発電、石炭火力を推進 環境相も合意へ | マクロ経済のブログ

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株式市場で注目されそうな経済のニュースを取り上げています。個人的な独断が多少入っていますが(^^)

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 政府は石炭火力発電の新増設の推進にかじを切る。原発事故後の天然ガスの輸入急増が電気料金の上昇を招いており、安い石炭を利用して国民負担を抑える。

環境影響評価(アセスメント)の手法を見直し、二酸化炭素(CO2)の排出量に明確な基準を設けるなどして新増設をしやすくする。石炭火力の新増設に慎重だった環境省も姿勢を転換し、環境負荷を小さくする技術開発に力を入れる。

 菅義偉官房長官、茂木敏充経済産業相、石原伸晃環境相、岸田文雄外相が19日に関係閣僚会議を開き、燃料費低減に向けて石炭の活用を確認する。政府の産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)でも具体策を詰め、6月にまとめる成長戦略に最新技術を生かした石炭火力の活用を盛り込む。

 1キロワット時の燃料単価は石油の16円、液化天然ガス(LNG)の10円と比べて石炭は4円と安い。世界全体で産出でき、安定調達しやすいため、再稼働の見通しが立たない原発に代わって常時稼働するベース電源として期待できる。

 東日本大震災後の原子力発電所の停止はLNGの輸入急増を招き、貿易赤字の一因となった。石炭火力の新増設でLNG火力への集中を避けることができれば、貿易収支の改善にもつながる。

 石炭火力発電所を建てるには環境省の環境アセスを満たす必要があり、最近ではオリックスや東芝などがCO2の排出量増を理由に計画の見直しを迫られた。環境負荷が大きくならないようにCO2などの排出量に明確な基準を設け、事業者に提出を義務付けることで新設を認める。

 今までの影響評価には許容できるCO2排出量の上限値などがなく、企業側から「審査基準が不透明で投資できない」との声が出ていた。

 政府は環境アセスの迅速化やCO2を地下に埋める技術(CCS)の実用化も同時に進める。発電効率の向上や環境関連の技術開発を進め、世界最高水準のJパワーの磯子石炭火力発電所(横浜市)を今後の国内標準とする案が有力だ。

 東京電力は2月、電源増強のため石炭火力を主軸とする新しい火力発電所の入札を始めており、基準が明確化すれば企業側も計画をたてやすくなる。東京電力は東日本大震災後の発電の7割をLNG火力に依存しているが、電源の分散につなげられそうだ。

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▼石炭火力発電所とは  石炭は豊富な埋蔵量や産出地域の遍在性がない、比較的生産コストが安いなどの利点があり、世界の発電量のうち4割を石炭火力が占める。米国は発電量ベースで5割、中国は7~8割を石炭に依存する。日本では発電量の3割弱が石炭で、福島第一原発の事故前の原子力と同じ比率。依存度は石油の1割強を上回る。

 石炭の最大の難点は二酸化炭素(CO2)の排出が多いこと。米国や中国はCO2がほとんど出ない原子力発電所やLNG発電の新設を急ぐが、現実的には石炭抜きでエネルギー消費を賄うことは不可能。このため、CO2の排出が少ない石炭ガス化複合発電(IGCC)や、CO2回収・貯留(CCS)など、次世代技術の開発が各国で活発化している。