヨタ自動車研究開発センター(中国)」で、インバーターや電子制御装置(ECU)などHV用の基幹部品を開発する。これらを現地の生産拠点で量産し、15年前後の発売をめざすHVに搭載する。
従来は基幹部品を日本から持ち込んで組み立てるノックダウン方式で、「プリウス」やセダン「カムリ」のHVを生産してきた。
だが輸入部品の採用比率が高いうえ、輸入関税もかかり、販売価格を押し上げていた。プリウスの現地価格は22万9800元(約380万円)からと高級車並みだ。
13年のHVの販売実績はカムリなども合わせて2万7千台。「価格が引き下げられず販売の障壁となった」(幹部)影響で、中国販売全体の5%に満たない。トヨタは生産の一段の現地シフトでコスト引き下げと輸入関税の回避を狙う。
ホンダは16年をめどにHVの中国生産を始める。現在日本で販売する「フィット」に搭載している小型車向けHVシステムと、「アコード」に使っている中型車向けHVシステムの双方を持ち込み、将来は複数車種を現地生産で展開する。日本で完成させたHVを輸出していたホンダにとって大きな戦略転換になる。
現在中国で売っている「フィットハイブリッド」の価格は17万9800元(約296万円)。現地生産の通常のフィットの2.3倍もする。13年の販売実績は25台にとどまった。
日産自動車(7201)は中国で販売する高級車ブランド「インフィニティ」のスポーツセダン「Q50(日本名スカイライン)」など一部にHVを採用。欧州勢にもHVを扱うブランドがあるが、販売台数は限定的とみられる。
中国の新車販売は13年に初めて2千万台の大台に乗った。だが電動技術を駆使するエコカーの普及は遅れ、本格的な競争はこれから。
中国市場で先行する欧米自動車メーカーは電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)で日本勢のHVを迎え撃つ。
13年に中国で販売シェアトップの独フォルクスワーゲン(VW)は16年からセダン型PHVや小型EVを現地生産する。
グループの高級車ブランド「アウディ」でもPHVを展開する。同2位の米ゼネラル・モーターズ(GM)は上海汽車集団と中国専用EVの開発に着手した。
新興勢力も最大市場に足場づくりを急ぐ。米EVベンチャーのテスラ・モーターズは13年末に北京市内に中国初の直営店を開いた。富裕層を相手にスポーツ車タイプのEVを売り込む。