金融庁が信金・信組の自己資本規制強化、中核資本4%軸に | マクロ経済のブログ

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株式市場で注目されそうな経済のニュースを取り上げています。個人的な独断が多少入っていますが(^^)


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 金融庁は地域金融機関を対象にした自己資本規制を強化する。貸し出しなどのリスク資産に対し、普通株式や利益剰余金などで構成する「中核的自己資本」の最低比率を現行の2倍に相当する4%前後に引き上げる方向で調整している。


業績悪化で新基準に抵触しかねない金融機関には早期是正を促すとともに、競争が激しい地域金融の再編につなげる。



 金融庁は昨年8月末までに、地方銀行や信用金庫、信用組合など約600の金融機関に自己資本の詳細なデータの提出を求めた。


結果を踏まえて、財務の健全性を高める新基準の詳細を今年度中に固める方針だ。国際的に展開する大手金融機関への新自己資本規制が始まる2013年以降の早期に実施する。



 現在の地域金融機関への自己資本規制は、中核的自己資本の比率を2%以上とするよう求めている。


普通株や信金・信組における出資金は返済の必要がないため、損失が出た際に吸収力が高い。新規制ではこうした中核的自己資本を2倍程度に高める。



 11年3月期に地方銀行、第二地銀で中核的自己資本比率が4%を下回ったのはゼロだった。


一方、信金・信組について日本経済新聞が公表されている財務諸表を調べたところ、4%を割り込んでいるところは5程度だった。この水準が続くと、新基準では即座に資本増強が求められる。



 一方、資本の余裕が比較的乏しい6%以下の地域金融機関は少なくとも30強ある。業績が悪化して中核的自己資本比率が4%に近づいて下がるような場合は、金融庁は早期に資本増強を求める考えだ。


 地域金融機関はかねて「オーバーバンキング(銀行過剰)」と指摘されている。地域経済の地盤沈下で有望な貸出先も減っており、収益もじりじりと減少し続けている。


今回打ち出す自己資本比率規制の強化は、こうした地域金融機関の再編などによる抜本的な経営基盤の強化につなげる狙いもある。



▼中核的自己資本とは  銀行の自己資本のうち中核となる資本。返済義務のない普通株や利益剰余金などで構成しTier1と呼ばれる。このうち優先株などを除いたものがコア(狭義の)Tier1。劣後ローンや劣後債なども資本として認められているが補完的資本(Tier2)に分類される。補完的項目は、中核的自己資本の金額までしか資本に算入できない。


会社組織ではない信用金庫や信用組合の場合は、会員・組合員からの出資金が銀行の普通株に相当する。資本増強するには、それぞれの中央組織から資本を受け入れるのが一般的だ。



▼バーゼル3とは  主に内部留保と普通株からなる狭義の中核的自己資本のリスク資産に対する比率を健全性の物差しとして採用。主要行に実質7%以上に保つよう義務付ける。主要国が2013年から順次導入する。分母となるリスク資産の産出方法が厳しくなるため、現在の各行の自己資本比率は新ルールで下がる可能性がある。



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