後遺症についての損害賠償請求権の消滅時効の起算点 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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・後遺症についての損害賠償請求権の消滅時効の起算点

最高裁昭和昭和42718 民集 第2161559

不法行為によって受傷した被害者が、その受傷について、相当期間経過後に、受傷当時には医学的に通常予想しえなかつた治療が必要となり、右治療のため費用を支出することを余儀なくされるにいたった等原審認定の事実関係(原判決理由参照)のもとにおいては、後日その治療を受けるまでは、右治療に要した費用について民法第724条の消滅時効は進行しない。

最高裁昭和49926日・裁判集民事 第112709

不法行為による受傷の後遺症が顕在化したのちにおいて、症状は徐々に軽快こそすれ、悪化したとは認められないなど、受傷したのちの治療経過が原審認定のとおり(原判決理由参照)である場合には、右後遺症が顕在化した時が民法724条にいう損害を知った時にあたり、その時から後遺症に基づく損害賠償請求権の消滅時効が進行する。

最高裁平成161224日・裁判集民事 第2151109

交通事故により負傷した者が,後遺障害について症状固定の診断を受け,これに基づき自動車保険料率算定会に対して自動車損害賠償責任保険の後遺障害等級の事前認定を申請したときは,その結果が非該当であり,その後の異議申立てによって等級認定がされたという事情があったとしても,上記後遺障害に基づく損害賠償請求権の消滅時効は,遅くとも上記症状固定の診断を受けた時から進行する。