不動産を財産分与をした側に所得税が課税される | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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d不動産を財産分与をした側に所得税が課税される



 譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。)による所得をいう(所得税法33条1項)。


財産分与としてされた不動産の譲渡は、譲渡所得として、課税の対象となる(最高裁昭和昭和50527民集 第295641頁)。



財産分与としてされた夫婦の一方の特有財産の他方への譲渡は、譲渡所得課税の対象になる(最高裁昭和530216日・裁判集民事 第12371頁)。


協議離婚に伴い夫が自己の不動産全部を妻に譲渡する旨の財産分与契約をし、後日夫に二億円余の譲渡所得税が課されることが判明した場合において、右契約の当時、妻のみに課税されるものと誤解した夫が心配してこれを気遣う発言をし、妻も自己に課税されるものと理解していたなど判示の事実関係の下においては、他に特段の事情がない限り、夫の右課税負担の錯誤に係る動機は、妻に黙示的に表示されて意思表示の内容をなしたものというべきであるから、錯誤無効となる余地がある(最高裁平成1914日 ・裁判集民事157555頁)。

なお、所得税だけではなく、譲渡した翌年の地方税(住民税、国民健康保険税)の課税標準に反映して、税額が高くなることに留意したい。