・過失相殺や損益相殺の順序(いわゆる「外側説」)
最高裁平成20年10月7日・裁判集民事 第229号19頁
Yが運転する車両との衝突事故により傷害を負ったXが,Xの父が保険会社との間で締結していた自動車保険契約の人身傷害補償条項に基づき保険金の支払を受けた場合において,上記保険金の支払をもってYの損害賠償債務の履行と同視することはできないこと,上記保険契約にはいわゆる代位に関する約定があり,上記保険会社は上記保険金の支払によってXのYに対する損害賠償請求権の一部を代位する可能性があるが,原審が確定した事実関係からは,上記条項を含む上記保険契約の具体的内容等が明らかではないことなど判示の事情の下では,上記事故によるXの人的損害についてYが賠償すべき額を算定するに当たり,上記保険契約の具体的内容等について審理判断することなく,Xの過失割合による減額をした残損害額から上記保険金の額を控除した原審の判断には,違法がある。